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ある家族の会話 みんなのレビュー

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みんなのレビュー19件

みんなの評価4.1

評価内訳

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紙の本

「自分が何者であるのか」を証明してくれるのは、家族という命の共同体に生きたことばや言い回しであるという思い。その下に描かれた、激動のイタリアを乗り越えた家族の年代記。

2003/06/23 00:53

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 世界のあちこちで、家族の歩みを追うことにより自国の激動の時代を表現しようという意欲的な小説が現われる。最近では、そういう作品が紹介されるたび、○○版『百年の孤独』のような紹介がされる。また百年の孤独か…と半ばあきれつつ、
それが冠されていると、巻頭にファミリー・ツリーの載っている何十年かの出来事を書いた大作ね、とイメージをつかみやすいことも確かだ。
 この小説は、作家ギンズブルグの自伝小説で、空想をまったく介入させなかった旨、まえがきに断りがある。登場する人物はすべて本名であり、彼女が自身のことは書きたくないから書かなかったという以外、家族の歴史として現実に存在したものが「部分的に」書かれているとのことである。
 この「部分的に」という引き方が、いかにもギンズブルグらしく禁欲的である。
——というのも記憶は時の経過についにあらがい得ず、しかも現実を土台にした本は、しばしば作者が見聞きしたすべてのことの、ほのかな光、小さな断片でしかないからである。

 登場する家族のメンバー全員の性格づけを生き生きさせ、その生い立ちと人物相互のドラマを破綻なきよう組み立てるタイプの家族の年代記、どこか幻想味のある虚構のそれとの差違はまず、「部分的」というその言葉に表されている。
 そして、百年の孤独タイプのサーガとの違いはもうひとつ、家族の共通語(ラテン)を辿ることで構成されているという特徴だ。会話を中心にした小説の魅力が、これほど味わい深く引き出された作品というのも他になかなか見つからない。

 書き出しからして素晴らしい。
——子供のころ、わが家で私とか兄弟のだれかが、食卓でコップをひっくり返したり、ナイフを床に落としたりすることがあると、たちまち父のかみなりが落ちた。「ぶざまなことをするなっ!」
「ぶざま」「愚かもの」「ならずもの」などと、この父親の怒鳴ることばが印象的である。ほかに動物の名を使った傑作があり、この本を通じてそれが出てくるたび
吹き出したくなるのであるが、ここでは伏せておく。

 ギンズブルグの実家レーヴィ家は、ユダヤ系である。父親は大学医学部の解剖学教授であり、ギンズブルグ幼少のみぎり、一家は経済的にはあまり裕福ではなかったものの、上流家庭の常で初等教育は家庭で行われ、使用人も置いていた。
 各人のよく口にすることばや言い回しとともに、父親の尊敬するものと軽蔑するもの、母親の習慣とヒマつぶし、子供たちの得手不得手や興味、さらには家の内部の様子、親戚づきあい、愛唱歌、食卓にのぼるものが紹介されていく。そういったごく私的なものには、変質的とも言える偏りもあってユーモラスである。
 面白おかしい幼年期ではあるが、子供たちの成長にともないファシズムの影が忍び寄る。社会主義を信奉する父も兄たちも、反ファシズム運動の絡みで逮捕や亡命を余儀なくされる。また、運動のリーダーたるギンズブルグと結婚することで、作者自身も流刑に遭い、夫が獄中で死ぬという不幸に見舞われる。
 一家の共通語は、そのような受難を乗り越える支えとなり、無事を確認し合えるときの象徴としてきらめくのである。

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紙の本

たくさんイタリア人の名前がでてきますが、がんばって読むだけの値打ちがあります

2019/08/03 22:16

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

ムッソリーニとヒトラーに翻弄されるイタリア中流家庭、五人兄弟の末っ子である作者の目をとおしていきいきと綴られていく物語。社会主義と山を愛しているレーヴィ教授、社会主義とヴェルネーヌの詩が大好きなその妻のリディア、母親と仲良しな長女・パオラ、父親のお気に入り長男のジーノ、プルーストを語るのが大好きな次男のマリオ、サッカー少年で後に医者になった三男のアルベルト、その5人と取り巻く人々を鮮やかに筆で蘇らせた末っ子のナタリア、イタリア人の名前なので全部の登場人物を覚えることは困難だが、メモをしながら食らいついた。教授一家の物語と聞くとなんだか敷居が高そうだが、すぐに「まぬけ」「ロバ」と罵る父親と女中たちとのおしゃべりに夢中な母親、お高く留まっていない二人が魅力的だ

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