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紙の本
何が幸せか
2007/09/26 23:27
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あん - この投稿者のレビュー一覧を見る
淋しいけれど愛しいような。17歳から突然中年になってしまった少女のお話。
いきなり子持ちだし、恋愛経験もないのに旦那がいるし。
戸惑いが手に取るように分かるし、感情移入しました。
東野圭吾「秘密」に似た切なさも感じました。
戻るのか戻れないのか、問題はそんなことじゃないのだ。
紙の本
ふたつの「スキップ」
2001/03/07 20:48
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:フィン - この投稿者のレビュー一覧を見る
この小説のタイトルである「スキップ」ということばから、連想される意味は二つ。
VTRで言うところの早送り。そして、軽快なステップ。この作品を含む連作シリーズが「時と人」という主題を掲げている事からすると、前者が本来のタイトルの意味なのだろう。
しかし、読了後に改めてタイトルを見たとき感じた気持ち。それはまぎれもなく後者の「スキップ」だった。
70年代初頭、17歳だった主人公は、ふとしたきっかけで「心」だけが25年後、40歳で教師になっていた自分に「スキップ」してしまう。外見は40歳だが、中身は17歳。彼女を取り巻くのは20世紀末の「未来世界」。25年間という時間のギャップがもたらす、主人公の違和感による笑い、ノスタルジィを随所に織り込みながらも、この物語は単なる時間旅行モノに終わってはいない。
この物語の主題は、17歳の心をもった教師と18歳の心と体を持った生徒たちとの交流を描くことにある。教師が生徒と同じ心理、同じ目線で接するコトで、見えてくる様々な悩み、葛藤。作者はこれを感受性豊かな主人公の心情を通して鮮やかに描き出している。
おそらく作者は、この学園物語を描くため、17歳の心を持つ教師を描きたいがために、「スキップ」という仕掛けを用意したのだろう。そしてそれが見事に物語として結実している。
主人公と、クラスの皆が一緒になって踏む「スキップ」のステップ。その軽快な足音が聞こえてくるような作品である。
紙の本
失われた時間
2001/02/22 23:52
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちゃぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る
17歳の高校生だった私は、目覚めると42歳になっていた。四半世紀を飛び越えて、いつの間にか私は《今》にいた。失われた25年はどこに行ってしまったのだろう……?
先ごろ待望の《時と人》シリーズの第三作『リセット』が発売されたミステリー作家・北村薫の書き下ろし長編である。この『スキップ』は《時と人》シリーズの第一作にあたる。とても男性が書いたとは思えないほど女性的で瑞々しい筆致で描かれたこの物語は、時間と人との関り、巻き戻せない時の中で生きて行くことの意味を考えさせられる。
過去は常に私たちの背後にある。振り返ればそれはそこにあり、いつでも掘り起こして眺めることができる。それは正に自分という人間の生きた証であり、連綿と続く歴史の一部にほかならない。だが、唐突にそれが無くなってしまったら? 気がつけば何十年という先の未来に自分が飛ばされてしまっていたら? 失われた空白の時間はどう贖えばいいのだろうか。
答えはきっと、日々の時間の中にあるのだろう。いや、もしかするとそんなに単純な問題ではないのかもしれない。
ケン・グリムウッドの『リプレイ』という作品がある。作者自身もかなり意識したというこの『リプレイ』では、主人公は同じ時間の中を繰り返し繰り返し生きる。このモチーフは同氏の作品『ターン』と同じものだが、この『スキップ』ではまったく正反対のモチーフになっている。主人公は当然あったはずの時間の中を一度も生きてはいないのだ。だが、本書『スキップ』とケン・グリムウッドの『リプレイ』、この二冊は、私には読者に対して全く同じ問いかけを発しているように思える。すなわち、一度しか与えられない時間の中をどう生きるのか、という問題だ。
答えはどこにもない。また、どこにでもある。あなたには見えているのかもしれないし、見えていないのかもしれない。それは本書を読んで確かめてみてほしい。
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知らない世界なのに知ってる気がする
2004/09/04 00:12
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Edamame - この投稿者のレビュー一覧を見る
