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終末のフール みんなのレビュー

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みんなのレビュー720件

みんなの評価3.9

評価内訳

718 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

“いさかこうたろう”が奏でるおとなたちのための童話。

2006/05/23 02:48

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:トラキチ - この投稿者のレビュー一覧を見る

本作は今までの伊坂さんの作風を継承しつつも、新しいスタイルというか方向性をも取り入れた新境地開拓の作品と言えそうだ。
簡単に言えば、少しの群像劇と大きな心の葛藤を描いたメッセージ色の強い作品。
『死神の精度』よりも本作の方がずっとメッセージ色が強い。
『死神の精度』では特異な能力を持つ主人公が登場したが、本作においては各編ごとに主人公が移り変わりなおかつごく普通の人間が描かれている。
だから、前者は単なるSFエンターテイメント作品の域を超えず、逆に本作は少なからず身につまされる作品である。
展開のスピード感や会話の軽妙洒脱さに関しては他作より劣るが、読んだ誰もがひとごとではないと感じる筆さばきは見事のひとこと。
8年後に小惑星が落ちてきて地球が滅亡するアナウンスされた2×××年。
それから5年、ようやく大きな暴動も収まりつつある小康状態の仙台市北部の団地が舞台。
伊坂氏は、本当に仙台の街が好きなのであろう。
伊坂氏の強みはたとえば暴動が起きている最中のパニック小説も書けるであろうし、本作のように小休止状態で少し考える余地が出てきた人間を描くことも可能。
過去の伊坂作品と比べると、作品の醸し出すテイストはどんよりと重い。
絶望的な状況のもとで葛藤する登場人物たち。
どの短編も1編1編読ませてくれる。
すなわちどの主人公にも感情移入できるのである。
とりわけ印象的だったのは「太陽のシール」と「鋼鉄のウール」。
前者は世界があと3年で終わろうとしている矢先に、今まで不妊で悩んでいた夫婦に生命が宿る。
生まれてきても3年しか生きられない子どもを産んで幸せなものかどうかと悩む夫婦の葛藤ももちろん素晴らしいんだけど、高校時代の友人・土屋の話にはホロッとさせられます。
後者はキックボクシングの武田幸三選手をモデルとした話なんだけど、苗場の生き方がとっても魅力的なんだ。
あと3年で世界の終わりを告げられても動じることなく、いつものようにボクシングのトレーニングに明け暮れる毎日。
苗場の次の言葉が伊坂氏の本作のメッセージを代弁している。
『明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?』『できることをやるしかないですから』(本文より引用)
もちろん連作短編集として、いや、長編小説としても上手く話が収束する。
あたりまえのことであるが、私たちの住む世の中は平和である。
ちいさな悩みなんかにとらわれずに、一生懸命生きて欲しいという作者の強い訴えを感じずにはいられない。
最近の伊坂作品は読者に呼びかけしているような気がする。
若干の作風の変化を感じずにいられない。
ただ、本作を読み終えて『陽気な②』のような完全にエンターテイメント作品も必要なような気がした。
伊坂氏の呼びかけに呼応するために、私たちは童心へと帰らなければならない。
童心に帰って読めば読むほど、明日からの生活の大きな糧をより多く得ることとなるはずである。
青春を熱く描いた『砂漠』、人生の意義を巧みに描いた本作『終末のフール』で伊坂氏のひとつの到達点を目の当たりにした。
読者は人生の意義をもういちど考え直すことを余儀なくさせられる。『砂漠』と本作を両方読むことによって、伊坂流の生き方が伝授されそうな気がする。
単なるエンターテイメント小説の旗手から後世に名を残す作家へと、今まさにホップの段階が終わりステップ→ジャンプの段階に突入したと考えてよさそうだ。
これからも読者いや国民の心に根ざす作品を上梓し続けて欲しいなと思う。
伊坂氏なら使命をまっとうできるはずだ。
なぜなら『できることをやるしかないですから』・・・
そういう言葉がきっと返ってくるはずだ。
私は、作中のキックボクサーのモデルは伊坂さんじゃないかなと思っている読者も多いのであろうと確信している。

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紙の本

伊坂版アルマゲドン

2006/04/26 23:47

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ナカムラマサル - この投稿者のレビュー一覧を見る

 舞台は近未来の日本。8年後に小惑星が落ちてきて地球が滅亡すると発表されてから5年が経った。その間に世の中は乱れに乱れた。
 “伊坂版アルマゲドン”は殺人、放火、強盗が横行し、人間の本性があらわになった阿鼻叫喚の世界を描くのではなく、ひとしきり暴動が済んだ後の一時的な小康状態の中の市民の姿を描いている。
 著者とは同年代だが、読みながら年寄りみたいな人だな、と思った。もちろん良い意味で、だ。若者に人生を示唆する役割を担った人としての。
「こんなご時世大事なのは…常識とか法律はなくて…いかに愉快に生きるかだ」
「あなたの今の行き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」
「死ぬより怖いことはたくさんある」
 『死神の精度』を読んだときにも思ったことだが、こういったセリフに出会うと、「死」というフィルターを通して、いかに生きるべきかを著者が必死に示しているかのように思えてくる。
 本書の主人公たちはそれぞれ事情を抱えながらも、前向きな姿勢で日々生きている。3年後にはみんな消滅する悲劇的な状況の中で日常生活を送る彼らの姿に学ぶところも多いし、彼らは助かるのではないか、という一縷の望みを捨てずにはいられないのだ。

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紙の本

幸福とは?

