紙の本
邪魅の雫
2016/11/10 20:28
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投稿者:BabymetalSucks - この投稿者のレビュー一覧を見る
小説全体における様々な趣向がけっして効果的には機能しておらず,たとえば人物の心情描写は図式的な説得性に欠ける傾向にあり(図式的であること自体はこの作家の持ち味である),またそれぞれの人物の心内語をまたがるいくつかの概念の符丁は散漫な印象に留まっている.
魅力的でない謎が曖昧に変化していきながらも,しかしその精緻な情報取得のプロセスが淡々と進行する本作の異様な展開には驚嘆すべき構築力が示されてもおり,それゆえにこそ細部と構成との不明瞭な歪みにもとずく散漫な印象を禁じえないのである.
まるで書きたくもないものを手癖で書いているかのようでもありながら,にもかかわらずこれだけのものが書けてしまうという才気を異様な形(ある機械が作動するプロセスの禍々しさのごときもの)で露呈させている点において,むしろ文学的に評価すべきなのだろうか.
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えーと、京極堂シリーズの新作です(←妖怪シリーズとは言わない主義。サマーの「活くら読者のヲタ系文学少女は俺の言葉で踊れ踊れ」作戦なんぞに引っかかってたまるか!ヤツの作品は全部妖怪だっての!爆笑)
今回は、ワタシが好きなキャラベスト3に入ってる益田の視点で進みます♪て言うか益田と鳥口ってちょっとキャラが被ってるよね(爆)だから最近鳥口の出番が少ないのかな?
ストーリーは毒殺でストーカーでセカイ系です(何)ミステリなんでヒントになるようなコメントはナシにしときます(笑)
あ、榎木津神は相変わらず榎木津神でした。まる。何かもうキャラクタというより記号化されてる感があるので、エノさんには萌えなくなっちゃったなぁ…。
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火曜サスペンス劇場のよう…。
でも、しかし、シリーズのファンとしては待望の新刊。くやしいけどやっぱり大好きだ京極堂シリーズ!
でも火曜サスペンス…。
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次々と破談となる榎木津礼次郎の婚約話に何か裏を感じた榎木津の伯父今出川からの真相調査を命じられ、薔薇十字探偵社の探偵見習い益田は成り行きで調査活動をはじめる。
一方、木場ともども降格左遷されていた青木刑事は、本庁・公安・県警本部の合同捜査本部が設置される、不可解な毒殺事件を追っていた。公式的には単独の事件とされながら、上層部は何かを隠蔽しつつ、連続殺人事件として捜査指針を下される二件の殺人事件。しごく真っ当な操作手順を敢えて飛ばす本部の指示と、警察内部の三つ巴の縄張り意識の軋轢の中で、青木は所轄の若手捜査員とともに独自の捜査を進めていく。
そして、長野県警を退職した胡乱な男大鷹は、謎の女から、一人の女の身辺警護を依頼される。
ご存知の面々がそれぞれの思惑の元に集う先は平塚。そして、海沿いの寂れた町にまた新たな毒殺事件が沸き起こる。
大まかな構成はシリーズ通してのフォーマットに則っているものの、京極堂の妖怪講釈が無かったりなど、ちょっと趣向が変わっている。メインで活躍するレギュラーメンバーが地味な2ndリーグの顔ぶれである。が、元あるいは現役の警察関係者で〆られているため、ちょっとした警察小説めいた展開で物語が進むところも、目先の変わったところだ。
事件そのものはそれほど複雑ではなくテーマ性も明解。が故に、ちょっと食い足りない感があるかもしれない。特に、勘のいい人間なら、割合はやばやと帝銀事件および堂島大佐の匂いを感じ取る事だろう。ただし、良くも悪くもその予断は裏切られるので、アンチ『塗仏の宴』なファンは途中で投げ出す必要は無いと思う。。。。。あの結末をみてどう思うかは与り知らないけれどね。
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青木文蔵がんばっちゃうぞ刑事さん編。
いつもとちょっと文の雰囲気違うのもまた一興。ただ、後半走ってしまった感もあるが、とにかく青木君大活躍。
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京極堂シリーズの中で、読後に一番後を引いた。最後の榎木津の短い言葉の数々。思い入れのある登場人物だけに、その気持ちを察するとあまりに辛い。
レギュラーメンバー達が面の下を見せる中、前作、陰摩羅鬼と同じく関口に共感を覚える。
また真犯人の「対等でありたい」心、大鷹の混沌など、身につまされる。
