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虚擬街頭漂流記 みんなのレビュー

第1回島田荘司推理小説賞 受賞作品

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みんなのレビュー10件

みんなの評価3.7

評価内訳

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  • 星 2 (0件)
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紙の本

本当は☆を一つ足したいところ。悪くはないですが、でもヴァーチャルなところを除けば陳舜臣のミステリと同じじゃないか、なんて思ったりします。古典的な本格ミステリの限界を見せてしまったといえるでしょう

2010/11/03 13:30

5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

このカバーは文春というよりは講談社のデザイン系列ですね、ま、講談社が中国人のミステリをソフトカバーで出す、なんていうことは無いんでしょうが、雰囲気は完全に講談社スタイル。で、です。この本のつくりの面白さは、ソフトカバーのせいでしょうか、見返しと扉の枚数です。ま、業界用語の定義で言えば見返しは効き紙と遊び各1枚ですし、扉も1枚でいい。目次の頁が続いて、で序章に行くかと思うと、そこに一見すると黒い頁が4つ、あるわけです。

実物を見てもらうしかありませんが、目次の裏頁は黒地に

装幀   坂野公一( welle design )
写真提供 アフロ

と白抜き。でその向かいの頁も黒地に白抜きで

テクノロジーはいつの時代も人から始まる
―――ある携帯電話会社の広告より

               科学は人間のなにを変えたのか?
               ―――エドワード・テナー

とあります。で問題は、その次の見開き頁。これが再び黒地で、右は黒、左は黒地に書名の虚擬街頭漂流記を白抜きで。とまあ、簡単に言えば黒い紙が普通より多めに続くんですが、この黒地が単なる真っ黒ではないわけです。どうも細かい模様が入っている。何かではあるんです。意味的にはネット世界かもしれませんが、こう、微かに見える、そういう模様ともなんともつかないものが見える。

これが各章扉になるとシンプルなんです。黒い頁に縁取りと章タイトルですから、ま、フツーです。最後はまた見返しですし、その前の奥付や著者紹介などは黒地の頁でも、あんがい講談社に多いスタイルなので、あ、しゃれてるかな? で終わります。ということで、本を開いて真っ赤な見返し紙と序章までの黒い数頁、これが装幀のキモかな、なんて思ったりします。ま、カバーのデザインも章扉とシンクロしたり、それが背にも反映したりと面白いんですけど・・・

で私としては初めてのアジア作家のミステリです。正直、アジアの事情に疎い私には、ミステリ=欧米、はっきり書いてしまえば英国と米国以外はミステリ後進国だという思い込みがあります。実際に、イタリア、フランス、ドイツ、スウェーデン、カナダのミステリを読む限り、彼我の差は大きくて、合格点を出せるのはマルティン・ベックシリーズを生んだスウェーデンだけじゃないか、って思うのです。だから、たとえ島田荘司推理小説賞受賞作であっても、躊躇う。

書店で実物を見ても、やけに派手なデザインだな、それに著者名が寵物先生? なに、先生って? って思うんです。意匠はともかく、この〈先生〉で損してると思うんですよ、この本。この文字みたら、なんだ、おりゃ? なんて暴力団やその予備軍、暴走族は絶対に手出しませんよ。ま、文庫読んでるヤクザ、なんてレアでしょうけど。ゲームオタクだって、敬遠する。何だか、学校の教師が家に入り込んでくるイメージあるでしょ? 

こういう著者名をそのまま持ってくる出版社のセンスを疑いました。だから暫し、静観。でも気にはなる。決め手になったのは出版社のHPの
               *
本格の新星、アジアから。第1回島田荘司推理小説賞受賞

2020年、台湾政府は大地震の被害で寂れた台北きっての繁華街・西門町をネット上に仮想都市として再建する計画を進めていた。仮想都市=ヴァーチャストリートの制作に携わるエンジニア・顔 露華はシステムのバグを点検するため、上司の大山とともにヴァーチャストリートへ進入し、謎の男の撲殺死体を発見する。

仮想空間でその人間に起った出来事は、特殊なスーツを装着することで現実の人体にも反映される。つまり、現実世界でもその男は殺されたのだ。だが、殺人が起った時間帯にヴァーチャストリートに存在したのは露華と大山のみ。しかも二人には完璧なアリバイが? SF的設定の中に構築された高度なトリックと、結末に思わず涙する感動のストーリー。アジアから逆輸入された21世紀本格ミステリーの傑作登場。
               *
〈21世紀本格ミステリーの傑作登場〉とあっては、無視し難い。著者名に対する不満を抱えたまま、とりあえず読み始めました。ゲームをやらない私には、そのジャンルに登場する都市に壁があるかどうか良く分かりませんが、町に内外を分ける壁が存在する、という設定は日本には戦国時代以外には、あんまりない、やっぱり中国の小説だわ、なんて昔読んだ陳舜臣のミステリを思い浮かべたりしました。

陳舜臣は、幾つか高い塀に囲まれた町やお屋敷での殺人事件を扱ったミステリを描いています。『方壷園』『北京悠々館』がそれで、これに山田風太郎『妖異・金瓶梅』を加えてもいい。これらを凌ぐのか。仮想現実を取ったら、この三作に及ばない、なんていうのは止めて欲しい。ということで読むのですが、ここがネットの上野都市の悲しさ、アジアらしさも中国らしさも感じません。陳、山田作品にあった異国情緒はどこにもない。

いや、当然なんです。仮想現実なんですから。でも、そうなると剥き出しのトリック勝負になる。詳しくは書きませんけど、設定をうまく使っているな、とは思います。特にトリックの部分。でも、これなら台湾の作家が書かなくてもいい。いや、だからこそグローバルな可能性を持つ作品なんだ、という意見があることは理解できます。でも、これならUSJで起きた殺人のほうが、もっと読んでいて楽しかったんじゃないか、って思う。無論、今回のトリックは使えませんけど。

逆に、仮想空間を使ったがためにトリックに制約がかかってしまった。そう思うんです。無論、いつかは出てこなければならなかった小説だとは思うんですが、それなら思い切ってゲームにしたほうが良かったんじゃないでしょうか。今だからこそ登場しえた作品ではありますが、その立ち位置の曖昧さは、この作品の評価を「台湾の作家の作品が、日本の賞を取った」「第1回島田荘司推理小説賞受賞」ということに限定してしてしまい、ミステリとしては急速に忘れられる、そういう気がします。

ま、ここらは異論もあるでしょうから、読んで確認してください。ちなみに、私はこの作家の作品を読むことは無いと思います。参考までに目次の丸写し。

   序章   臍帯
第一部 フーダニット
   第一章  三十歳・郷愁
   第二章  三十歳・漂流(一)
   第三章  三十歳・胎動
   第四章  娘・産声
第二部 ハウダニット
   第五章  三十歳・漣
   第六章  三十歳・漂流(二)
   第七章  三十歳・逆襲
   第八章  娘・突然の出会い
第三部 ホワイダニット
   第九章  三十歳・鼓動
   第十章  三十歳・漂流(三)
   第十一章 三十歳・崩壊
   第十二章 娘・永劫
   
   終章  烙印

   第一回島田荘司推理小説賞選評(島田荘司)

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2010/08/03 02:08

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2021/04/04 10:04

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