紙の本
小泉首相の演説引用本。
2003/10/01 18:19
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:和田浦海岸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
小泉首相所信表明演説(2003.9.26)がありました。そこでの引用に
『人間の素晴らしさは、自分のことを悲観的に思わないことです』とあり。
「これは、司馬遼太郎氏が、子供たちに贈った言葉です」と語っていました。
さて、司馬さんから子供たちへというのなら、小学国語の教科書に掲載された「洪庵のたいまつ」と「21世紀に生きる君たちへ」の2つの文が、思い浮かびます。
短いのであたってみました。ところが教科書掲載の文には、どこにもない。ひょっとしたら「風塵抄」にでもあるかもしれないとパラパラとめくってみたのですが、ちょいと見つけられませんでした。
けれども、どこかで聞いたことがある言葉です。
おそらく、これではないか?
と思われる箇所がありました。
それが、今回紹介する本に掲載されています。
題は「人間の荘厳さ」。司馬さんが書いた教科書の編集趣意書です。
長さは原稿用紙一枚分。
そのはじまり
「人間は、鎖の一環ですね。はるかな過去から未来にのびてゆく鎖の。人間のすばらしさは、自分のことを、たかが一環かとは悲観的におもわないことです。ふしぎなものですね。…」
この「たかが一環かとは」を略して、引用したのじゃないかと思うのです。
「鎖の一環」を自民党としてみたり、いろいろと類推するお方がおられる。
それをそのままに引用すれば、アテツケに感じる方もおられる。
言葉は慎重に選ばなければならない。というのも、小泉首相は恐らく司馬遼太郎から学んだのかもしれませんね。
なお、この引用されたと思われる「人間の荘厳さ」は、
この本にだけしか掲載されておりませんでした。
この本の、もう一つのうれしい特徴は、
「人間の荘厳さ」「洪庵のたいまつ」「21世紀に生きる君たちへ」が英文対訳になっていること。その訳の監修にドナルド・キーンの名前があること。
そうそう。いつも所信演説での引用本を探すマスコミも、今回はあんまり感心がないかのようで。どこも、いまだ引用本には触れておられないようです。
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昔に読んだ事があり、息子の名前が遼太郎になってから、思い出してまた読みました。司馬遼太郎の顔が浮かんでくる作品です。
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ここには、「人間の荘厳さ」「21世紀に生きる君たちへ」「洪庵のたいまつ」の3編が納められている。さらには英語訳もついている。
ここには、深い叡智で歴史を洞察し、現代日本、さらには世界に対してさまざまな危惧を抱いていた司馬さんの遺言とも言える言葉を読むことが出来る。
僕は司馬さんが好きだ。
歴史上1番尊敬している人だし、1番会ってみたい人だった。
司馬さんが亡くなった日は今も覚えている。
僕が、ある大学への入学試験を受けに行く日だった。
朝早かった電車の中で、ずっと司馬さんのことを思っていた。
実際には、小学生の教科書のために書いた文章だそうだ。
しかし、これは小学生だけではなく、僕たち21世紀に生きる全ての人に読んで欲しいと思う。
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大学受験時に問題として出てきたのが
これ。思えば今ある状況をこの方は
薄々見通し始めていたのかもしれません。
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この本を読むと、背筋を伸ばして、胸を張って生きていきたいと思えてくる。司馬さんの言葉を読んでいて、とても心が温かくなった。小学生の教科書用に書き下ろされたものだけれども、21世紀に生きる全ての人に読んでほしい。
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この本、NETで知って
新年になったらどうしても読みたいと思って購入。
すごく簡単な文章で書かれているんですが、
ココロに響きました。
司馬先生っ!
僕は21世紀に生きてますよ〜っ
今年はイノシシ年ですが、
もう人生三周めです。
でもまだまだ訓練が足りないようです〜っ。
でも。この本を読んで、
司馬先生のたいまつの火を少しだけもらえた気がします。
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司馬遼太郎の晩年の作品。小学生向けに書かれた本。教科書にも載っているらしい。実際に読んでみても読みやすいと思う。
司馬さんはこの作品に作家人生をかけて取り組んだといわれる。なぜ、司馬さんがここまでして小学生向けの本を作ろうとしたのか。
戦後の未曾有の経済成長の結果、豊かさに溺れるようになった。しかし、これは司馬さんの求めていた社会とは違うと思ったからではないだろうか。作品を通じて、多くの読者を励ましてきたと思って来たのに、虚しかっただろうと思う。
何度も読んでみると、司馬さんの優しさを行間から感じることができ、ごくごく当たり前のことや、人として大切なことをやさしく語りかけているのがわかる。「洪庵のたいまつ」の中で描かれる緒方洪庵の姿勢も素敵だと思った。でもなかなか大人になっても難しいことだらけである。
子供達にはぜひ読ませたい本。ここまで書ける人は司馬さんを置いて他にはいないだろう。「明るいロマン」がかける人はやはり司馬さんだと思う。
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歴史というのはとまることなく、ずっと先までつづいている・・・。子供達に読んでほしい。なぜか涙がでてくる。
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これはぜひ読んで欲しい一冊です。司馬良太郎さんが生前、小学校の教科書用として書き下ろした本作は、子供だけでなく、お父さんお母さんにもぜひ読んで欲しいと思いました。素直に読んで、素直に受け止めてほしいと思います。絶品!
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どこまでも当然のことです。しかしながら、他者の痛みへの敏感さだとか、人にやさしく自分に厳しくだとか、主にあたしたち、もしくはあたしたちの前の世代、ひょっとしたら次の世代からさえ完全に欠落しつつあるものの存在に目をやらせてくれる。誠実さ、その最低限すら持ち合わせる人のいない事実をこの本が物語っているように感じました。
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この助け合いの共同社会の中で、自分に厳しく、相手に優しく、他人の痛みを感じることを訓練することで自己が確立される。
また、情報に溺れるのではなく利用する側であるべきだと言っている。
洪庵の適塾のような人のために生きる人生が美しいと感じた。
歴史を知ることでたくさんの人物に出会うことが出来、その人たちに励まされ、なぐさめられると書いていたことが印象的。
司馬さんの伝える歴史小説をこれからも読んでいきたい。
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妹の教科書に載っているのを読んで、正直、涙を流しました。
なんという綺麗で潔くて熱くて力強くて、真摯な眼差しだろう
素晴らしいです。大人が読んでも深く心に沁みる文章でした
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2009年9月20日読了。
実際に購入したものは、司馬遼太郎記念館で販売されているもの。
生徒に読ませてやりたい。
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小学6年生に向けて書かれた文章ですが、大人の私にも、よみごたえある示唆に富んだ内容です。20年以上も前に書かれたものですが、みずみずしく、力強く、そして、「人間は自然によっていかされている」という現代的なメッセージがこめられています。
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教科書に載っている文です。
なぜ対訳なのか疑問ですが、英語の勉強がついでにできるような1冊です。
書かれている内容は、当たり前のことなのに実際にできるか?できているか?
と問われたら、ドキっとしてしまいそうです。
とても味のある文なので、繰り返し読んでみたい1冊です。