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福祉の本は何故か高いものです。この本も2100円と値の張る本だけれど、題名に惹かれて手にとってみました。
しかし「はじめに」の章に「就任後、経営する施設を日本一の施設にするにはどうしたらいいか日々考えて行動した。」とありますし、「福祉の事業所の経営に経営原理重視の『市場アプローチ』を持ち込む事は福祉を改善していくうえで有効である事に気づいてください」とも言っています。ここに少々エゴと矛盾を感じてがっかりしながらも、これが本意なのかそれとも現状における方便としての手段なのかと、真意を確かめようと先へ読み進むことにしました。
しかしあちらこちらに、ビジョンの根本の違い感じます。
つまり、外からの評価ばかりに気を奪われて、奮い立っている姿が目に浮かんできます。
使命を情熱とし知識を手段としろと言われているようですが、自分の心の声を無視しているのではないかと感じます。
サービスに「正解」はないと断言しながら、そのすぐ後でゴールのないレースはないとも言っています。
調和と競争を混同しているように思います。
これが手段なのか目的なのか?もう少し読み進んでみることにします。
状況に合わせて現状をやりくりすることの大切さを述べているようです。
当然、これなくして刻々と動いている現場を運営する事などできないわけですが、根本的な大前提を見失う事を避けなければならないのも確かだと思います。
現状における利用者のニーズとそれに添ったサービスの提供を当座の正解としているのだとすれば、本質的な目的が別にあることになります。
もしも当座の正解を本質的なものだとするなら、手段と目的を履き違えているように感じます。
法の裏をかいて、事業を発展させるのは小気味の良いものかもしれませんが、これも本末転倒におちいらなければ良いがと、要らぬ心配をしたくなってしまいます。
言わんとしていることは分かる気がするのですが、気掛かりなのはこうした駆け引きによるゲームに入り込んで行くとき、えてしてその手段だったはずのものを目的にして、迷い込んでしまうということです。
これほど割り切れた結果を打ち出しながら、組織の中でコミュニケーションを創れるのでしょうか?対等な会話が成り立つのでしょうか?疑問です。