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この人から受け継ぐもの みんなのレビュー

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みんなのレビュー19件

みんなの評価4.2

評価内訳

19 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

この人が残してくれた遺産

2011/02/04 08:11

10人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この本の書名『この人から受け継ぐもの』の「この人」とは、大正期の思想家吉野作造であり、作家で詩人の宮沢賢治であり、戦後の道しるべであった丸山眞男であり、ロシアの作家でチェーホフである。
 そして、同時にこれらの人々の生き方や思いに寄せた、劇作家であり作家でもあった井上ひさしのことでもある。
 そう、この本の書名は昨年亡くなった「井上ひさしから受け継ぐもの」であってもちっとも構わない。

 本書には井上ひさしが先にあげた先人たちについて語った講演記録三篇とエッセイ二篇が収められている。どれも読んでいて井上ひさし流のユーモアが散りばめられていて楽しい。きっと実際の講演は笑いが絶えなかったのではないだろうか。
 特に大正デモクラシーの旗手でもあった吉野作造について語る井上の話は実に巧妙で、興味しんしんに聞きいっているうちに、憲法や国家のありかたを学び、考えさせられるように導いている。そのように内容が充実しているのは、井上ひさしがすこぶる勉強家だったからだと思う。
 丸山眞男について語った講演のなかに井上が戦争末期の貴重な資料を手にいれるエピソードがあるが、わずかの差で手にはいらなかった資料を古本屋と掛け合い写本するなど、まるで昔の書生のように実直で、頭が下がるのである。
 井上ひさしの遅筆は有名だが、このようなこだわりが結果として遅筆になってしまったのではないだろうか。

 井上ひさし自身がこれらの先人が残したものを「読み継いでいこう」としたように、井上が亡くなった今、私たちもまた井上ひさしが残したものを「読み継ぎ」「受け継」いでいかなければならない。その先に井上が願った世界があるような気がする。

 ◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でお読みいただけます。

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紙の本

井上ひさしの思想

2011/03/01 09:22

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:K・I - この投稿者のレビュー一覧を見る

井上ひさし『この人から受け継ぐもの』(岩波書店)を読んだ。
吉野作造、宮沢賢治、丸山真男、チェーホフといった人たちの人生や思想を紹介しながら、井上ひさし自身の思想を語った本だと思った。
吉野作造、宮沢賢治については詳しく人生が紹介されていて、興味をもった。
吉野作造とその弟を主題にした『兄おとうと』も読んだが、なかなか吉野作造という人は興味深い人だな……と。
宮沢賢治については、今までかなり苦手意識があったのだが、その人生を知って、興味をもった。父親との反目など現代に通じるテーマを賢治も生きていた、ということなのだろう。
井上さんの戯曲は亡くなった後にいくつか読んだが、これからも折に触れて、読んでいこう、と思った。

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紙の本

井上ひさしが受け継いだもの、井上ひさしから受け継ぐもの

2011/07/18 13:36

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:稲葉 芳明 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 初出は「憲法は政府への命令」(講演・原題「吉野作造を読みかえす」<岩波の文化講演会>2003年5月)、「ユートピアを求めて」(講演・原題「なぜいま宮沢賢治か」<農民ユートピア講座>1989年5月)、「戦争責任ということ」(講演・原題「丸山眞男先生に私淑して」<第二回「復初」の集い>2001年8月)、「笑劇・喜劇という方法」(原題「私のチェーホフ」朝日新聞夕刊2004年5月~6月にかけ5回掲載)、「笑いについて」(「図書」2002年1~4月号、未完)。
 吉野作造の憲法・国家論、宮沢賢治にとってのユートピア、丸山眞男の戦争責任論、チェーホフの喜劇――井上ひさしが深く魅せられてきたこれらの思想家・作家への思いの丈を、今回単行本としてまとめたもの。いずれも平易な語り口ながら――講演というせいも大いにあるが――中身は浅薄では決してなく、これら四人の思想家・作家と井上氏の関わり、および現代日本でどう位置づけられるかを深く掘り下げている。一冊の書物としてみた場合、この四人を貫く芯のようなものを欠くのが残念だが、これはまあ井上氏の死去後(恐らく)未発表原稿を編集したのだろうから、ないものねだりというものか。
 井上氏の信念・信条に深い影響を与えた四人だけに、読んでいてなるほどと納得することが多々あったが、一番印象深かったのは宮沢賢治を語った稿。「賢治の童話では、人間はもちろんですが、自然のなかの全部のものが人間としゃべって、人間と交流し合って、話をし合います。これは賢治がわれわれの時代に残していった最大のメッセージの一つだと思います」と述べ、次に著者は「ユートピア」論に移る。ところが、「正直にいいますと、ぼくはユートピアの世界というものが大嫌いなのです」という発言にオヤッと耳をそばだててしまう。井上氏は制度としてのユートピアを否定し、時間のユートピアこそ成立可能だと説き、「演劇という装置は人を集めて時間のユートピアをつくりだし、その宇宙で一回だけの集まりが毎晩できてはこわれていくものだと思うのです。そのできてはこわれていくというところに、私は非常に生きがいを燃やしています」と熱く演劇論を語る。この姿勢――終生現役劇作家として、最後まで旺盛に芝居を書き続けた井上ひさしの気概と理念と覚悟――に素直に胸打たれた。

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2011/01/22 20:48

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2011/02/27 19:09

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2011/02/27 10:49

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2011/05/10 22:40

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2011/06/30 19:04

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2011/07/05 22:45

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2011/07/26 22:30

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2011/08/15 05:46

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2012/01/23 14:37

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2012/01/26 23:13

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2012/02/19 18:30

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