投稿元:
レビューを見る
さて、いよいよ。
もうタイトルからしてネタバレなので、その点については何をかいわんや。
しかし、問題は例の「18 最後の組討ち」。そもそもこの章のタイトルは何ぞや。てっきりボライソーが取っ組み合いでもしたのかと思うじゃありませんか。
いやいや、それとて些細なこと。本書が絶版となって久しい今、「第2版」を指定して入手するのは至難の業。手元に届いたのは嫌な予感的中で1版でした。
まあ、ネットがあるので、原文を読めますから、なんとか原著者が描写した部分をたどってみると…。
原文の表現のなんと印象的なこと。まるで映画のように簡潔で視覚的。それまでの騒々しい戦闘シーンが一転して無音になったような、それでいてそれぞれの動き、動揺、衝撃がひしひしと伝わってくるような描き方です。
翻訳家のご苦労、ことにそれまで日本では馴染みのなかったジャンルを広められたことには敬意を表するものの、この1版における加筆は絶対OUTでしょう。
はっきり言います。きっとこのシーンの表現のおしゃれさ、スマートさと翻訳の方の波長が合わなかったんだと思います。一連の「海洋冒険小説(この言い方もとても不満)」のタイトル名やシリーズ名の「なんだかな」さかげんと連動する無粋さを感じてしまいました。
英国海軍の一連の物語は、昭和の冒険少年小説ののりではないと思います。