紙の本
くせになる味わい
2015/08/28 17:22
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投稿者:しろくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
「外套」は世間の隙間で生きる弱者に対する温かい視線が感じられます。ドストエフスキーは「我々は皆ゴーゴリの『外套』から生まれ出でた」と言っていますが、まさにドストエフスキーの「貧しき人々」にも通じるものを感じました。一方、「鼻」はシュールで想像力フル回転といった作品。
いずれもそれぞれゴーゴリらしさを味わえることができます。
紙の本
騙されてください
2003/02/12 21:13
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投稿者:ねんねじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
いやはや、まったくビックリしました。こんなに面白い本があったなんて!
ゴーゴリというとあのドストエフスキーをはじめとするロシアの文豪に影響を与えたと、もっぱらの話ではないですか。そんな話を聞いたら、どれほど暗く重い話だろうと想像してしまうではないですか。
しかし、そんな妄想はナンセンスでした。「鼻」の面白さといったら、もう。だって、「鼻」が五等管の制服を着て信心深そうに礼拝してるんですよ。そこに、「鼻」の主が「もし、貴方、」って話し掛けちゃうんですよ。もー、面白いったらないです。
まあ、色々とこの話にあるであろう「何か」について話さなくてはならないのかも知れませんが、そんなのは学者先生にお任せします。そんな面白くない話をして変な先入観を植付けたくはありません。とにかく、下手なお笑い見るよりこっちの方が何十倍も面白いです。騙されたと思って一読を。
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すべては『外套』からはじまった?
2002/03/01 19:40
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投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
『外套』のストーリーそのものは、たいしたものではない。貧しい下級官吏が、やっとの思いで新調した外套を盗まれ、その心労がもとで死んだあとに、冷たく当たった役人の前に幽霊となって現われる、というだけのお話。しかし、その一行一行が豊かなイマジネーションを喚起して、読後もくっきりとした忘れられない印象を残してくれる。読者の頭の中に、ひとつの小宇宙を築き上げ、その中で、いつまでも主人公のアカーキー・アカーキエビッチが「生きて」いるのだ。一個のユニークでありかつ普遍的な人間像がみごとに創出されている。「すべては『外套』からはじまった」というトルストイの言葉もうなずける名編。
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ロシアの作家・ゴーゴリの代表作。何故読んだのかというと、教科書だったからです。はい。
最初はくどくどとした文章で「うわーさすがロシア文学、やめとけばよかった〜」というのが正直な感想でしたが、入ってしまえばこっちのもの。笑えます!! 小難しいこと考えないで、素人的に読むほうが面白いと思います。授業のために5つの作品を読んだんですが、特に「外套」が好きです。ロシア文学への偏見をくつがえしてくれた1作。
……まあ辛気くさいことには辛気くさいと思うんですけど。
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ロシアの小説家、ゴーゴリの代表作ともいえる作品です。
役場に勤めるうだつの上がらない、ただただ日々をすごしているだけの小役人が、少ない給料を貯めて作った金でコートを買う。
男はそのことを喜び、仲間はそれを祝ってパーティまで開いてくれるがその帰り道にコートを追いはぎに奪われ、寒さと絶望からその男は死んでしまう。
そしてその男がコートを奪われたところでは通行人からコートを奪う幽霊が現れ…、という話。
など。
結構、とんでも話ですがかなり面白いです。ロシアの作家では一番好きな人です^^
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二作品ともユーモア溢れる寓話。外套に執着する男にしても、鼻がなくなる男にしても、どこか愛らしい気がする。ペテルブルグの描写を見ると、ドストエフスキーもゴーゴリに影響されたのもよくわかる。
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アーカキィ・アーカキエウィッチって名前がなんともユーモラスでいい。あと、権力ってのはもっててもしょうがないものなんだなと思った。
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情けない。そんな彼に共感する自分も情けない。辱められた者の内に秘めたる精神世界。そうそう、これこそロシア文学。
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運命に辱められた男、アカーキー・アカーキエヴィッチ。新調した外套の完成日。だが、救いようがない展開へ・・・下層市民に対する憐憫の情にあふれた作品「外套」
ある朝、目が覚めると鼻がなかった。鼻は理髪師のパンの中から出た。鼻は自我をもって歩き出し、鼻の持ち主は翻弄される。ゴーゴリは「こうした出来事は世の中にあり得るのだ・・・あることはあり得るのである」
"人を食ったような話"とはまさにこの事、「鼻」。
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ロシア旅行の準備で購入。外套ってこんなはなしだったっけ。記憶違いがあったようで実際読んでみてよかった。
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ロシアの貧乏人らしさがよく出ている「外套」も、幻想的で奇妙な「鼻」も、どちらも楽しい作品。ロシア文学らしい、喜劇的ながらも人間愛に満ちた良作。
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<07/2/12読了>芥川ばりのユーモアとペーソス、山田風太郎ばりの奇想。19世紀の作品だというのにとても面白く読めました◆「鼻」は主人公の鼻が突然主人公から離れて一個の人格として街中を跋扈し、主人公による追跡劇が繰り広げられるという山田風太郎ばりの奇想が楽しめる愉快な作品。主人公のちょっとピントのずれたじたばたぶりが笑えます◆「外套」はドストエフスキーをして「われわれは皆ゴーゴリの『外套』の中から生まれたのだ!」と言わしめ、後のロシア文学に大きな影響を与えた名作。「外套」がどこをしてドストエフスキーたちをそこまで感銘せしめたのか凡人の私には分析できませんが、ゴーゴリの人物造形の確かさ、ストーリーテリングの巧みさは私にもわかりました◆「外套」は読んでいる間物語の展開が少しご都合主義的だし、乱暴な気もしてちょっと気に入りませんでしたが、読み終わってしばらくたってから、心の底から何か余韻のようなものが立ちのぼってくるのを感じました。しみじみとした悲哀というか、静かな怒りというか、愉快でほのぼのとした気持ちというか、そういったさまざまな感情がないまぜになったような・・・・◆読み終えるまではちょっと不満だったのに、読み終わったとたんにそういうヘンテコな気持ちにさせられる。そこんところが名作の名作たる所以でしょうか。
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やさしい眼差しがあふれる外套と、不条理で解釈を否定する鼻。ゴーゴリのユーモアは、時々寂しさすら感じさせる。
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ゴーゴリの代表作かな。外套の哀れさ、悔しさ、幽霊になってまで彷徨う主人公。小説の原点のような気がします。
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ロシア文学の大家ゴーゴリの端編作品。外套は、非常に会われな凡人に生じた不幸を扱っており、最後がせめてもの救いだが、それがなければただの不幸な話でしかないと思う。
鼻に関しては意味不明な点が多々ある。確かにドフトエフスキー等が影響を受けたという事が理解できる文章表現もあったが、それでも意味不明。ストーリーがめっちゃくちゃに感じるしね。