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紙の本
卒論以外にも応用がききそうなマニュアル
2011/09/21 01:53
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
大学生むけの論文の書き方本のおおくは卒論に特化されすぎているようにおもう. この本はもっとひろくて,高校生くらいでもつかえるし,興味がもてるのではないだろうか. ネタのえらびかたや調査のしかたも具体例をあげて説明しているし,「論文を書く段取り」 もなっとくのいく説明がなされている. ただ,記号やフォントのつかいかたに関しては,卒論でもここまでこまかく指定しなくても…とおもう.
紙の本
偏向した例文の過激なまでの面白さ
2002/04/06 22:34
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る
即身仏と天使とライプニッツと修験道とイスラーム哲学とスコラ哲学とセクシャリティと普遍記号学を一緒に考えている著者による「ブタでも書ける論文入門」(即身仏云々は「あとがき」に出てくるスコラ的枚挙で、カバー裏の著者紹介には「専門のスコラ学だけではなく、現代思想、現代社会論、コミュニケーション論、身体論、修験道、ミイラなど」について研究していると書かれている。ブタでも云々は第1章に出てくる言葉だが、「参考文献」には矢玉四郎の「はれブタ」シリーズが挙げられている。これは確かに素晴らしい絵本だった)。
本書のハイライトは記号や略号の使用法(90?126頁)、文献表の作り方や註の作法(157?175頁)等々をめぐる「偏執者」的な(スコラ的な?)枚挙なのだが、随所に掲げられた例文が過激なまでに偏っていて実に面白かった(e.g.「トマス・アクィナス『能力論』における可能性と現実性の問題」[p.81f,p.179ff])。本書は、マニュアル本に徹することでもってスコラ学の、そしてスコラ学的な「精神習慣」によって培われた著者自身の思索(cf.『天使の記号学』)の要諦を語る類い希な奇書である。
《論文を書くというのは、実は「論証」を行うということなのだ。…論証があるからこそ、その発見は、多くの人が共有できる知識となる。要するに、論文を書くこととは、知の共有に至る道なのである。》(pp.30-31)《論文とは、共通の知に至る作業なのであり、普遍性を持っていなければならない。…知識を共有する道を歩むことは、知の戦略に立つことなのである。》(pp.183-184)
《ここまで書いてきたことは、結局のところ、心の中にある思想の〈かたち〉を、文字に定着し、固定化した〈形〉にするための技法のことである。〈かたち〉は、ひらめきであったり、ビジョンであったりするが、それを見据えて手に取ろうとするとすぐに見えなくなる場合も多い。目に見える〈形〉にすることで、実は、曖昧であった〈かたち〉も明確になっていく。つまり、〈かたち〉は最初にありながら、最後に現れるものだということだ。そして、この〈形〉に表現する技法をハビトゥスとして考えているのだ。実は、この本は形而上学の以上のモチーフを論文執筆に応用したものだ。形而上学もなかなか役に立つのである。》(pp.193-194)
紙の本
おいしいマニュアル
2002/03/07 16:22
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投稿者:あかねぞらきち - この投稿者のレビュー一覧を見る
普通の論文マニュアルと違うところは、今は論文を指導する立場である筆者の学生とのやり取りやその時の気持ちがたくさん綴られているところ。先生ってば過激ですね! でもおもしろいなぁという文章が並ぶ。だからマニュアルなのに人格があって親近感がわいてくる。論文を書く人でなくても人もエッセイとして読んだら楽しめるのでは? マニュアル嫌いな人もどんどん読めるはず。楽しんで知識が付いたら一石二鳥ですよ!
紙の本
楽しく読める「論文の書き方」
2001/10/26 12:39
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投稿者:たけのこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
人文・社会科学系の大学卒業論文がターゲット。たんなるマニュアルというよりも、「学生が論文に行き詰まったときに書く元気を与えてくれる本」(p.12)をめざしているところに特徴がある。
たいがいの論文マニュアルは読み物としてとっつきにくいことが多いのだけれども、これはいまふうの軽快なノリで楽しく読めるのがいい。文体の雰囲気は小谷野敦の『バカのための読書術』(ちくま新書)にもちょっと似ていて、自虐と偽悪のギャグが、いたるところにちりばめられている。ところどころマニアックに暴走する箇所も楽しい(「記号の使用法」なんて、笑った笑った)。
それでいて、大学の先生がよくいう「論文になっている/なっていない」という評価基準の最低線がいったいどこにあるかを、きっちりと教えてくれる。そもそも論文とは、どういう文のことをいうのか。問題意識をどう持つか。題材→主題→課題→タイトルと、どう絞り込んでいくか。章・節の構成はどのように組み立てるか。「論文らしい」文章はどう書くか。引用や注(著者は「註」と表記する)や参考文献リストはどのように処理すればいいのか。——そういう基本中の基本が、この一冊だけでも十分わかるように書かれている。
また著者が勤務する大学の卒業論文が実例として取り上げられていて、それらがバッサバッサと斬り捨てられているところも痛快であった。タイトルをずらっと並べて、これは○(論文としてまとまりそう)、これは△(サブタイトルを付ければ何とかなる)、これは×(まとまりそうにない)、なんてやっているんだよ。
もちろん、この手の「論文の書き方」だけを読んで論文が書けるわけではないのが論文というものだが(論文という「形式」に盛り込む「内容」が必要である)、すくなくとも論文作成上の一般的なルールは常識として学んでおきたい。卒論をひかえてワラをもつかむ思いの学生さんばかりでなく、文章で他人に何かを伝える仕事や趣味をかかえる人なら、こういう本を読んでおいて損はないだろう。
ただし細かいルールは、それぞれの学問分野によっても異なる。初心者は、こうしたマニュアルに加えて、専門の学術雑誌に載っている論文にもふだんから目を通しておき、そのスタイルに慣れておくといいだろう。なにごとにも理論だけでなく、実際の手本が必要だ。
たけのこ雑記帖