紙の本
ひとりひとりが考えないと
2007/06/21 18:51
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:良泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ニュースキャスターの筑紫哲也氏が癌におかされていることを自ら告白し休養に入った。氏の一日も早い回復を祈りつつ、あらためて氏の著作「スローライフ」を再読した。
人間の文明は、あきらかに急激に進歩しすぎた。自然の悠久の歴史に比べ、あまりにも早すぎた。数ある動物種の中で人間だけがなぜか急ぎすぎてしまった。
そのツケは、すでにあちらこちらに現れている。最も顕著にそれが見られるのが、地球環境の破壊である。温暖化による環境激変などは、すでに手遅れに近い状態といえる。
そして今や人間の発するゴミは宇宙空間にまで散らばっている。他の惑星や宇宙環境にまで悪い影響を与えるようになる日もそう遠くはない。
しかし、もっと身近に、急ぎすぎた人間文明が本当に悪い影響を与えているものがある。それに気付いていない人が多い。それは、人間自身の身体・精神に対してである。
人間、特に日本人は、今や危機に瀕している。連日のストレスと疲労が頭も身体も蝕み、多くの人が病んでいる。
自殺者の数は今年も3万人を超えた。
少年犯罪が話題となることが多い。昔では考えられなかったような悪質な犯罪や残忍な犯罪のニュースもよく聞かれるようになった。
どこかで、この流れを止めないと、人間は地球誕生以来で最初の「自滅する種」となり、地球上から消え去ってしまうことになるだろう。
そのための処方箋が「スローライフ」である。これまで進めてきた生き方を大きく見直す必要がある。自然の悠久さにあわせて、少し生活をペースダウンさせる必要がある。
国の悪政により格差がますます強調され、豊かな生活を得るための競争があおられる今の日本。その中で、自分の生活を見直し、少しペースダウンを考えることは勇気がいる。しかし、それを、今、一人ひとりがしていかないと
紙の本
自分という「木」
2009/03/19 08:22
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
携帯型音楽再生機が普及し始めた頃、交通機関や公共場所での「音もれ」が社会問題になったことがある。それを「カシャカシャ」という擬音で表現したものだ。最近「癒し系」の音楽(特にクラッシック)などを聴いているのだが、それが「カシャカシャ」ではない音楽のテンポであることに気付く。
流行歌など聴かなくなって久しいが、彼らのリズミカルではあるけれど溢れんばかりの音量と速すぎるテンポについていけないのだ。
音楽の世界にモーツァルトが残ってよかった。
この本は昨年(2008年11月)亡くなったジャーナリスト筑紫哲也が2006年に出版した、スピードと効率を追い求める世界に対する「異議申し立て」の書である。
筑紫流にいえば、「多事争論」のひとつということになろうか。
筑紫は自分の論説が正しいとは書いていない。この世界にはたくさんの論理があることを認めないといけないと主張する。
例えば「ファストフード」は時代の欲求により、より早くより廉価に私たちに食を提供してくれる装置だが、そればかりが拡大することに「異議」を申し立てているのだ。
力で抑えようとする側というよりも、力で抑えられようとする側(無意識であれ)に対して「異議」の存在することを知らしめているといえる。
そして、それが「異議」であるのかないのかは、自分が決めることなのだと書く。
副題となった「緩急自在」という言葉について「ゆったりしようが、急ごうが、それを決めるのは自分、それが緩急自在ということではなかろうか。さらに言えば、その自分はその時々、気分次第でどちらにも自在に動いてもよい」(41頁)と記しているように。
だから、この本は「スローライフ」や「食生活」「学習」といった問題だけではなく、自分の「立ち位置」を考える本として読むのがいいだろうし、そういう点で多くのことを学んだ一冊でもある。
最後にどうしても紹介しておきたい文章がある。
それは「「木」を見直す」という章に書かれていたこんな文章だ。
「木は二つの「生」を生きる。樹木として成長する間と、木材として使われる間である。(中略)木は木材となってからも、ゆったりとしたペースで一種の「成長」が始まるのだという」(163頁)。
筑紫哲也という「木」はふたつめの「生」を歩き始めたばかりである。
◆この書評のこぼれ話はblog「ほん☆たす」で。
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もう少しゆっくり生きてみては?
2015/08/17 22:42
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投稿者:T.s - この投稿者のレビュー一覧を見る
昨今、合理化、効率化。どうです?あなたの生活は楽になりましたか?
スマートフォンもそう。何がスマートなのか分かります?
