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きのうの世界 みんなのレビュー

  • 恩田 陸 (著)
  • 税込価格:1,87017pt
  • 出版社:講談社
  • 発行年月:2008.9
  • 発送可能日:購入できません

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みんなのレビュー152件

みんなの評価3.4

評価内訳

151 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

いつもながらの作品全体を覆う統一感、この重苦しい空気感、そして最後に畳みかけてくる筋運び。ただし、これは僕が好きな恩田陸ではなかった。

2008/12/13 21:35

14人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る

 恩田陸は僕の贔屓の作家と言って良いが、必ずしも片っ端から読んでいる訳ではない。なぜなら恩田陸は1人ではないから。書店の棚には何人かの恩田陸が並んでいる。恩田作品の書評を書くときによく書いているのだが、僕が好きなのは『木曜組曲』『黒と茶の幻想』『夜のピクニック』『チョコレートコスモス』の恩田陸である。この『きのうの世界』も上記4作品の恩田陸であるような気がして手に取ったのだが、残念ながらそうではなかった。これは「仕掛けに凝る」タイプの恩田陸だった。
 長い話である。Mという名の不思議な構造をした町がある。そこで殺人事件が起きる。被害者はどこか他所の土地から来て何かを調べていた目立たない男。そして、それは大手家電メーカーに勤めていて突然失踪した市川と言う男で、彼は見たものを全て記憶してしまうという特異な能力を持っていたことが判る。──出だしの何章かをまとめればそういうことになるが、その後も読み進むにつれて次々に新しい人物が登場し、それぞれが微妙に謎めいていて、物語は拡散するばかりで一向に収束して来ないような感じさえする。
 第1章は「あなたは」という2人称で書かれているのだが、この「あなた」が誰なのかは途中で明かされる。終盤にはこの町の途方もない構造の謎が語られ、終章で殺人事件の謎解きが行われるのだが、まあよくもこんなことを考えるもんだという途轍もない設定である。
 そして、こういう設定と謎解きを面白がる恩田ファンは必ずいるとは思うし、僕自身もこれを読んでとても面白いと思ったのも確かだが、残念ながらこれは僕が好きな恩田陸ではない。
 僕は事件やトリックや謎解きよりも、深い洞察に基づいて彼女が書く人間心理の綾模様に心酔して読み進むタイプなのである。むしろ何も事件が起こらないような作品が好きで、こんなに手の込んだ仕掛けは必要としていないのである。
 ただ、いつもながらの作品全体を覆う統一感、この重苦しい空気感、そして最後に畳みかけてくる筋運びはやはり恩田ならではの筆致である。でも、今回は登場人物がちょっと多すぎたため、やや描き切れていない感は残る。やはり恩田は4~5名の人間が濃密に絡む設定を書かせたときにひときわ輝きを放つ作家だと思う。

by yama-a 賢い言葉のWeb

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紙の本

集大成、ってう言葉は合っていないと思います。むしろ、お馴染みの世界。でも、装幀に内容が追いついていない、そんな気がします。それほどに素晴らしいブックデザインでした。

2009/02/12 20:35

8人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

素晴らしいカバーデザインです。特に背を見た時の美しさといったら、まさに世界水準。正直、エンターテイメントの本のデザインというよりは海外文学のそれといったほうが相応しい気がします。その印象は表を見ても変わりありません。ただし、写真の数が多いのと紫がかった色が気になり、シンプルな背ほどの感動はありません、勿体無い。

みすず書房の本、といわれても全く違和感がありません。このまま著者名がグラスであっても、オースターであっても肯いてしまう、そういうレベルのものです。講談社の近年の出版物のなかでもピカイチの出来でしょう。それほど素晴らしい装幀は岩瀬聡、カバーだけでなく本文中にもでてくる写真は、鈴木理策。

講談社のHPを見ても、出版社の寄せる熱い思いが伝わって来ます。そこにはこう書かれています。

ファン切望の最新長編!!
誰も予想できない結末が待っている!!恩田陸が紡ぐ、静かで驚きに満ちた世界。

塔と水路がある町のはずれ、「水無月橋」で見つかった死体。1年前に失踪したはずの男は、なぜここで殺されたのか?

