サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

e-hon連携キャンペーン ~5/31

hontoレビュー

ほしい本の一覧を見る

ドストエフスキーの詩学 みんなのレビュー

文庫

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー18件

みんなの評価4.1

評価内訳

  • 星 5 (5件)
  • 星 4 (5件)
  • 星 3 (6件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
16 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

ドストエフスキーは究極の小説を書いたのか

2003/12/21 20:45

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:すなねずみ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書のなかでバフチンが用いるふたつの重要な用語(「ポリフォニー」「カーニバル」)についての引用から始めよう。

「ドストエフスキーのポリフォニー小説において重要なのは、単一の具象的世界の確固たる背景において対象をモノローグ的に認識し、その枠内で展開してみせるという意味での、ありきたりの対話形式ではない。問題は究極の対話性、すなわち究極的な全体にわたる対話性である。劇の全体はその意味では、すでに述べたごとくモノローグ的であり、一方ドストエフスキーの小説は対話的である。彼の小説は、複数の他者の意識を客観的に自らに受け入れる単一な意識の全体像として構築されているのではなく、いくつかの意識の相互作用の全体としてあるのであり、その際複数の意識のどれ一つとして、すっかり別の意識の客体となってしまうことはないのである」(p37)

「カーニバルとはフットライトもなければ役者と観客の区別もない見せ物である。カーニバルでは全員が主役であり、全員がカーニバルという劇の登場人物である。カーニバルは観賞するものでもないし、厳密に言って演ずるものでさえなく、生きられるものである。カーニバルの法則が効力を持つ間、人々はそれに従って生きる、つまりカーニバル的生を生きるのである。カーニバル的生とは通常の軌道を逸脱した生であり、何らかの意味で<裏返しにされた生><あべこべの世界>(monde a l'envers)である」(p248)

 たとえば「カラマーゾフの兄弟」を読みながら、僕(たち)はちょっと背伸びをしてイワンに肩入れしてみたり、ピュアなふりをしてアリョーシャに擦り寄ってみたり、偽悪家ぶって大審問官の苦悩に同情してみたり、偽善家ふうにゾシマ長老の「お話」に胸を打たれてみたりする。でも、そんな読み方をしていたのでは、ドストエフスキーの小説を読んだことにはならない。あえて乱暴な言い方をすれば、そんな読み方をするぐらいならドストエフスキーなんて読まないほうがいい。彼の小説には猛烈な毒が含まれているから。
 ドストエフスキーが絶えず仕掛ける「感情移入」という罠を回避し、その「誘惑」に耐えながら読まなければ「ポリフォニー」は聴こえてこない。
(残念ながら、まだ僕には「ポリフォニー」が聴こえていない。かすかな予感があるだけである、なんとも無責任な言い草だけど。)

 本書の解説で、訳者の望月哲男さんは書いている。「作者は……主人公と<我>-<汝>の関係にあって、小説という<大きな対話>を現在形で展開してゆく、一つの声の主体である」。
 最近(でもないけど)埴谷雄高さんの「死霊」が文庫化されて、それなりに話題になったりした。埴谷さんはドストエフスキーの決定的な影響のもとに独自の小説世界を作り上げた人で、ついこの間電車に乗っていたら、隣に坐ったちょっとくたびれた感じのおじさん(五十過ぎぐらいの感じ)が「死霊」の文庫本を読んでいて、なんだか頬が緩んでしまった。

「カーニバル」について書こうと思ったら、なんだかまとまりがつかなくなってきた。そこらへんは、あなたに任せることにしよう。で、もし「小説」を書こうと思っているのなら、読んでみて損はしない本である。最後にちょっとした希望の言葉を……

「世界ではまだ何一つ最終的なことは起こっておらず、世界の、あるいは世界についての最終的な言葉はいまだ語られておらず、世界は開かれていて自由であり、いっさいは未来に控えており、かつまた永遠に未来に控え続けるであろう」(p333)

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

2004/12/31 03:53

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2006/04/09 15:46

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2010/04/08 12:00

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2013/01/27 11:16

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2014/10/05 09:05

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2016/12/31 05:44

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2019/05/14 22:14

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2020/06/27 12:12

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2020/09/26 11:15

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2021/06/13 00:04

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2021/08/04 15:53

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2022/01/04 21:32

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2023/06/23 08:12

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2024/02/14 01:58

投稿元:ブクログ

レビューを見る

16 件中 1 件~ 15 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。