少し前の本なのですが、家の本棚にふとあるのを見て読みました。物語の粗筋は、他の書評者の方々が、すでに書いているのであえて書きません。主人公の真理子のいた時代は、私自身は生まれておらず、全くと言っていいほど知らない世界のです。しかし、知らないはずなのに何故か妙な懐かしさを覚えてしまいました。物語の中には、真理子のいた世界(時代)を感じることができるように「植木等」がブームであることを書いていたり、「ショーケン」や「ジュリー」という言葉が出てきたりしていて、懐かしさを表現しています。しかし、だからといってそのことが私に懐かしさを感じさせるものとは思えませんでした。どうしてなんだろうと私自身考えた結果、17歳の真理子の学校生活に懐かしさを覚えた理由があると感じました。文化祭に向けて、ガリバーの張りぼてを作ったりする様子に私の学生時代の思い出と重なる部分があったのかもしれません。その学生時代にいきなり42歳になっってしまったら、自分はどうなるだろう…学生時代の自分と主人公を重ねた私は、自然に自分自身が主人公のように感じながら読むことができました。
17歳から42歳へいきなりなって、42歳の自分になりきることなんか無理です。物語では、42歳の真理子は高校教諭を職業としているのですが、実際には適応できるはずもありません。教師の仕事はそのような簡単にできるものではなく、少し話が飛躍しているようにも感じます。しかし、何だか懐かしくて甘酸っぱい気持ちで読ませてくれる物語です。きっと、20代の人が読んでも、この甘酸っぱさは感じることができるのではないでしょうか。この本を読んで、自分の昔に浸るのもいいかもしれませんよ。
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もう一人の真理子はどこへ
2023/07/20 23:12
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とりまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
若い頃に読んだ時はターンやリセットと比べてイマイチだった記憶ですが、歳を経た今読むと面白く感じました。
17歳の真理子の魂?が25年後の自分の体に宿るというお話ですが、記憶喪失ではなく、それが本当に起こった事として、では42歳の真理子の魂はどこに行ってしまったのでしょうか?もう二度と元に戻る事はないのでしょうか。
終わり方を読むと、元には戻らなさそうだと感じますが、そうするとかなり切ないと思いました。家族にとっても。最後に美也子の事を娘として呼んでいましたが、お互いそう割り切れるものかなと。
25年後の世界で教師として生きていく事を決めた17歳の真理子さんはすごすぎる。精神的に大人だし、強い人ですね。
紙の本
読後感に浸れる
2022/06/18 14:03
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投稿者:じゅんべぇ - この投稿者のレビュー一覧を見る
日経の書評欄で目にして手に取りました。
時をスキップする、という考えが荒唐無稽ではなく、妙にありそうだなと思ってしまう。
今を生きることの大事さというのも、何となく感じました。
にしても、こんなことがないことを願っています。
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ビックリしたよ
2001/12/19 23:04
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投稿者:ポーリィーン - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書がどんな内容なのかまったく知らずに薦められるがまま読みはじめたので、とつじょ人生をスキップしてしまう物語にはビックリしました。ありえない話ながら、すんなり入りこめたうえに感情移入して大泣き。そしてラストは内田春菊の『南くんの恋人』的衝撃を穏やかに迎えながら終了。これまたビックリでした。
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春の陽射しのように優しく、暖かなぬくもりで読者を包み込む
2001/03/17 18:15
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投稿者:ぽろぽろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
高校生活最後の文化祭を前に、突然20数年後の自分にタイムスキップしてしまった女子高生。奇跡が起こったのか、あるいは単なる記憶喪失なのか。信じ難い事実を突きつけられながらも、あくまで自分らしく賢明に生き抜こうとする姿には心を打つものがある。
容姿は四十歳代でも、心は純粋でひたむきな十七歳。そうした心の若さが、いつしか周囲の人々に輝きを与え、彼女自身もますます魅力的な女性に変化していく。誰しも、年齢を重ねるごとに現実に埋もれつつ本来あるべき理想から離れ、いつしか自分自身を失い勝ちである。若い心を持ち続けることの大切さを教えられたように思う。
作品に登場する学校は、いささか現実離れを感じさせるほど爽やかで健全。教師と生徒の関係も本来あるべき理想像を貫き、終始暖かい雰囲気に包まれている。卒業や入学の頃の、のどかな春の陽射しを思わせる心地良さに満ちた作品。