- 現在お取り扱いが
できません - ほしい本に追加する
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
5 件中 1 件~ 5 件を表示 |
紙の本
描かれる物語の外側に面白さがある
2011/03/06 15:36
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
21世紀後半、首都圏の地方都市に日本問題象徴介入改変装置が建設された。この装置のおかげで、日本に関する問題が一夜で解決されるようになり、日本は世界の中で復権することが出来たが、代わりに、この街を平和を乱す存在と密室殺人が満たすようになった。そしてこれらの、日本の問題を象徴する事件を勇者・疾風寺舞や探偵・万陀院恋が解決することで、日本の問題が解決される。
そんな非日常が日常となった街で暮らす人々は酷く退屈している。どんな非常識な事件が起きても、被害者として物語に組み込まれた人々以外が傷つくことはない。ベーシック・インカムが制度化され、補償金までもらえるため、生活のために働く必要がない。だから街にはパチンコ屋がいっぱいだ。
そんな街にある高校で、一人の少女が事故死する。全くどんな日本問題も象徴しない、ただの事故死だ。クラスメイトの一部は、彼女の死を意味あるものにするため、ただの事故死を邪教教団による生け贄の結果と偽装する。勇者を騙して物語とし、過去を改変して彼女の死の真実を書き換えるのだ。
ぼくは彼女と最後に交わした言葉を胸に、そんな改変を望むクラスメイトと近づいたり離れたりしながら、彼女の死の真相を解き明かしてくれる探偵の来訪を待つ。
読後、プロローグとエピローグの関係を考えてみると面白い。あるいは別の死の真相を想像してみると空恐ろしい。描かれる物語の外側に面白さがある性質の本だと思う。
5 件中 1 件~ 5 件を表示 |