2015/08/31 21:29

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:FUMI - この投稿者のレビュー一覧を見る

もしも、終末が訪れるとしたら?
 「幸福とは?」ということを問われている。
(「どういうふうに終末になるのか?」というのはテーマではないので書かれていない)
 生き方を思わず考えさせられる物語。

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紙の本

まるで、呼吸のような物語。

2006/04/09 20:06

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:笹岡さら - この投稿者のレビュー一覧を見る

毎回毎回、突飛な設定で私たちを楽しませてくれる伊坂幸太郎さん。今回の設定も、3年後に、隕石落下によって滅亡してしまうかもしれない地球が舞台。隕石落下、そして人類の終焉という情報によって、殺人、強盗、なんでもござれな最悪の時代をくぐり抜けた、小康状態な状況設定が、登場人物たちの心情を、より一層、ひきたたせているように思う。最悪でもなく、かといって、勿論最高でもない。不穏で、不安で、窮屈で、けれど、とても静かな時間が、そこには流れている。
3年後に「死」が、或いは「滅亡」がまちうけているとは言っても、人間、死なない限りは生きて行かなくてはならない。生きていたくなければ死ぬしかないし、死にたくなければ生きていくしかない。生きているしか、ないのだ。そして、その呼吸は、止まらない限りは、続いていく。そんな当たり前の、至極当然な人間の、人生の営み、時間の流れが、登場人物たちの呼吸とともに、文章から伝わってくる。まるで、呼吸そのもののような短編集。
個人的には、とある登場人物の「できることをやるしかないですから」という言葉が、この物語を象徴しているように思う。3年後であろうと、明日であろうと、1秒後であろうと生きている人間は、必ず、死ぬ。死ぬとわかっていながらも、喜び、笑い、傷つき、苦しみ、悩み、あらゆる事を体感していく。呼吸を、していく。呼吸を、している。それこそが、生きている人間の「できること」なのだ。
伊坂史上、最も静かで、最も深い物語だと、私は思う。

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紙の本

内容紹介&出版社コメント

2006/02/17 14:25

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:集英社 - この投稿者のレビュー一覧を見る

2***年。「8年後に小惑星が落ちてきて地球が滅亡する」と発表されてから5年が経った。恐怖心が巻き起こす、殺人、放火、強盗・・・。社会に秩序がなくなり、世界中が大混乱に陥る中での、仙台市北部の団地に住む人々の葛藤を描く。自分の言動が原因で息子が自殺したと思い込む父親(「終末のフール」)、長らく子宝に恵まれなかった夫婦に子供ができ、3年の命と知りながら産むべきか悩む夫(「太陽のシール」)、妹を死に追いやった男を殺しに行く兄弟(「籠城のビール」)、世紀末となっても黙々と練習を続けるボクサー(「鋼鉄のウール」)、落ちてくる小惑星を望遠鏡で間近に見られると興奮する天体オタク(「天体のヨール」)、来るべき大洪水に備えて櫓を作る老大工(「深海のポール」)など8話で構成される短編小説集。
*****
<編集者コメント>
もしも、地球滅亡まであと3年だとしたら・・・。あなたは残りの日々をどう過ごしますか? 全人類が滅びるその瞬間、あなたは誰といますか? 「終末のフール」は、そんな厳しい問いかけを投げかける連作小説集。息子を死に追いやったと思い込む父、子供を授かった夫婦の苦悩、擬似家族と過ごす元舞台女優、黙々と練習を続けるボクサー・・・。親子、兄弟、夫婦、友人など、伊坂さんのこれまでの作品にも取り上げられた人間関係のエッセンスが、一遍一遍に凝縮されています。愛する人を亡くしても、世界の終わりが近くても、それでも人は必死に今を生きていく・・・・普通の人々の悲喜こもごもが時に哀しく時に滑稽に描かれます。
担当編集は、伊坂さんから原稿をいただくと、他の仕事を放って(笑)静かな喫茶店に直行し、むさぼるように読みました。そしていつも満足のため息をつきながら、コーヒーを飲む・・・という編集者冥利につきる時間を過ごしたものです。ある時は、思わず涙腺がゆるみ困惑したこともありました。登場人物と性別や年代や状況は違っても、それぞれのどこかに自分を重ねる思いになる・・・つまり、今の自分を照らし出す小説なのです。8話、全部いいです! 伊坂さんも「一作一作書いていくたびに、達成感があった」とおっしゃる極上の作品群。自信を持ってお奨めいたします!

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2006/04/02 14:27

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2006/12/06 17:55

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2006/07/09 07:01

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2006/09/23 15:57

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2006/03/30 19:04

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2006/04/12 20:22

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2006/04/09 00:31

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2006/04/21 01:07

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