- 現在お取り扱いが
できません - ほしい本に追加する
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
紙の本
みえないものをみる
2011/07/27 08:42
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ルーティーン - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めて映画館へ行って観た作品が、もののけ姫だった。
たぶん親に連れられ家族で観にいったのだろう。当時幼かった私たちにとってその内容は少なからずショッキングなもので、弟に至っては映画の半分以上を目をつぶり耳を塞いでやり過ごしていた。私は十数年過ぎた今も、見過ごすまいと目を凝らして追った、あの祟り神の禍々しさを鮮明に覚えている。
本書は宮崎駿氏の絵『理想の幼稚園』から始まり、もののけ姫が公開された1997年から千と千尋の神隠しの公開後2001年10月までの対談が収録されている。
対談の相手は、養老孟司氏。ベストセラーとなった"バカの壁"でその名は大々的に世間に広まり、今や知らない人など居ないのではないだろうか。
同世代、戦後という同じ時代を歩んできた二人だが、そのアニメーション作家と解剖学者というまるで違う世界を生きているように思える。しかし本書の後方、『養老氏の宮崎アニメ私論』を読めば分かるように、これこそが方法論なのである。物の見方を別の分野で訓練してきた二人。このバランスが、読んでいてとても心地良い。
小さな発見をしたり、欠けていたものをもう一度見つめ直す大きなきっかけとなった。見えないものをジーッとみる、となりのトトロのメイのような『眼』をいつまでも持っていたい。
宮崎作品を軸に話が展開されていく。理屈から感性まで、人の対談にこれだけ心を躍らせたのは初めてかもしれない。
アニメーション。人の身体。
この二人は見える物に触れながら、見えないものを信じている、というよりも確信している二人なのだ、と思った。
今こそ、この時代に、この本を強く勧めたい。
紙の本
物事を見続ける眼
2010/09/26 23:00
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くにたち蟄居日記 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この対談集は 一言で言うと 年をとっても子供のままのお二人の放談集のようなものかもしれない。
この放談の中で 二人が一番一致しているのは「人間は人間しか見ていない事が問題である」という点だ。
これに関しては 宮崎は 自身の山小屋での生活を上げ、養老は 虫取りから説明している。お互いに 別々の素材から 上記命題を汲み上げている点が興味深かった。
経済学にしても経営学にしても心理学にしても生物学にしても医学にしても芸術にしても かなりの人間の「学問」とは「人間とはどういう動物なのか」を解明しようとしている点にあると最近よく思う。そんな僕にして 「人間だけしかみていないから駄目なのだ」というお二人の意見は 正直 意表を突かれた思いだ。
但し 自分を振り返ると 子どもの頃に 虫を追いかけたり 川で尻餅ついてびしょびしょになったり 原っぱで転んだりしていた日々も確かにあった。あの頃は 真剣に昆虫や魚や草に自分が対眦していたことも確かだ。そうして そんな部分が 今なお 自分に残っている。それが 本書を読んでいて 自分の中に共鳴している。
人間だけしか見ていないことで 起こりつつある悲劇が見えてきた現在、陳腐ながら 「子供の眼」は 大きな武器になるのかもしれない。題名である 虫眼もアニ眼も 要は 「子供の眼」ということなのだろう。もちろん それは純真無垢な眼といった ステレオタイプの眼ではない。きらきらとした眼ではなく 物事をじろっと見続ける力のある眼なのではあるまいか。
紙の本
おもしろく読みました。
2023/09/04 15:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:satonoaki - この投稿者のレビュー一覧を見る
お二人よりも20年ほど若い世代だが、懐かしさでいっぱいになった。
できることならば、でこぼこ道を走り回って、転んで膝を擦りむきたい。
子供時分に、何度転んだことだろう。
今は、つまずきや転倒は危険といわれる高齢者の仲間入りの日が近い。
せめて、ぼんやりしないで、メイちゃんのように目を見開いて、不思議がったりワクワクしたりしながら生きることを楽しもうと思う。
対談本では、ほとんど意見が噛み合わない対談もあり、それは編集者も困ると思う。
会社の方針、上からの指示ならば、仕方なく編集するのだろう。
養老さんと宮崎さんは、共通する価値観があり、相違点を認め合える二人だと思う。
気持ちよく読めた。
紙の本
理想郷ですよね
2023/06/21 15:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トマト - この投稿者のレビュー一覧を見る
お二人の少年のような大人が大真面目に語り合った本です。
巻末で宮崎氏の「こんな町に住みたい」というような話がイラスト一杯で載っていてウキウキします。緑・樹のない町なんかに住みたくないですものね。