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紙の本
「あとがき」より
2006/02/15 18:29
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東雅夫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、二〇〇三年八月に〈怪談双書〉の一巻として刊行された『怪談之怪之怪談』に続く、私ども怪談之怪にとって二冊目の共著であります。
前著『怪談之怪之怪談』では、各界を代表する怪談好き文化人の皆さんをゲストにお招きし、主客一丸となって「怪談を共に聞き、語らい、とことん愉しむ」怪しの宴を繰りひろげました。
これに対して、今回の『怪談の学校』に御参集いただいたのは、全国津々浦々、あたかも秘密結社か草の根運動のごとく散在し潜伏する怪談之怪準怪員の皆さんです(あまりにも深く隠れ潜んだせいか、いまや消息が分からなくなってしまった怪員も少なくありません……別掲の怪員名にお心あたりの方は、編集部まで御一報くださいますよう、私からもお願いいたします)。
怪談之怪準怪員——それは、雑誌『ダ・ヴィンチ』の「怪談之怪」コーナーに、投稿作品が掲載された方にのみ与えられる称号であります。
怪談之怪では、一九九九年一月の結成直後から一貫して、『ダ・ヴィンチ』誌上で、読者の皆さんからの怪談投稿を募集してまいりました。
そして一九九九年五月号から二〇〇一年六月号まで全十六回にわたり、怪談之怪メンバー四人による合評会形式の入選作発表コーナーが開設されたのです。
怪談之怪の活動が第二ステージに突入した二〇〇一年十一月号からは、メンバーがリレー形式で講評を担当し、添削指導をおこなう「怪談之怪・創作教室」としてリニューアル・スタート。この創作教室コーナーは、二〇〇四年八月号まで全二十五回にわたり掲載されました。
この間、なんと一千編近い投稿作品が、編集部に寄せられたのです。
怪談之怪準会員の資格を得ることが、いかに狭き門であったか、この数字からもお分かりいただけることでしょう。
本書には、こうして選出された準会員の皆さんによる投稿作品の総てと、各編に対する怪談之怪メンバーの講評が収録されています。
いうなれば本書は、怪談之怪メンバーと読者代表たる準会員の皆さんが一丸となって「怪談を蒐め、書きあらわし、読み解く」ことのスキルアップを追求した、怪しの錬成場なのです。
以て『怪談の学校』と名づける由縁であります。
世に怪異奇談に関わる書物は数多あるとは申せ、怪談創造の具体的手法を、ここまで実例に即して指南する試みは、おそらく史上初ではないかと自負しております。
新たな怪談の担い手たちが、陸続と生まれいずるために。
あるいはまた、「書く」という行為を通じて、怪談への理解がよりいっそう深められてゆくために。
本書の試みがいささかなりと同好の士のお役に立つとしたならば、怪談之怪メンバー一同にとって、これに優る歓びはありません。
怪談之怪■東雅夫
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