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『盤上の敵』は内容すっかり勘違いして記憶していたみたいで
ラストにけっこう驚かされた。
それにしても、何度読んでも北村さんはいい。
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チェスの勝負の実況中継を思わせる淡々と運ばれていく。
想像するのもおぞましいような事々だというのに。
怒り狂い打ちひしがれて叫びまわってしかるべきことが
息を呑む音さえも響き渡りそうなほど静かに語られている。
途中一瞬 追ってきた筋を裏切られたような 突然迷子になったような感覚に陥る個所があったが それがまた他の北村作品同様 見事な組み立てによるものだった。さすが。
物語が終わってさえなお いくつもいくつも解決されねばならない問題が立ちはだかっている。
言ってみれば 問題の根本は何ひとつとして解決されてはいない というのも痛々しい。
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表紙からチェスの話かと思ったら、なんと誘拐事件の話。途中まで読んだところで、図書館の締め切りが…!まだ読み終わってないから、その内また借りてきます。
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敵は籠城殺人犯 妻の命を賭けた戦い!
息づまる駆引と、驚倒の結末!
読者をも操る北村マジックの冴え
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我が家に猟銃を持った殺人犯が立てこもり、妻・友貴子が人質にされた。警察とワイドショーのカメラに包囲され、「公然の密室」と化したマイホーム!末永純一は妻を無事に救出するため、警察を出し抜き犯人と交渉を始める。はたして純一は犯人に王手をかけることができるのか?誰もが驚く北村マジック。
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北村薫の作品を読むと、人間の優しさ、温かさを感じる。それは同時に、人間の残酷さ、冷酷さがよく描かれている、ということになるのだと思う。
この作品は、まさにその対比が際立っている。
正直言うと、あまりに残酷で無慈悲な悪意が怖くて、もう一度読み返そうとは思えない。それでも作品としての価値は高いと思います。どんでん返しもすごいです。
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これ、怖いよ。短く区切られた章と文章のリズムが、どんどんスピードアップしていくような、焦燥感と。怖い。ほのぼのイメージの北村さんの小説に、性格破綻者が出てくるなんて思いもよらなかった。決して激しく描かれているわけじゃないけど、こんなに背筋が凍る怖い人は初めてかもしれない。ラストの恐ろしいけれど目を見張る展開は、さすが。
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黒のキングと白のキング・クイーンとが軸になって物語が進んでいく。そして、最後に明かされる黒のクイーン。この結末は予想してなかったよ。純粋で濁りのない、真っ直ぐな悪意。表現が淡々としているだけに、怖かったです。私や、私の知っている人たちが一生巡り合うことのないよう、心から祈ります。2008/2/29
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チェスの駒に見立てて、白のキングと白のクイーンの語りが中心で話が進んでいきます。淡々と語られる話が、だんだんと形を現してくる。
なぜ壊そうとするのか。端から見ると理屈のない、純粋な、ただただ憎悪が迫ってくるが気持ち悪い。
今まで読んだ北村さんの作品とは違い、救いが訪れたのかどうかわからないなぁ・・・
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個人的には北村薫さんの作品の中で1番好きです。
何よりも展開の素晴らしさと、並行して描かれる心情、人情の変化を、とても綺麗な言葉で表現されています。
まさに愛読書です。
割と本格ミステリーですが、とっつきにくくも、読みにくくもなく、オススメです。
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北村薫を久し振りに。
いわゆる、ひっくりかえり系、なのかな?
