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みんなのレビュー26件

みんなの評価4.0

評価内訳

3 件中 1 件~ 3 件を表示

紙の本

犬も勘定に入ります。

2007/02/05 15:06

16人中、16人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ぼこにゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

 テレビ番組が健康情報を捏造した、という記事が新聞の一面に載っていた。その数日前には納豆の売り上げが急激に伸びて生産が追いつかなくなった、と社会面が語っていた。番組がデタラメだったことを知り納豆を買い占めた人々は大変ご立腹らしいのだが、ずいぶんさもしい話である。楽してヤセたいと思うのも図々しいが、欲望丸出しのはしたなさに対する恥じらいもなく、ムコの被害者気取りで一方的に相手が悪いと糾弾する人の姿は実に見苦しい。いい大人が何をやっておるのか。
 表題作の主人公は、かつて地上最後の犬(舞台は近未来)と共に暮らしていた男性。その大切な友を、車の事故で失ってしまう。犬をはねた運転手は当時十六歳、免許取りたての少女。
 こんな時、自分だったらどうするだろう。表情豊かな耳と愛情深い瞳の毛むくじゃらの宝物を奪われてしまったら。あるいは奪ってしまったら。
 失意と罪悪感、生きていればどうしようもなく、そのどちらも味わうことになる。こんな不幸な事故の当事者なら尚のこと、被害者と加害者のいずれもその両方の気持ちに苛まれるはずなのだ。それでいてその両者が分かり合うのはとても難しい。
 普通は自分の心を軽くするため、互いに相手の過失を責め合うものだ。
 けれども加害者である少女は、言い訳もせず逃げもせず、途方に暮れつつ凛々しくも主人公の怒りをまともに受け止め、ただ静かに堪える。スゴイなあ。この物語の最も素晴らしい点は、人間に必要な強さは他人に牙をむくことではなく、どんな時でも内なる真実の声に従って振舞うことなのだと、被害者と加害者の双方が知っているというところだ。
 クライマックスはこの主人公が、長い年月を経たのちに、彼女の窮地を知り救いに走る場面。彼のがむしゃらに突っ走る様子が、傷の痛みを忘れることはできなくても、誰かを許すことはできるのだと教えてくれる。同時に、許す側にも許される側にも、誠実さと品性がなくてはならないのだということも。
 哀しいことにこの物語で犬は絶滅してしまったわけだが、人を許し人生を続けて行く心の深さは、あの毛むくじゃらで無邪気でヌクヌクした生き物の大きな遺産となるに違いない。
 実はこれがこの本の中で一番リアリティのある小説なのだけれど、こんな人間同士の厳しくも麗しい関わり合いというのがファンタジーに見えてしまうのは皮肉なことだ。
 現代人に必要なのは納豆よりも、心の栄養なのではあるまいか。

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紙の本

国民性の違いをあげてもいいと思いますよ、これでヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞を取れるの?って。直球で勝負してほしいんですけど

2007/02/26 20:29

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

造本が素適で、お気に入りのシリーズ、河出書房新社の奇想コレクションの一冊です。相変わらず、松尾たいこの装画は、その大味な色面構成風のところが魅力ですが、今回はいろはモノトーン風で抑え目。それが、当然のごとくシックな味をだしていて、叢書にぴったりと言えるでしょう。シリーズ造本設計 阿部聡、ブック・デザイン 祖父江慎+安藤智良(コズフィッシュ)だそうです。
訳者である大森望の解説なども利用させて頂いて、各編を簡単に紹介します。なお( )内は、初出年です。
・女王様でも(1992/4):ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞、アシモフ誌読者賞、SFクロニクル賞の五冠に輝く風刺コメディ。孫娘の行動に家族が、というか母親が振り回されるお話。訳者・大森望の解説の言葉を利用させてもらえば、史上初の月経SF短編、とありますが違うでしょうね。むしろ、新興宗教の勧誘をパロディ化し、そのツールに月経を利用した、というのが分りやすい、風刺というよりはドタバタ。深みは感じません。
・タイムアウト(1989/7):現在子というものを軸に、マッド・サイエンティストが男女の心を弄ぶお話。それがタイトルとどう絡むかが見せ所です。この手の話によくあることですが、再読をしないと流れが掴み難いでしょう。特に、研究の実態を明かさずに話を展開させるため、伏線だらけのミステリを読んでいるような、技巧の割に中身は薄い・・・
・スパイス・ポグロム(1986/10):スペインのSF賞であるイグナトゥス、アシモフ誌読者賞受賞の、やはり風刺コメディというべきか。日本語が随所に散りばめられたエイリアン物で、日本人はこれだけで喜んでしまうでしょう。これに言語的なスラプスティック、韓流風の男女のこころの擦れ違いを加味すると、このお話になります。
・最後のウィネベーゴ(1988/7):ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞、アシモフ誌読者賞、SFマガジン読者賞の五冠に輝く作品。カメラマンが路上でみかけた死んだジャッカル。躊躇いながら通報をしたものの、名前も告げずに、予定の取材現場に。彼が撮影するのは老夫婦が旅しながら利用している『正真正銘のウィネベーゴ。100パーセント本物』。ちなみに、ウィネベーゴは、これまた大森望の解説の言葉を借りれば「アイオワ州フォレストシティーに本拠を置くWinnebago Industries 社製の大型キャンピングカー(アメリカで言うモーターホーム)。
収められている作品中、唯一、ドタバタがない、そういう意味でも真面目な読者に評価されるのは分るのです。ただし、私はウィリスのもってまわった話の運び方が、どうも気に食わない。言いたいことがあるなら、技巧ではなくて中身そのものでストレートに勝負できないの?って思うんです。それはこの作品に限りません。「タイムアウト」しかり、「スパイス・ポグロム」しかり。いえいえ、『犬は勘定にいれません』『航路』も同じ。
無論、この構成があってこそ、読者は話の展開に頭をひねり、繰り返し読み直すことで伏線に気付き、結果として作品の印象が深まることは否定しません。読みにくくしているのは、あくまで構成であって文章も情報密度も文句なし。それを承知の上で書きたい。ストレートに書いたら、どうよ、って。そうしたら、SFじゃない、ミステリじゃない、って?
そうじゃないでしょ。できるでしょ。変化球じゃなくて直球勝負を見たいんです。絵画で言えばデッサン力を見たい。ウィリスならばできるはずですよね。技巧で話を膨らます、技巧をありがたがるのは分るんですが、読書の感動の本質は、そこじゃないんじゃないか、そう私は思うんですね。特に、こういう作品にぶつかると・・・