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久々の京極の新刊。久しぶりに面白かった。世界は私にとって見えるものがすべてであって、会話が他人と共通の理解のもとに成り立っているなんていうのは幻想だと。わかっているはずのことを改めて教えてくれる本。京極は前提となる(一見関係ない)ルールを説明する部分が面白い。この本が面白かったのは、榎木津が『姑獲鳥』『魍魎』の辺りくらいまでと同じく論理を持って喋っていること(最近のは奇矯すぎて好きになれない)、関口がきちんと喋っていること、今までキャラクターの個性が変な方向に流れすぎていたのをある程度最初の頃に引き戻してくれたところが、久々に嬉しかった。山下警部補、今の彼となら、一緒に働いてみたいですね。責任やけじめを取るところが格好いい。
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久しぶりに「読書って面白い!」と思い出させてくれた傑作です。
「塗仏の宴」あたりまで、少し暴走気味だなーと、キャラクター小説になりつつあるなぁと思っていたのですが、前作『陰摩羅鬼の瑕』と今作『邪魅の雫』と、とても好きな感じです。
関口にとても感情移入してしまう。探偵の意外な一面もありの、古本屋が担ぎ出されたのでなく自らシャシャリ出てきたり、少し違った趣向も面白いです。そして、読んでも読んでも読み終わらないこの長さがいいですね。こんだけボリュームがあると満足感もひとしお。長さで価値が決まるわけではないけどね。もちろん。
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待ちに待った新刊。黒幕(と言って良いものか…)はすぐに分かりますが、でも面白い。もう、いつものメンバーが生き生き動いてるの見れただけで満足。
最後まで読み終えた後、もう一度最初から読み直したくなる力があります。
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記念すべき(?)ブクログ登録100冊目は京極夏彦の新刊で!何がすごいって、今年読んだこの100冊のうち、これが購入したはじめての本だということです…(爆)あとは全て図書館から借りてます(苦笑)
今回はなんか切なかったです…、榎さんが…。終盤の京極の科白「辛い言葉を〜」には泣かされそうになりました。
あとはー、青木くん大活躍でなかなかかっこいいじゃんとか。
益田くんは榎さんに認めてもらいたいんだねぇ、とか。関口が榎さんを心配して、あまつさえちょっと怒っちゃう(!)なんてめずらしいもの見た、とか。…榎さんが皆を本名で呼ぶと、なんだかドキドキする!とか(笑)
でも何よりも感じたのは、榎さんの元気がないと、作品のカラーがこんなにも暗くなっちゃうんだなぁと。ファンなので、たまにはそんな彼を見れるのも嬉しいですが、やっぱり彼の傍若無人な高笑いが聞きたいなぁ!
次回作も楽しみに待っております。それまで時系列順に既刊を読み直しつつ…。
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シリーズ八作目。「魍魎の匣」の対となる作品ですがあれほどの破壊力はありません。一冊の作品として読むと面白いですが、シリーズ通して見ると凡作。前作で感じた冗長な部分は本作でも感じられました。ただ本作は妙にリアルなところがあり、それが怖かったです。
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己は世界の中心にあらず、己が世界の一部にある。仏頂面の拝み屋が語る世界は世の理であるかのように、全てを調和させてゆく。法ではどうにもならない元凶を断罪した一言に脱帽。さすがは京極、読ませてくれた。
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首を長くして待ってました!極センセ!
とうきうきしながら読み始めるも
なんだこのいつもとちょっと違うような感じ……いや違わないのかなぁと読み進めて
最後に「あぁー」と一言漏らして読み終えました。
ホント面白いです。面白いんですけどもある人が可哀相ではなくて…辛い気持ちになってるというのが煮え切らないというか…(人が人なだけに)
でも待ってた甲斐がありました。サクサク読めちゃうけども内容はいつものようにずっしりこってりしております。
私的には関君のカバンの件が一番ぐっときました。
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前作が個人と周りの世界のずれが起こした事件なら、今回はいくつかの「世間」が微妙に重なりずれていることで起きた事件。知らないところで自分に対して育ってゆく殺意。それは程度の差こそあれ、現実に起こりうることだと思います。そして今回、関口君が回復しているようで安心しました。不健康な思考を健全に発露しているというか。ただ京極堂の薀蓄が少なかったのが非常に残念。ラストはこれまでにない切なさです。
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今回は榎木津の物語なのかな。神がなかなか出てこないのでやきもき。妖怪話もほとんどなくどんどこ読めます。今までは事件が収束していくタイプの話が多かった気がしますが、今回は事件が分散していく手法。わりとライト感覚で読めます。