ただ、ラストにいたるまでの展開自体がさほどひきが強いものでなく。
主人公と、妻の回想が交互に繰り返され、意外な事実に向かっていく、というのが大まかな構成なのだけど、
そこに絡んでくる登場人物たちが、あまりにも都合よく配置されすぎている印象。
いわば、道具のような印象をうけてしまって、なんだか物足りない感じ。
特に、犯人がなんだったのか、シメタをはじめとした報道陣はどうなったのか、
そもそも猟銃を奪われた花屋は結局それだけのための存在だったのか。
まあ、奥さんは出てくるけど。
あえて枝葉はそぎ落としたんだろうけど、逆にすかすかな印象。
核の部分だけでねじふせらるほどではなかったかなあ。
ミッキーも、純粋な「悪意」としてしか描かれていないし。
なんかほしかったような。
個人的には。
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北村さんがこんなハードな内容の本を書くなんて、とびっくり
いつもはほんのーりヒンヤリ、程度に収めているのに・・・
主人公の冷静な行動が怖い
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何年も前に読んだ本。
基本的にハードカバーは買わない事にしているが、表紙があまりに好みで、しかも北村薫だったので、思わず買ってしまった記憶が。
北村薫は、大好きな作家。
何作も読んでいるけど、こんなに怖かった話はない。
読み終わったあとも、不安な気持ちが後を引いて・・・。
でも、またきっと読み返すと思う。
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読む、ということが辛いと思ったのは初めてでした。
発売と同時に購入しましたがあまりにも辛くて読み返すことが出来なかった本です。やっと読み返しました。当時は北村氏の本、という先入観があり「北村さんなのになんでこんなの書くの」という失望に近いものがありました…正直とても落胆した記憶があります…落胆…違いますねショックだったんでしょう。
今読み返すとやはり辛いのですが、しかし北村氏は一貫してこういうものを書いているのではないかとも思うのです。人間というものへの冷静な、客観的な、目線。『秋の花』という本があります。そちらはむしろ悪意ない、むしろ運命の皮肉、一歩先のその心許なさ、というものでした。ではこの本は。悪意とそれに抗う事の出来ない存在、その弱さ、抗う術を持たない私達、の本だと思うのです。そして抗えない悪意というものに対する『それはいつでも誰にでも起こりえること』なのだという氏の客観だと思うのです。そしてその事実に対する氏のスタンスだと思うのです。これは北村氏の作風であればいつか書かれずにはなかったものなのだと思うのです。が。
北村氏といえば『日常の謎』ミステリの発生源とも言える方です。殺人はない、周囲のほんのささいな謎、というものです。しかしそれを考えた時に、極限状態の殺人事件と日常の周囲にあるまぎれもない悪意、ではどちらが怖いでしょう。
絶対的な悪、というものは無いと思いたいのです。犯罪者には犯罪者の事情がある、勧善懲悪などないと思いたいのです。けれど他者による絶対的な逆らう事も出来ない悪意というものはあるのだ、と突きつけられることというのはやはりあるわけです。自分には理解できないその悪意が怖いのだろう、怖かったのだろう、と今読み返せばそう思えはするのですが。
初読時、どんなに辛くても読み出してしまうと止まれませんでした。これはいつか最後までにちゃんと救いがあるはずだと、北村氏なんだから、と。しかし救いは無いのです。傷は傷のまま、癒されはしても無かったことにはならない、悪意は悪意のまま、付き纏いまた癒された心を抉るのです。その弱さを守る存在は現れても、それが癒しにはなっても、読者には救いにはならないのです。なぜなら絶対的な悪は付き纏い、それに見込まれた弱さは逃げる術を持てないから。そして逃げる術はまた耐えるしかないから。なぜこんなことが起こるのか。なぜそれを耐えることしかできないのか。
ここで思うのです。これを書いた氏の想いを。
おそらくこの本は客観として読めない方には辛い本なのではと思います(自分もそうでした)中学生…くらいの時に読んでいたらトラウマになってしまったかもしれないとすら思います。自己に重ねてしまいかねない。(これは自分が女だからというのもありますね)年齢ではなく、客観を身に着けなお小説として、しかし現実の、運命の、他者の悪意、というものを解っていないければ、北村氏の小説としてこれは異端なままなのです。
けれど氏の小説はいつでもこのことを書いていると思います。悪意というものは常に日常に潜み、けれどそれを補うなにものかも必ずある、なければ人はどう生きてゆけばいいのかと思うのです。それゆえにこの本��北村氏が書かずにはおけなかったものだとそう思うのです。
長々と拙く語りましたが意味不明で申し訳ありません;;しかし書かずにいられませんでした。弱さというものは罪なのか。それに対する加虐心というものは誰もが持っているものではないのか。
今読み返して辛くはなかったです。自分の成長だと、思いたいです。いつでもどんな人にもそれがありえると、思う、けれど、願わくば無いように、という氏の目線が感じられるからかもしれません。そしてもし、ありえた、あってしまったその時にそれを癒す存在が、守ろうとする存在が、どうかあるように、という氏の願いを感じるからかもしれません。
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ある日、自宅に戻るとそこはまさに事件現場になっていた。殺人を犯した強盗犯が妻を人質に立て籠もっていたのだ。妻を救うため、警察の目まで欺きながら犯人と交渉を始める主人公。
現在を軸とする主人公の目線と、過去を回想する妻の目線で交互に語られる物語は、全容が見えているようで見えていないような不思議な感覚で進んでいく。その予感は裏切られず、最後に大仕掛けが待っている。仕掛け自体は賛否両論ありそうなものだが、個人的にはこのまま主人公に幸せになっていただきたい。
北村氏ならではの特に妻の目線で語られる回想が、透明感のある世界を作っていて胸に迫る。 (2003-03-08)