紙の本
社会風刺とハチャメチャをブレンドした奇想天外小説、全5編
2010/01/14 19:09
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
各作品のタイトルからも分かる通り、奇抜な目の付け所がこの小説の重要なポイントであり、読者を引きつけていく部分である。
社会風刺が含まれる部分は星新一。
少しハチャメチャな部分は筒井康隆。
ほんのちょっとだけ、そんな匂いがする。
読み始めると粗っぽい印象を受ける。
ストーリーはつながっており、まったく問題ないものの、どこか物足りなく、話がサクッと進んでいっているような感じ。
またリアルさに欠ける部分も多々気になるものの、そんな事は気にしないで読んだ方が面白いことに気づいた。
リアルさは横に置いておき、話の奇抜さによる展開の見通せない状況を楽しむ、これが一番。
『床下仙人』というタイトルからは興味をそそられるし、実際現れた仙人のような男は何者なのか、本当に仙人なのか、仙人ならば家族に何かをもたらすのか、この後どうなってしまうのか、など色々な思いが駆けめぐり、小説の密度は物足りないものの読み進めていかずにはいられない。
『床下仙人』
仕事が忙しく家庭を顧みない夫は、妻の怯えの原因と思われる、仙人のような姿をした男を見た。
男は見つかると「どうも」とひょうひょうと挨拶をして床下に消えていき、妻の怯えもなぜか消えていた。
『てんぷら社員』
九州支社から転勤してきた五十代の平社員田所は、誤って俺のパソコンの電源を落として深夜残業のデータを消してしまった。
田所が「なんとかします」といった翌日、うるさい課長に報告書が出来ていないことを謝りに行くと、二三日かけてじっくりまとめてくれと、にこやかに言われた。
『戦争管理組合』
五週間の海外ロケから自宅マンションに戻ると、玄関ホールで女に猟銃を突きつけられて、組合員証の提示を求められた。
拘束され集会室へ連れて行かれると、二十人ほどの女性が緊迫した表情で待っていた。
『派遣社長』
次々と社長代行の候補を紹介していく営業者。スキルのアウトソーシングとして社長を派遣するという。
「一ヶ月お試し社長キャンペーン」で興味を持った現社長は、派遣社長の導入を決めた。
『シューシャイン・ギャング』
シマザキは信号待ちをしていると、若い女の子にいきなり靴を磨かれ、千円を請求された。
五十代でリストラされた彼は、自分と似た境遇の彼女にほだされて、用心棒として靴磨きの手伝いを始めた。
紙の本
身につまされる短編集。
2022/05/17 10:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
「家族のためなんだ」。
働きすぎで、ろくに妻子の顔も見られない企業戦士達。
家に帰ったら見たことのない男がくつろいでいる「床下仙人」。
非人道的な営業方針のなかでもがく主人公の前に現れた謎の壮年平社員「てんぷら社員」。
理不尽な男社会をひっくり返せ!
まさかの展開に巻き込まれるテレビマン「戦争管理組合」。
派遣派遣の世の中で社長まで派遣されてきた。しかも御試し一ヶ月で「派遣社長」。
会社にも家族にも捨てられた壮年と、家族を捨ててきた少女が渋谷で生き抜く「シューシャイン・ギャング」。
身につまされる短編集。
紙の本
床下に仙人がいたら、
2021/02/20 21:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:びずん - この投稿者のレビュー一覧を見る
いつぞや何処かで頑張って働いていたサラリーマンだったのか。感覚的に奥田英朗さんのイン・ザ・プールを思い出したり、星新一のSFじゃないver.のような、そんなちょっとずれたハッピーな感じがじわじわ滲み出てくるお話だった。
投稿元:
レビューを見る
購入者:横井(2007.11.16)返却
現代社会を風刺した奇想小説。会社人間を主人公にした5つのストーリー。“てんぷら社員”“派遣社長”世にも奇妙な物語をみているよう。
貸出:中山(2008.2.5)返却(2008.2.8)
まさしく、世にも奇妙な物語でありそうなストーリーです。社会風刺の作品です。短編なので読みやすいです。床下仙人はどうもしっくりこないラストでした。てんぷら社員は温水さんでいかがでしょうか?
