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「お前が知ってるサトルしか、お前は知らないんだよ」
「だから、お前が知ってるサトルしかお前は知らないわけだ。同じように俺は、俺が知ってるサトルしか知らない。良介だって琴ちゃんだって、あいつらが知ってるサトルしか知らないんだよ」
「だから、みんなが知ってるサトルなんて、誰も知らないんだよ。そんな奴、この世には存在しないの」
読み終わったら「だから、何?」って言いたくなるけど、結構面白かったよ。
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≪この不愉快な社会に生きることの、つまらなさ、切なさ――。
現代の若者の心中をリアルに描いた最高傑作!(帯より)≫
伊原直樹(28歳・映画配給会社勤務)と恋人の美咲が暮らすマンションに住み着いた 美咲の友だち 相馬未来(24歳・イラストレーター兼雑貨屋店長)、直樹の後輩の後輩 杉本良介(21歳・H大学経済学部3年)、未来の友人 大垣内琴美(23歳・人気俳優と恋愛中で無職)、そして ある日酔った未来が連れてきた 小窪サトル(18歳・男娼)が それぞれひとつずつの章で語り手になっている。
それぞれの目に映る他の人たち、そして自分がそれぞれの章で語られてゆく。
そこに見えてくるのは、人と深く関わらず、愉しげな生活を続けている空々しさと、それ故の心地好さ過ぎるほどの結びつきなのだった。
若い世代に特有のものとは言い切れないと思うが(現に私自身もそうかもしれない)、期待し、期待され、裏切り、裏切られないために 人の深部に踏み込もうとせず、楽しさを演じる表層だけで付き合ってしまうことの 気楽さと寂しさがとてもよく解る一冊だった。
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読み終わった瞬間に読み返したくなる本。マンションの1室で暮らす5人の生活が、それぞれの視点から語られていく。適度に親しく適度に距離をもって暮らす5人の登場人物。それぞれが一人称で語りだすと、他の人物の視点で語られているときと印象を変え、イタいくらいに身近に感じられる。コミカルに描かれる冒頭から、少しずつ重苦しさが顔を出してきて、そしてとつぜんの終わり。傑作。
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「パークライフ」よりもこっちの方が質の高い作品だと思う。
本当に芥川、直木賞の審査委員の目を疑ってしまう。
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5人の男女が2LDKで暮らしている姿を淡々と描いている。一人、一人の目線で書いた短編が連作になってる。結構、テンポ良く読めた。初めて読む作家さんの場合そこがポイント。いいと思う。
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おもしろかった。人と人とのつながりは意外とテキトーで淡白で、他人は他人という突き放した感じがした。
(2005.7.17読了)
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ひととひとの隙間にひゅっっと入り込んだら、こんな世界が待っているのかもしれない。でもわたしたちがその隙間に入り込むことはめったにない。
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登場人物の個性がそれぞれ上手に描かれていていて惹きこまれた。最後がショッキング。後味の良い終わり方だったらもっと良かったのに。
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吉田修一の長編小説。1つの部屋に暮らす5人の若者それぞれの視点から書かれた短編集とも言える。
吉田先生らしい人間のリアル感と空虚感が同居した作品。これまた吉田先生らしい、最後に胸騒ぎというか心を軽く締め付け、揺さぶるような展開が来るのが秀逸、修一。
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ジャケが非常にカッコよろし!5人の若者が送る共同生活。すごいリアリティがある。一見お互いが助け合っていながら、それ以上は深入りしないっていう、現代の人間関係?そういうお互いのやり取りって何か賭けっぽいよね、微妙なね。表紙に触発されてか(笑)アートっぽいテイストです。欲を言うならばラストがあっさりしすぎてるかな。
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巧い。連作短編の機能を良く消化して、エンターテイメントとして良く出来た本だと思います。
本として、楽しく読める。
でも、巧さが鼻につくのはどうしでだろう(笑)。吉田修一さんの作品を読むには、それもコミコミで一緒に苦笑するくらいの冷めた読書が必要なのかも、というちょっとした諦めすら感じてしまう本でした。
山本周五郎の、現代ものに通じるダークな巧さは、周五郎賞にふさわしいとは、思います。
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どんでん返しがやってくる☆という事で読み始めた本!
ひょんなことで共同生活をしている5人の話なんだけど、それぞれが主人公になって章立てて話が展開されていくからおもしろい!オチはネタバレだけど、ある思ってもいなかった1人が殺人犯だったってこと!それに気づかせないのか気づいているのかそういうほかの4人の振る舞いにおかしくなっちゃってて。。みたいな☆すらすら読めておもしろい1冊でした♪
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パークライフを読もうとしたときについでに知って、若者のルームシェアが描かれている群像劇であるということに興味を持ち読んでみた。パークライフと同様に私にとっては印象の薄い本。最後は少しほおと思った。[2006年読了]
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互いに互いを覆しながら混在する日常と非日常、創作物の思わぬところに潜むリアルに心を冷やしつつ、軽妙な文体というオブラートに包まれた毒に魅了されます。これぞ現代小説。
すばらしい本は数あれど、未だにこれは私の中で一番の小説です。
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「本当の自分」「周囲の人が知ってる自分」興味深いテーマは少し消化不良。軽快なテンポの毒々しいストーリーが好きだから、消化のためにも一度読んでみようかな。