もう少しゆっくり生きましょうよ。生きているそんなことを感じながら。
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筑紫哲也さんというと、
「NEWS23」
「堅い」
という先行イメージが強かったのですが
「あ、すごいすごい、やっぱ、先をみているんだなぁ、すごいなぁ・・」
とおもった傑作です。
「スローライフ」そのものの起源や
「二宮尊徳」など、
おもしろい本ですよ。
「平日はなんだかいそがしいなぁ・・・」と嘆くあなたにこそ有用な一冊♪
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09年1月30日、学校図書館にて。
08年11月11日22時20分08秒より更新
食のグローバル化の問題から沖縄問題、9.11以後や宗教間の対立など幅広いテーマを網羅。
日本このままで大丈夫か?っていう内容で、警鐘を鳴らしている。
反権力をモットーにしているからこそ、深く追求しているのだろう。効率化一本やりの現状を変えようとし、また、勝ち負けの一元論ではなく多元論で語れといったことも、読んでいて心に残った。ロハスのことはあまり印象にない。
読んで良かったと思う本だった。
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ケータイを持ったサル:正高信男
テオ・アンゲロプロス:旅芸人の記録、シテール島への船出、ユリシーズの瞳、永遠と一日、エレニの旅
要約
1)自発性こそが全ての出発点であり、命である。
2)ゆるやかな結びつきを組織原則とする。参加者ができる範囲で割ける時間を使ってやれることをやる。
3)小さいことは良いことだ
4)他の「同好」グループとの結びつきは「水平型」「ネットワーク型」を目指し「垂直型」を採らない。
5)「正統性」に固執しない。自分達がやっていることだけが正しいとは考えない(富士山の頂上に到達するにはいろんな登山口がある)
6)寛容とゆとりを持とう。
7)「快」「楽」を最優先にしよう。いくら正しいことをやっていても、それが苦しげに見えたら多くの人の共感を集めることはできない。少数派が多数派に働きかけるための最大の決め手はこの「共感」である。
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タイトルに惹かれて手に取る。筆者の事は名前しか知らなかったけど、「惜しい人を亡くした」という言葉の意味をうっすら思った。文中に登場する忌野氏についてもしかり。
以下メモ
・9.11から教育まで、話が随分と多岐に渡っている。驚き。
・割と柔らかい文体、各所説明が丁寧で読みやすい。
・自在という言葉に、自らが在る、自らが決める、自発的である、という意味を見出す。まさにこの人自身の在り方なんだろうなあ
・緩急自在=スローとファストの在り方、バランスを自分自身で決める。という事か。
・カウリスマキ、アンゲロプス等々、ちょっと気になってみたり。
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就職活動で焦っていたので、気持ちのバランスを取るために読んでみました。その名の通りスローな時間を求める本ですが、話はいろいろなところに飛び、食べ物や森林の話も出てきます。自分の人生を考える上で、こういう考え方もあるんだ、と発見が多かった一冊。
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これも非常に昔に読んだ本で内容はあまり覚えていないが、上京した自身が忙しく、また目まぐるしい都会の喧騒にまだ慣れていなかった頃だと思う。
本書の書評を農水省のインターンの応募用紙に書いたことは記憶しており、その意味で印象深い本。
・失われた子どもの楽園:目に光がない子どもたち。
・ロハスのすすめ、森林の危機:ロハスとは、Life-styles of Health and Sustainability = LOHAS (健康で持続可能性のあるライフスタイル)
・真の勝ち組になるために
→「日本人はなぜもっと幸せになろうとしないのだろう。そのためにボクは映画を作り続けているのに・・・」(黒澤明監督)
→「正統派」には固執しない。自分達がやっていることが大事で、正しいことだと信じないことには運動の活力は出てこないのはたしかだが、それが他社、他グループを非難、排撃する理由になってはならない。
→寛容とゆとりをもとう。
→「快」「楽」を最優先にしよう。いくら正しいことをやっていてもそれが苦しげに見えたら、多くの人の共感を集めることはできない。
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著者とタイトルがいまひとつ結びつかず。。。
さまざまな観点で著者の思いが語られていく。
共感したり、しなかったり。
最後は、スローライフでもめまぐるしいとの印象が残りました。
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私はマスコミが好きではありません。
何故かな?と考えると、理由は発言に責任を持たず、
ただ追い回して報道しているだけの姿勢がまざまざと見えてくるからだと思います。
そんな私が偶然本書を手に取りました。
これはマスコミなどについてを中心に扱った本ではないですが、
マスコミの中でも大きな影響力を持っていた方の本を読むなんて、
我ながら珍しいと思いながら読んでしまいました。
「常識を見直す。固定概念をゆさぶってみる」
スローライフとはただゆっくりと生活するのではなく、
「自分を持った」生き方を提案するものだと感じました。
日本はものすごい速さで戦後復興を果たし、
今の経済的地位を確立しています。
しかし、スピードに目がくらむあまり、
大切な何かを置き去りにしてしまったのかもしれません。
GDPは増大しました。
飢餓や衛生状態が原因で亡くなる方も減りました。
では、ここで聞きます。
「あなたは今幸せですか?」
気が付けば自分を持たず、ただ急な流れに流されていただけなのかもしれません。
ちょっと人生に迷ったり、人と違う思考をして悩んだりした際には、
本書をパラパラとめくってみると良いかもしれません。
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[ 内容 ]
IT革命の進行の下で、いま暮らしと仕事のあらゆる領域でスピードや効率を求める勢いが加速している。
だが、他方でその潮流への根本的な懐疑も確実に拡がっていよう。
「秒」に追われるニュースキャスターならではの痛切な問題意識に立って、「スロー」に生きることの意味と可能性を全国各地の食生活・教育・旅などの実例から考える。
[ 目次 ]
「それで人は幸せになるか」
スローフード、9・11、一神教
ファストフードの時代
寿司と蕎麦、そして「地産地消」
「食」の荒涼たる光景
小さな旅、スローな旅
失われた「子どもの楽園」
急ぐことで失うもの
「学ぶ」ということ
「スローウエア」「ファストウエア」
ロハスのすすめ、森林の危機
「木」を見直す
長寿と「人間の豊かさ」
スローライフ、北で南で
真の「勝ち組」になるために
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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タイトル通りというか…
ゆっくり、ゆっくり読み進めた。
今の生活はあまりに気ぜわしい。
自分はあのゆったりした時間が持てて、ほんとによかったと思う。
スローへの共感は体験した人でないとなかなか難しいと思うが、
それをこちらが実践して興味を持たすことはできるかもと思った。
いい本ですよ。
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★日本やアメリカの状況を見ていると、もう確実にこれまでの価値観では立ち行かなくなってきているのを感じます。
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緩急自在。この副タイトルがいい。
テンポ早く進む時代だからこそ、スローな視点も必要。
スローライフ、理想の生き方にしたい。