貸出:Shin(2008.6.2)返却(2008.6.15)
短編なので、すぐにのめりこめてすぐ終わります。実は私、FKてんぷら社員です。5話とも発想が面白い。シューシャインギャングのおじさんになったら、どうするかなぁ。
貸出:仲村(2008.7.19)返却(2008.8.22)
とても読みやすく、本当に「世にも奇妙な物語」のようでした。ありえないようで、それでいてちらほら現実でもありえるなぁ。と思える箇所がありました。「世にも奇妙な物語」が好きだった人にはおすすめです。てんぷら社員と、派遣社長が、私はおもしろかったです。
貸出:滝口(2008.10.25)返却(2008.12.2.)短編、風刺ユーモア有奇想小説、楽しく読めた。
貸出:清水(2012.11.20)返却(2012.12.3)
短編小説で、まず各タイトルが面白く実際にありそうな…しかし、よく考えると非現実的な話ですが、今後ありそうな気もします…
投稿元:
レビューを見る
家族を養うための仕事のおかけで、家族と一緒にいれない。そこに、時間が自由にある床下仙人が入り込む余地がある。追い出された夫は床下仙人となり、ループが発生する。なんだかグッとこない展開である。
てんぷら社員は、ドラマにしやすそうな話だなぁ。
5話あるけど後の方はショボイ・・。
投稿元:
レビューを見る
現代社会を軽く風刺したナンセンス的な短編集。視点はなかなか面白く、軽く読むには最適かも。新奇想小説とタイトルの前についているが、まさにそのとおりな感じ。
投稿元:
レビューを見る
シュールな世界観で風刺する日本社会は、「まさかぁ〜(笑)」と思いながらも妙に現実的でドキッとします。働く中年男性に特に受けそうな内容です。
投稿元:
レビューを見る
赤川次郎の短編「召使」を彷彿とさせる…短編集。主役は全員企業戦士というか働きまくりの人たちばかり。他人とは思えない。割と内容は全体的に軽いんですが、主人公が全体的に可哀想に働きすぎるのでウイットが効いたとか痛烈に皮肉るとかそういう評価があてはまる気がします。でも出張デザインは死ぬと思うよ。というか個人PCに会社のソフト焼き増したらダメだろう。正規購入でもアドビなら十分赤字だ。
投稿元:
レビューを見る
企業戦士たちの物語。働く意味とか、働いて何になるとか、そんなことを考えさせてくれる。一生懸命働いてもあまり報われることはない。もっと楽に生きてもいいんじゃないかと思わせてくれる。
投稿元:
レビューを見る
現代の「仕事」を中心とした社会問題をありえない設定から風刺。
ありえない設定。テンポのよいユーモラスな文章。娯楽短編集って感じだけど、メッセージはしっかりしてる。
楽しい気分にもなり、しっかりしなきゃな、とも思う。仕事に悶々とした時にオススメ。
投稿元:
レビューを見る
<新奇想小説>と、書いてあり、帯には<イッセー尾形氏驚く!>と、書いてあり。長編ではなく5つの中編作品集でしたが買ってみました。面白かったです。独特の世界観というか、視点があります。
とっかかりというか手法が面白いのですが、描かれているのはどこかそこらへんの身近にごろごろありそうな、現代の矛盾とかゆがみとかの瑣末な異常事態。それを独特の切り口でホラ!こんな変なのおかしいじゃん、みんなやってるけどこんなんでいいの?と、差し出されている感じ。足元をすくわれる感じは、星新一さんの 『未来イソップ』 とかにちょっと似ています。先が読めて安心なハッピーエンドばかりでなく、巧妙なちょっとした見せ方に鮮やかに驚かされるのが好きな人は、たぶん気に入るのではと思います。
投稿元:
レビューを見る
不思議系短編週。
新居の床下に見知らぬ男が住み着いている「床下仙人」、突然異動してきた窓際族のような男が会社を脅かす「てんぷら社員」、出張から帰ると、マンションが女性にのっとられている「戦争管理組合」、その名のとおりの「派遣社長」、勝手に靴を磨いて金をせしめる「シューシャイン・ギャング」。
どれもくすっと笑えて、軽く楽しめる話でした。
投稿元:
レビューを見る
んー、正直もっと面白いのかと期待していたのでちょっと残念。
短編集でいくつかお話があるんだけど
どの話も題材がシュールで面白いんだけど、終わり方に
物足りなさを感じました。
投稿元:
レビューを見る
おもろくない。
テイストとして似ているのは筒井康隆かな?(引き合いに出したら筒井先生に失礼か)
そんでもって、初期の頃の筒井康隆の10分の1も面白くないんだよな。
この本、オススメコーナー陳列してる書店が散見されたが、気が知れないな。
投稿元:
レビューを見る
現代社会に対していい感じに皮肉のきいた短編集。ありえない設定だと思いつつ、なんだか笑えない切なさが漂ってます。おもしろかったけど、ただもう少し、もう少しブラックな方が私好み。2008/4/21