あなたは水無月橋について考えている。これから行くその場所、殺人現場であるその橋のことを。バス停に捨てられていた地図には、赤い矢印が付いていた。まさにこれからあなたが行こうとしている、水無月橋のあるところに。印の付いていた場所で死体が見つかったことで、人々は想像をたくましくした。――<第1章より>

「これは私の集大成です」――恩田陸

特に恩田の最後の一文ていうのは、凄いです。これで直木賞取れなかったら恥ずかしいので、普通は言わないと思うんですが。雑談気味に直木賞について言えば、今回は他にも傑作目白押しの状況なので、装幀に相応しい内容かどうかが抜け出るかどうかにかかっているとは言えそうです。

全19章と三つの幕間からなるお話で、事件づくしといった感のある各章のタイトルをあげれば

第1章 捨てられた地図の事件

第2章 日没から夜明けまでの事件

第3章 溺れかけた猫の事件

第4章 駅の掲示板の事件

第5章 紫陽花とハンカチの事件

第6章 川沿いに建つ洋館の事件

第7章 焚き火の神様の事件

第8章 点と線の事件

     若月慶吾の幕間

第9章 同じ顔をした男の事件

第10章 散歩する犬たちの事件

     図書館での幕間

     市川吾郎の幕間

第11章 風が吹くと桶屋が儲かるの事件

第12章 井戸と鉄の事件

第13章 帽子と笹舟の事件

第14章 不吉な電話の事件

第15章 彼女の事件

第16章 彼らの事件

第17章 彼らの事件の続き

第18章 私の事件

第19章 水無月橋の殺人事件

初出

この作品は2005年4月から2006年11月にかけて、東奥日報、信濃毎日新聞、山形新聞、岩手日日新聞、日高新報、茨城新聞、神奈川新聞、山陽新聞、十勝毎日新聞、宮崎日日新聞、山陰中央新報、福島民友新聞、愛媛新聞、岐阜新聞、徳島新聞に順次連載された、単行本化にあたり加筆修正したものです。

もういい加減書き飽きたので、これで最後にしますが、こういう記事は、「初出」とは書かず「書誌データ」としたほうがいいのではないでしょうか。

舞台となるのは塔と水路で売り出そうとしている町です。塔というのは三つの塔のことで、M駅から歴史の散歩道を歩いていくと、駅前から見た時は一本だった塔が二本に見え、それが次には三本になる、東京で言うところのオバケ煙突を思ってもらえばいいでしょう。

塔のある場所にはバス停があります。主人公が歩いたとおりに書けば、城址公園を過ぎたところに「一の塔前」バス亭があり、そこを通って古い町並みをさらに進むと「二の塔前」があり、さらに行くと途中から上のほうが無くなっている鉄塔のある「三の塔前」があります。そして、その丘陵地の奥に事件が起きた水無月橋があるのです。そしてそこには水路があります。

あなたへの語りかけで始る冒頭は、なんというか一種の揺らぎ感というものを感じさせて、読者に独特の不安感を与えるようになっていて、それがとても面白い。章ごとに中心にいる人物が変わるというのは、ごく当たり前のことなんですが、恩田特有の暗めの湿った文体が絡むと、迷宮に案内されているような気持ちになってきます。

それと鈴木理策という注がついた写真です。写真は全ての章に付いているかというと、そうではなくて掲載のされ方もそれぞれ異なっています。しかもそれが、例えば美しい芸術的な写真かというと、どうもそうではなくて、もしかしてスナップ?という感じを与えるようなものばかり。こうなると、写真について一言欲しかったな、って思います。

