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安全・安心の心理学 リスク社会を生き抜く心の技法48 みんなのレビュー
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紙の本
後知恵バイアスの魅力をこえるために
2011/12/17 19:06
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:拾得 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今年は、大震災・津波や原発事故がらみで、関連書籍が多く刊行されたようだ。レポートみたいなものもあれば、「**の安全性・危険性を問う」といった類いの勇ましい本も少なくなかったであろう。言っていることに間違いはないのだろうし、必要なことなのだろうが、違和感は残る。その違和感の元というのは、本書で紹介されていることばでいえば、「後知恵バイアス」というのだろう。
刊行されてから少し時間が経っているが、心理学の側面から安全安心にかかわる課題をまとめた一書である。安全対策は、通例はハードや制度によるものが多い。ただし、何か問題が起こった場合、さまざまな対策を列挙したうえで、「関係者の意識の向上を」というのが決まり文句のようにもなっている。「その意識って何?」と、いつも思うのだけれど、本書はまさしく「その意識」を扱ったものといえるだろう。
人間心理の「落とし穴」みたいなものの指摘ばかりではなく、それを防ぐ考え方にはどのようなものがあるか、という点にも軸を置いてコンパクトに解説してくれている。同じ著者による「ヒューマンエラー」の姉妹編といえよう。何より読みやすく、とりつきやすいのが有り難い。鉄道でふだんから行なわれている「指差呼称」などいうのも紹介されている。プラットフォームで駅員さんがしている「あれ」ですね。こうした身近な場で応用できるものから、組織風土での問題克服まで、48のキーワードが取り上げられている。
ところで、今回の大震災でも、繰り返し「パニックにならないように」という告知が専門家やTVなどからなされたように思う。しかし本書では、「パニックよりも怖いもの」という指摘がある。「緊急事態の認知の遅れ」である。ある地下鉄構内の事故では、煙が充満しているのにかかわらず、平然と歩いている人が多かったという。集団でいると、同調バイアスにより、かえってこうした傾向が出現しやすいともいう。
安全・安心にかぎらず、これからを考える1冊として。
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