紙の本
ナチスの人類史への“貢献”について、数々の研究書から情報を切り貼りした雑学本
2010/01/04 08:37
10人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
歴史にその悪名をとどろかせたヒトラーのナチス政権。その時代のドイツで人類史に残る大発明が次々とされていた…。
高速道路アウトバーン、ジェット機、ヘリコプター、テレビ中継、テープレコーダー、合成ゴム、リニア・モーターカー。
ナチスの発明はこうした工業製品にとどまりません。財形貯蓄や源泉徴収、扶養控除といった税金革命もまたナチス政権下でスタートされたとか。
果ては合成着色料の禁止、アスベスト対策、禁煙の奨励など国民の健康対策にも力を入れていた様子が描かれています。
ただし本書の記述はかなり淡白。どちらかというと巷にあふれる雑学本といった趣が強いものです。
全体で250頁ほどの書ですが、「ナチスの発明」について記されたのは第2章までの150頁弱。それ以降の100頁は、ナチス政権の成り立ちや主な閣僚の紹介、果てはナチスの原爆研究やUFO研究について、噂レベルの事柄も含めた簡単な紹介が続きます。「ナチスの発明」というテーマだけでは一冊構成しきれなかったためにつけ足した情報なのでしょうが、どうにも接ぎ木はうまくいっていない気がします。
奥付のプロフィールによれば、著者は「ライフワークとして『ナチスの実像』を追い求めて」いるとか。しかし巻末の引用文献一覧から推測するに、本書はこれまでのナチス研究本から情報を切り貼りしたパッチワークに過ぎず、一次資料にあたった形跡はありません。
本書内のドイツ語表記には誤りがみられます。
ゲッベルスの名をジョセフと、シュペーアの名をアルバートと、それぞれ英語読みしています。
ハイデルベルクやニュルンベルクの末尾を「グ」とこれまた英語表記している箇所もあります。
ゲッベルスの出身地をメンヒェングラートバッハと書いたかと思うと、次の頁でメンヒェングラットバッハと表記を変えたりしています。
著者は自身で直接取材するだけのドイツ語力を持ち合わせていないようです。かといって英語が出来るわけでもなさそうで、ナチスが発明したPAシステムのことを「PABLIC ADDRESS」だと記していますが、これは「PUBLIC ADDRESS」の誤り。
本書はあくまでナチスに関する興味のきっかけにするにとどめて、詳細はそれぞれの専門の研究者の書にあたるのが良いかもしれません。
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筆者もあとがきで引用しているが
「戦争とは一部の政治家や指導者が起こすものではなく、人々の心の中にそれを望むものがあるはず。人々がそれに気づかなければ戦争はなくならない。(アンネ・フランク)」。僕も全くその通りだと思います。
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タイトルはナチスの科学的発明についての本のように思えますが,内容的にはナチス全般について取り上げています.今までいくつかのナチスの本を読んできましたが,この本ほどわかりやすかったのはないですね.これからいろいろ本を漁ってみたくなりました.
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ファシズムに毒されていく過程や、
強制収容所における絶望的な生活について
そのどうしようもなさに戦慄する。
それと同時に、日本も同じ事をしてきたわけだからこれも悲しい。
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雑学的におもしろかった。ドイツ・アーリア民族のためだけでなく、どんな民族に対しても等しく受け入れるユートピアを求めた結果の発明や制度なら文句なく良かったのにね。
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かなり眉唾ものの素晴らしい内容でした。
ナチス肯定論や政治家としてのヒトラーの実績があやふやに認識されながらも詳しい実態は世の中に出回らない為に、ユダヤ人の強制収容以外にナチスがどのような事をしたかなどは歴史の闇にある。
本書はきちんとナチスによる発明の数々と実績を捉えながらも、専門書を読まないとたどり着けない反ユダヤ主義の経緯であったり第二次世界大戦におけるナチスを巡る攻防の裏側を見事に解き明かしている。
単に独裁者のイメージでしかないヒトラーやナチスの印象を変え、歴史の闇に封じられた真実の灯を起こす一書。
欧米では完全にタブーな内容だけに、本書のような内容を刊行できるのは日本だけだろう。
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これ、本当に面白い。ナチスの見る目が変わりました。ナチスがいなかったら、今の世の中は、もっと遅れていたかも…って思いました。最近読んだほんのなかで、一押しです。
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歴史は往々にして、勝者の都合の良いように歪めて語られがちであることを実感できる本。人類の生活を豊かにする発明の多く(自動車、飛行機、ロケット等)が戦争を端として生まれているという事実は、まったくもって皮肉である。人は争いの中でしか進化できないのか。
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これも雑学ネタです。
ナチスというより、ゲルマン民族の偉大さを思い知る。
政治家や研究者にも、参考になりそうなことが書いてある。
今の演説方法や研究対象は、ナチスが既に始めていた・・・ちょっと衝撃。
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最後のナチスに関する概観は無くてもよかったと感じている。というのも、ナチスの発明という割にその部分の記述がいささか少ないからである。もう少しそれぞれをもう少しほりさげてほし
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図書館にて。
ナチスは実は優れた科学力を持っていて、現代社会につながる多くの発明、発見を主導したという内容で、雑学として面白かった。
ドイツ人の徹底を好むという性質は歴史的で、緻密な物作りには感心する。測定器メーカーは、やっぱりドイツですかね(日本も!)
