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紙の本

肩の力を抜いて……。

2009/07/25 09:53

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:紅葉雪 - この投稿者のレビュー一覧を見る

秋月菜央さんの言葉は簡潔で、カサカサに乾ききった心にすっと染みてくる。
そしてその言葉を補い、同時に引きたてるように添えられた綺麗な写真たち。

これはシリーズものでもあるのだが、自分も何冊か手元に揃えている。シリーズでは、今までに写真家の中村庸夫さん等と組んだ本が出ている。

見開きで一つのメッセージと一枚の写真での構成。
写真が自分のトーンに合うものが多いので、単純に写真集を楽しむように、このシリーズを手にする事もある。

この「あした」は、シリーズ中でもダントツで気に入った一冊。

写真家の吉村和敏さんについては、以前にも写真集「BLUE MOMENT」の書評を書かせていただいたことがある。
自分がファンの写真家さんだ。

その二人が組んでの一冊なのだが、恥ずかしながら少し前まで、この本が出ている事を自分は知らなかった。偶然知って慌てて購入した次第。


この本は、bk1の内容説明、そして本の帯によると「リラクゼーション・フォトブック」となるらしい。この手の本は、読み手によって合う・合わないがきっぱりと分かれるだろう。

このシリーズのファンの自分ですら、精神状態によっては、『そんな気持ちになれない』と心が言葉を拒否することもあるのだから。

そんなときは、写真だけでもぼんやりと眺めてみることにしている。
ちなみに。
この「あした」には、吉村さんが撮った美しいカナダの風景が添えられている。

bk1の「内容説明」に書かれた、

「明日に向って 立とう/過去に向いたりしないで/明日は 明るい日/今日は 今を生きる日/明日を見ながら/今日を生きれば/毎日 明るい日が続く」

これは帯にも使われているのだが、この本の最後のメッセージ。そこに添えられたのは、青空に向かう白と赤の灯台の写真。
まるで幸福な『あした』を象徴するかのよう。

そしてもう一つ。
この本の最初のメッセージは、書名の「あした」にふさわしく、ふと息をのみたくなるもの。
こちらも引用させてもらう。

「過ぎてしまった日々は/もう 変えられない/でも 明日は/変えることができる/いくらでも」

そこから始まり、30のメッセージと写真が収められている。
好みの問題等はあるだろうが、ホッと肩の力が抜ける一冊だ。
ぜひ手にとって、お気に入りの『言葉』や『写真』を見つけてもらえればと思う。

最後に。
何度ページを繰っても、必ずそこで手が止まってしまう、ある言葉がある。
そこに添えられたのが、カバー写真と同じものだ。青い空と一面の黄色い花。
メッセージの一部だけを引用する。

「すべての命は/幸せになるために生まれてくる」

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