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野田総理は、一票の格差に関して、その問題を後回しにしても、国民に信を問わなければいけない時がある、とこの問題を後回しにしました。
ですが、彼は、大事なことをわかっていません。
1票の格差がこれだけ開き、最高裁が次から次へと違憲判決を書き、行政府、立法府へ警告を出している理由は、その信を問うことが、今の選挙制度に基づいて、選挙が行われる限り、「国民の信を問うことはできない」からです。
前回の参議院選挙では、島根のある立候補者は、6千票を獲得し当選しました。一方、千葉県のある立候補者は、6万票を獲得して、なんと「落選」しました。つまり島根と千葉では、1票の格差が10倍に開いているのです。10倍というとわかりにくく、島根県の人の1票の価値を1票としたとき、千葉県の1票の価値は「0.1票」の価値しかないのです。
つまり、1人1票を平等に与えれていると思われてきた事実が、
まったくのでたらめであったという事実が明らかになったのです。
いえ、前々から明らかでしたが、立法府、行政府の怠慢で、その事実は放置され続けてきたのです。
民主主義の大前提、基礎である「多数決」すら機能していないのが、我々の国の現実なのです。
升永、久保利、伊藤の3人が代表を務める集団訴訟において、司法府は、行政府、立法府に対して「違憲判決」を出し続けています。
この数年で歴史は、本当に現実として変わり続けています。
ですが、時の為政者は、その事実を理解できず、無視をしました。
司法府は判決の中で、憲法違反は宣言しているものの、その格差是正のための措置をとる期間が十分でないとして、1票の格差がこれだけ開いた選挙も無効にはしませんでした。
しかし、今回、これから行われる選挙は、そういった判決が出た後に、言ってみれば、司法府から行政府、立法府に対して警告を出ているにも関わらずの、何の措置もないまま、総理はそれを無視してでもと口にまで出していますが、そういう状況の下で行われようとしているのです。
イエローカードが出ているのに、また反則をすればどうなるか?
レッドカードが出ますよね。
今回の選挙が行われたあと、弁護士界のスーパースター升永弁護士、久保利弁護士、そして僕の恩師である伊藤真弁護士は、黙ってはいないでしょう。
日本の国政の歴史の中で初めて、司法府より選挙無効、選挙のやり直しが命じられることになるかもしれません。
なぜなら、今の選挙制度では「国民の信を問えない」からです。
いろんな政治勢力が出て、政治が活気づくのは嬉しいことですが、
ですが、国家権力は憲法に縛られるべきです。
国民の権利、自由を擁護するために。
であるばらば、その根底の選挙制度は、まずもって早急に改められるべきでした。選挙の争点、焦点は、原発、tpp、消費税に絞られているようですが、それよりももっと根底の部分の議論が行われないことが、この国のレベルの低さを露呈しているとしか思えないのです。