暇つぶしに、半日で楽しく読める本。
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第二次世界大戦でナチス率いるドイツは敗れましたが、ジェット戦闘機・ミサイル等、当時の連合国側が持っていなかったハイテクを駆使して局地的には成果を収めていたいうことを話で聞いたことがありました。この本はナチスの発明について書かれた本ですが、その発明品を見ると現在に活用されているものも多く、その技術力には驚かされました。
この本を読むまでは兵器ばかり作っていたという先入観がありましたが、実は暮らしに役立つ商品や仕組みも発明したことを知ってナチスの認識が少し変わりました。しかしこの本の著者が冒頭で述べているように、だからと言ってナチスが行った虐殺は非難されるべきということは心に留めておく必要はあると思いました。
以下は気になったポイントです。
・ヒトラーが訴えかけるのは観衆の脳ではなく心、理屈ではなく感覚で押してくる、この演説に影響を受けたミュージシャンとして、ミックジャガーがいる(p20)
・ドイツ国民の支持を得ることができた最大の原因は、ナチスが当時700万にいた失業問題を数年で解消したこと、切り札がアウトバーンの建設(p23)
・アウトバーンの建設費の46%が労働者の賃金に充てられたのが特徴、日本ではゼネコン・地主に支払われる割合が多く、労働者に渡るのはせいぜい10%(p27)
・V2ロケットはロンドンを忠臣に3000発が打ち込まれ、1万人の死傷者が出たが戦局を変えられなかった、着弾地点が目標からかなりずれるため、軍事力に打撃が与えられなかった、コストは高く4発が戦闘機1機分であった(p40)
・ヴェルサイユ条約では、兵器研究の制限はあったが、ロケット開発を制限する項目はなかった、ロケットは開発されたばかりで兵器になるとは考えられていなかった(p41)
・当時のジェットエンジンは低速時の推進力が弱く、離着陸が難しかったのでこの欠点に連合国はつけこんだ、飛行時間は1時間程度、整備は50時間であり、操縦も難しかった(p51)
・ナチスの人造石油工場は12箇所あり、1944年には年間350万トン(天然石油が300万トン)でありオクタン価は96であり品質もよかった、しかしコストは高く天然石油の5倍程度かかった(p66)
・ジュラルミン等の合金で作られたナチス装甲車は、連合国側の最良の鉄鋼よりも強靭で軽く、それは移動速度・飛行距離の秘密であった(p70)
・IBMは、1946年にドイツのツーゼ(コンピュータの開発者)から特許使用許諾を得ている(p87)
・ポルシェは1900年の電気自動車の成功にあきたらず、ガソリンエンジン車の製作に着手した(p98)
・金持ちの特権とされていた長期バカンスをだれでも取れるようにした国がナチス・ドイツ、労働者の生活を金持ちと同様にする取り組みをしたのはナチスが初めて(p107)
・第二次世界大戦中に、アメリカでは父親が出征した場合、36%の賃金補償を、イギリスでは38%に対して、ドイツでは75%であった(p122)
・アメリカを含めた先進国がアスベストと肺がんの関係を認め���のは、ナチスから20年以上経過(1975年)してから(p126)
・1934年に導入された配当制限法は、1)6%以上の配当不可、2)それ以上の剰余金は、国営銀行に預けて4年間引き出し不可、3)余剰金は貧困者救済基金、建築資金に使用、であった(p130)
・ヴェルサイユ条約により、全ての植民地の没収(領土の13.5%、農耕地の15%、鉄鉱石の鉱床の75%)により、鉄鋼生産量は戦前の37%に激減、賠償金は1350億マルク(60兆円)、輸出製品には26%輸出税をかけてそれを連合国が受け取るというもの、賠償金は21世紀まで払った(p151)
・ユダヤ人迫害は旧約聖書の時代(2000年以上も昔)から行われていて、宗教改革のマルティン・ルターも強烈な反ユダヤ主義者であった(p161)
・アメリカには多くの親ナチス派は多かった、フォードを始めとして多くのアメリカ企業が献金していた、1940年時点で全投資額の5%、カナダ:30%、イギリス:8%(p173)
・日本に落とされた原爆はウラン型(広島)とプルトニウム型(長崎)であるが、アメリカが実験に成功したのはプルトニウム型であり、ウラン型は実験されていない(p233)
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ざる読み。悪名高いナチスだけど、効率的だったり理にかなっている政策をした部分を具体的に指摘。興味深い。
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トリビアとしては面白いけれど、参考文献に日本語文献が多く、フリーライターが伝聞情報をまとめました、以上のものは感じられませんでした。雑誌記事なら良いかもしれません。
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ナチスの軍事力など、テクノロジーすごい。
国家社会主義の経済政策すごい。
福祉政策すごい。
宣伝広告技術の斬新さ、洗脳技術すごい。
アウトバーン、PAシステム、V2ロケット、ジェット戦闘機、ロケット技術、ヘリコプター、人造石油、電子顕微鏡、アスベスト対策、少子化対策・・・・・・。
どれもこれもすごい。
しかし、ユダヤ人を虐殺したことは大きな過ちだった。
ユダヤ人には優秀な科学者が多いからね。
マンハッタン計画にもユダヤ人の天才科学者がいっぱいいた。彼らを敵に回した事が、ナチスの敗因だ。