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ドラウパディー みんなのレビュー
- モハッシェタ・デビ (著), 臼田 雅之 (訳), 丹羽 京子 (訳)
- 税込価格:2,750円(25pt)
- 出版社:現代企画室
- 発行年月:2003.11
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紙の本
たまらなく熱く、強い小説。
2009/06/17 17:06
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:わたなべ - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは傑作。なんとなく読みはじめ、疲れていたのにあれよあれよという間に読み切ってしまった。今年読んだ本ではもっとも最高に濃密で強烈な読後感が残った。作者のモハッシェダ・デビはインドのベンガル語の女性作家で、英国政府によって強盗団と認定され武装蜂起したサンタル族などの、部族社会、アウトカースト、女性などを描いた「現代インドでもっとも重要な作家」ということだが、作品を読むと、これは現代世界でもっとも重要な作家だ、と言ってよいように思う。この本は日本で独自に編集された短編集で、乳房を重要な要素として暴力とユーモアと神話と現在性とを濃密に凝縮した文章で描いた短篇三部作を中心に、インドの現代史を抑圧されたものの側から醒めたユーモアと圧倒的な語りの圧力でさらっと書いたいくつかのわりとスタンダードな短篇が収録されている。どれも面白いが、やはり乳房の三部作は凄い。口語表現や神話など先行する枠に対する態度、など、いかにも「文学的」なのだが、現実に対する透徹した批評性が軸に一貫していて、どちらかといえば閉じていく傾向にあるそれらの言語の操作性を外へと開いていくほとんど無法な熱情の量がハンパない。ノーベル賞候補に挙がっているらしいが、ぜひとも取ってもらってもっと翻訳が進めばいいなあ。こういう作品を読むと、文学も捨てたもんじゃないという気になる。もっとも、作品についてのきちんとした書誌データが解説などでまったく為されていないのはどうなんだろうとは思った。小説家のエッセーを三つも入れるくらいだったらこれから読もうとする読者に対する便宜がもっと図られていてもいいんじゃないか。ネットで検索しても詳しいデータは英語しかない。研究者さんたちもっとがんばっておくれよ!
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