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読み終わった,本書によると、フィボナッチ数列、黄金比率、フラクタル、等角螺旋といった神秘的な香りがする数学が、生物、植物の成長や形状に現れるそうである。確かに、オウムガイに代表される巻貝は明らかに螺旋である。しかも、詳細に調べるとこの螺旋は等角螺旋である。2枚貝も螺旋。植物の葉の付き方も等角螺旋(螺旋がフィボナッチ数列や黄金比率と関係することは、数学を専攻した者にとってはよく知られた事実である)。 このような数学を取り入れることが生物進化上有利に働いたことを証明することが本書の大命題である。そして、見事にそれを証明している。が、あまりにも説明が数学寄りで、生物進化学的視点がないため、「螺旋が有利であること」は分かるが、「生物が進化の中でどのようにこの数学をゲノム化していったのか」といった最も興味引かれる部分に対してほとんど言及していないのは残念である。蛇足: ところで、私は合気道や柔道を嗜む。私の経験の上、「多くの競技者にとって、熟達者の技は非常に美しく見える」のである。これを機能美と呼ぶ。この本を読んで、この機能美には、螺旋、フィボナッチ、黄金比率が関係しているのではないかと感じた。