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紙の本

今作は、犬も勘定に入れてあげましょう。

2007/05/09 19:30

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ちょっと変わったSFを独自の編集で日本オリジナルバージョンで
河出書房が、出しているこの奇想シリーズにコニ・ウィリス登場。
 前作の「犬は勘定に入れません」と違い、短い!??。
(ほんと、長かったから、、。)
 SF書評界の御大、大森しゃんが、翻訳から作品選定の編集まで行っております。
あとがきに大森しゃんが、かかれてますが、選びすぎたため、
短編にしては、割と長い作品が多く、4編かしか入っていません。
 短編集のときは、いつもはこういう書き方しないんだけど、
今回は、特別。
【女王様でも】
 女性の生理をあつかったSF。
最初わからなかったけど、じわじわわかってきて、そうか、、と。
ウーマンリブの運動でウィリスって色々あるそうですが、
 これは、どうとられるのだろう??
【タイムアウト】
タイムマシーン関連で、こんな風に時間移動の証拠を
描くのは、ウィリスぐらいでしょう??
 そのへんてこりんな、才能にあっぱれと、。
 ただ、会話とか登場人物の興味とかは、女性特有の感じがもろに出て、
女性を描いてリアルと言う面では、凄いのだけど、
男性の私は、ちょっと苦手、、。
【スパイス・ポグロム】
スペースコロニーでの、異性人とのトラブルを
描いた、コメディです。
 こういうどたばたしながら、実は、重大な、謎と言うか、テーマが
しっかりその裏にはあってというのは、「犬は、勘定に、、」でもそうでしたが、
ウィリスの十八番(おはこ)って感じです。
このコロニーが日本風でかつ、買い物大好きの異性人が出てきて
部屋の中が、狭くなってしょうがないと、なるのですが、
これって、やっぱり日本人が、狭い部屋に住んでいるということまで、
含めて書いているのでしょうか??
【最後のウィネベーゴ】
 ウィネベーゴって、トレーラーハウスのメーカーの名前だそうで、
知りませんでした。
 去り行くもの、去ったものを描いた、静かな感動の一遍でした。
過去の出来事も、段落を分けず、普通に書いてあるので、
最初混乱しましたが、読者が混乱することで、
登場人物自身のどうにも押さえられない過去のフラッシュバックみたいな、
効果をあげています。
 大森さんが、どうしてコニーウィリスを推すのか、
私は、いつも不思議です。
なんか大森さんの好みとは、合わない気がするのですが、出版社とのしがらみとかで、なんか、ウィリスを続けて翻訳することになって、こうなったのでしょうか?
 ウィリスは、上手い書き手だということは、認めますが、
なんか読んでいて、作家の性が全面に出てきて、
 女の人ってこうだよな、、リアルと思う反面。
注目点とか、会話とかで、なんでこんなにいっぱいこんなことを書くのだろうと
根本的な、観点の違いから、性差が感じられてちょっと苦手な一面もあります。
 でも、短編集だと、いいかなぁ??。

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