ドリトル先生航海記 新版 みんなのレビュー
- ヒュー・ロフティング (作), 井伏 鱒二 (訳)
- 税込価格:968円(8pt)
- 出版社:岩波書店
- 発売日:2000/06/16
- 発送可能日:1~3日
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
1 件中 1 件~ 1 件を表示 |
紙の本
ドリトル先生のカバンはドラえもんのポケット並み
2006/06/10 22:23
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:栗太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
動物と話が出来る獣医にして博物学者のドリトル先生が活躍するシリーズ。シリーズ第2作目ですが、1作目より読みやすいし、面白いのではないかと。
読みやすさの理由は、本書の語り手が靴屋の息子トミー・スタビンズくんであることが大きいです。後にドリトル先生の立派な助手になる彼も、初登場の本書では、まだほんの子どもです。ドリトル先生の人柄に引かれたトミーは、住み込みの助手として働き、勉強(動物語を含む)を教えてもらうことになり、航海にも連れて行ってもらいます。トミーの視線による新鮮な驚きの毎日に、読み手は知らず引き込まれていく寸法。
ドリトル先生の航海は行き当たりばったり的なところもありまして、波乱万丈です。密航者がいたり、ずうずうしい押しかけ船員がいたり、嵐にあって難破したり……でも、ドリトル先生は動じません。先生は基本的にはユーモアがあって穏やかな人柄。(時どき、とんでもない怒り方もしますけど)なにより常に動物たちのことを思っていて、理想と現実の狭間で悩んだり憂えたりもしますが、絶望とは無縁で道を切り開こうとする人です。
動物たちのキャラクターも魅力いっぱいです。ちょっと口うるさいけれど賢いオウムのポリネシア、誠実な犬のジップ、良きお母さんと言った風情のアヒルのダブダブ、気取りやスズメのチープサイド、サルのチーチー。みんなドリトル先生のことが大好きで尊敬しているけれど、先生の欠点もまたわかっていて、家族のように見守っている様子も伝わってきます。ドリトル先生と言うのが、基本的に学者バカの理想主義者なので、仲間たちの中でも現実派のポリネシアや家計を預かるダブダブが苦労をすることも、しばしば。大変だねえと見ているトミーくんも、数年たたぬうちに彼らの仲間です。
この物語で私が何より心躍らせたのは、何を隠そうドリトル先生の鞄でした。壊れかけて紐で縛ってある、さほど大きくない鞄ですが、ドリトル先生は旅行に行く時はたいてい、その鞄一つ。そこから過不足なく、色々な物が出てくる、まさに夢のような鞄なのです。いったい中身はどうなっているのか? ちなみに、トミーと初めて会った時など、食パンが一斤、ソーセージ1ポンド、しゃべる貝を採集したガラスの瓶が出てきました。おおっ、四次元ポケットか?
1 件中 1 件~ 1 件を表示 |