話は、わかってみればシンプルですが、読んでいる最中は五里霧中。で、最後は驚愕、っていうか、何、それ?ていう感じなので読んでもらうとして、とりあえず主要人物紹介。

市川吾郎:水無月橋殺人事件の38歳の被害者です。東京で会社員として働いていましたが、ある晩、上司の送別会の席から姿を消し、舞台となる町に現れ、色川と名乗り地質調査の名目で町を調査していて、かなり目立った存在でした。特異な記憶力を持つということになっています。

菊山華代・虹枝:76歳になる一卵性双生児の姉妹で、トラという名の犬を飼っています。存在感のあるキャラです。

石田辰五郎:長年警察に勤務し、大分前に定年退職した老人で、華代・虹枝の幼なじみ。今も同じ町に住んで二人の相談に乗ったりしています。

若月慶吾:ときどきふらっと姿を消す若月酒造の主人で、自分に似た人間を見た、と言っては周囲から白い目で見られていますが、仕事への取組みも真面目なので妻をはじめ、家族も何も言いません。

田中健三:教職を退いて大分経つ足の達者な老人で、郷土史家として有名です。ケルベロスという名の犬を飼っていて、そのせいで水無月橋の上に横たわる男の第一発見者となりました。

田代修平:釣りが趣味という高校生二年生ですが、本当の趣味は焚き火です。火の横でミステリを読むのが大好きという変り種。

新村和音:田代と同じ高校の一年の女生徒で、大おばと市川の会話を聞いたことから事件に興味を持ちます。

新村志津:和音の大おばで、歴史ある新村建設という会社の経営者です。この辺りでは一番の旧家である新村家の家紋は、三頭の龍を模しているといいます。

あなた:事件に興味をもち市川吾郎のことを調べている人間。

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紙の本

人知れぬ町の歴史の重なり

2009/11/28 09:29

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る

昨年あたりから恩田陸に仕事の雑さを感じているのは、
おそらくわたしだけではないでしょう。
せっかく賞をもらって注目されてきたのに
ダメになっていってしまう作家のひとりに
なってしまうのかと思うと残念です。

でも、ここのところ恩田陸を3、4冊読んだなかでは
おもしろく読めた作品が本書です。

視覚のなかに入る情報をすべて記憶してしまう
特殊能力を持った30代の独身男性が、
ある日、突然、失踪してしまいます。
外見は平凡で、覚えられにくいという特徴もあります。

その彼、市川五郎は偽名を使って地方の町に住みつき、
約1年後、殺されてしまいます。

彼が殺されていた木の橋の名前にちなんで
「水無月橋殺人事件」と呼ばれるようになる事件は
迷宮入りをしていくのですが、
それを群像劇のように丹念に追っていくミステリー。

ほぼ三人称で、町の人々や吾郎の周辺の人々を描くのですが、
唯一、二人称で語られる人物が登場します。
しかし、彼女がキーマンかと思えば、
彼女の最後のパートは三人称になってしまう。
これはどうしたことでしょう。

けれど、恩田陸の作品はその世界観を味わうのだとするのなら、
三本の柱に見立てた櫓が建ち、陸の孤島のような丘を持つ
この町はまさに恩田陸ワールド。
旧家によってその秘密が守られているのですが、
今までは秘密を家の内部から描いていたとすれば、
本書は外部から描いています。

フィクションなのにどこかにあってほしいと思うような町の構造。
歴史の重なり。
その要素は全く変わらず存在しています。


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紙の本

3つの塔と水路に囲まれた

2020/02/22 09:29

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る

不思議な町で起きた事件の謎に引き込まれていきます。ある日突然に都会からやって来た電機メーカーの社員と、代々この地を守ってきた技術集団の長との交錯にも驚かされました。

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2008/09/06 02:42

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2008/09/12 11:11

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2008/10/04 02:28

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2008/10/05 18:19

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2008/10/02 09:48

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2008/10/09 18:24

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2008/10/12 15:56

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2008/10/12 00:00

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2008/10/25 23:47

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2008/12/13 23:27

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2008/12/16 23:12

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