紙の本
引きこもりの聖書
2016/05/04 14:48
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:イズー - この投稿者のレビュー一覧を見る
世の中、美学に通じるすべてをやりつくした男が、すべてに幻滅の末たどり着いた孤高の楽園。
ユイスマンスの博学には感嘆するけど、その博学ぶりゆえに挫折しそうになるけれどもそれさえうまくクリアできればデカダンスの極致を堪能できる。
現実に幻滅して何もやりたくなくなった時にたどり着く一冊。
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デカダンスの聖書「さかしま」。
主人公デ・ゼッサントの偏執狂的な人工の理想への情熱は、正直友達にはなりたくないです(笑)
こういうのが好きだとは言いませんが、いろいろと興味深いナー。
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澁澤龍彦!わかんねぇーけどスゴイ!僕の所有している書籍は昭和59年光風社出版発行のモノ。装丁もすばらしい。この写真とは異ります。
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自然は実際にはグロテスクで不潔で危険極まりないということから、デ・ゼッサントは人工物をこよなく愛する。小説の最後らへんで衰弱して潅腸法による栄養摂取しかできなくなった時も、これぞ人間にしかできない芸当だ、などと考えて満足するしまつ。あらゆることを可能にする空想を第一とし、現実は何とも醜いものだとしてフォントネエの屋敷にひきこもる彼。プロットのない小説だが、デ・ゼッサントの性格、生活が面白い。デカダンスを知りたい人にお勧めの一作。
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ワイルドの「ドリアン・グレイの肖像」に出てくるヘンリー卿が主人公ドリアンに送った「悪書」はこの本だと言われています。
あわせてどうぞ。
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なんともいいがたい。デ・ゼッサントの孤独と趣味に走った日々の話。各章でそれぞれ主題が決まっていて、文学や宝石、花や酒に対する博学がかき鳴らされる。文句なく面白く、ずいずい読み進んでしまった。文句なく面白いのだが、人に薦められるかといえば、微妙。
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デカダンスの聖書ということだが、要するに元祖ひきこもり小説という趣き。
確かにデカダンを感じさせるんだけど、ヨーロッパのキリスト教事情に明るくないと完全にその思想を理解するのは難しいと思う。
だから少し置き去りにされた部分があるかも。
何だか小説というよりも文芸評論的な章もいくつかあったし(それらの作品に興味を湧かせるところは流石だが)。
でもこういう内省的に沈んでいくタイプの小説は基本的に好きだ。
それは自分がそういう人間だから(笑)。
固い文体なんだけどサクサクと読める。
澁澤龍彦が一番気に入ってる翻訳らしいが、その通りだと思った。
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990夜
ここには、デカダンスの光学、装飾学、精神病理学などに関する百科全書的な網羅があり、生活を期待せぬ生活、不安に自足した魂、想像力と幻覚のあいだを往復運動する精神が不思議な夜の花の開花のごとくに見いだされる、(埴谷雄高)
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2010/5/19
退廃・デカダンス、教養のすごさ、
ギュスターヴ・モロー賛美。
一回の官吏が書いたとは信じられん。
妄想・書物・偏執・神経症。
あ、終わっちゃった、と言う感じ。
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[ 内容 ]
「生産」を至上の価値とする社会に敢然と反旗を翻し、自らの「部屋」に小宇宙を築き上げた主人公デ・ゼッサント。
澁澤龍彦が最も愛した翻訳が今甦る。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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デカダンスの聖典。
特に大きな話の流れがあるわけではなく、主人公の退廃的な生活がつらつらと書かれています。どこから読んでも楽しめる感じです。
それだけだけど、とにかくそれがかっこいい。大好きな本です。
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反自然主義、反小説であり、デカダンスの聖書と呼ばれ、ワイルドやブルトンに影響を与えたらしい。人工的な楽園に閉じこもり高度に洗練された収集物を前に奔放な想像力は時間や地理上の制約を受けることなく旅をする。想像力の前では現実は無力であり虚しい幻想である。没落する貴族になりかわり台頭してきたブルジョワへの痛烈な皮肉、カトリシズムの堕落と古き良き中世への憧れが強く感じられた。
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主人公デ・ゼッサントの趣味嗜好が永遠と綴られる、引きこもり小説です。
そして、「デカダンスの聖書」と言われることで有名ですよね。
でもでも、デカダンスの「入門書」と勘違いしてはダメかもです。
あくまで「聖書」。
キリスト教の聖書がキリストの生き方を記した様に、デカダンな人の生き方が描かれた内容なのです。
当然、解説なんてありませんから、何も知らずに読む場合は御覚悟を><
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何かを拒絶し続けた果てには、また違う世界の扉が待ち構えている。論理の構築物に完成がないのなら、逆に、どんな逆境にも、必ず、何らかの世界への扉は、静かに開いていているということだ。しかし、その次の場所が、夢の場所か、現実の場所かはわからない。
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デカダンスを夢み、襤褸とサロメと梅毒のかたまりになった者へ。
飢餓を喰い気が狂い、さかしまに取り憑かれた者へ。
斬首を望み、おどろおどろしいアウトローに嗤笑する者へ。
奈落の赤と黒を取り入れ、偶像への供物を貪る者へ。
この言葉を贈ろう。
「Salut!」