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2011/8/24:読了
人物破壊/人格抹殺という概念の本。
欧米にも、政治的なネガティブキャンペーンはあるが、
政治資金規正法というあいまいな法律を使った
スキャンダルを官僚とマスコミが一体化して広めるという
方法は、日本独自だという。
【参考記事】
1)ウォルフレン著『誰が小沢一郎を殺すのか?』②:
植草一秀の『知られざる真実』
< http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-be46.html >
2)『人物破壊/人格抹殺=キャラクターアサシネーション』という概念を知らしめた小沢ウォルフレン会見
- ryuubufanのジオログ
< http://sky.geocities.yahoo.co.jp/gl/ryuubufan/view/20110729/1311902531 >
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日本を支配を司る、検察と官僚について触れられており、これらは法律を曖昧な表現に留めておくことで、「不文律」によって、既得権=秩序を守ろうとしていることが世界的にも異色であり、本当の意味における民主主義が成熟していない、と筆者は分析する。
さらにブッシュ政権からのアメリカの傲慢な態度と、それに隷属する日本のエリート層が、改革を志す小沢一郎を、画一化したマスメディアとともにスキャンダルという形で貶めている、と指摘する。
ロッキード事件、証券スキャンダル、リクルート事件、ライブドア事件といった具体例にも触れ、彼らは天才すぎたゆえに、既得権を破壊する恐れがあったため、抹殺されたと書かれている。
正直、外国人で(むしろ外国人だからこそかもしれない)ここまで、日本を鋭い洞察力で見抜く能力は凄いの一言。また、訳文も極めてこなれた表現で書かれており、実に読みやすかった。
最初は本の質量の割に値段が高いと思ったが、内容がその分濃いので読後は気にならなかった。
是非、日本人なら読んで頂きたい本だと思う。
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プロローグは歴史の岐路に立つ日本ということで始まる。
第1章「人物破壊」にさらされる小沢一郎ということで、この政治家がなぜ、「人物破壊」という目に遭わなければならないのか、日本の江戸時代、明治維新政府の成り立ちまで遡って証明している。
その閉鎖的な官僚システムが、未だに霞が関システムとして生き残り、誰が「人物破壊」の主役となったいるのかは、特定できない仕組みであるという。
政治・行政情報を握って離さない官僚が、何ら国家像を示さない中、政治家を影からつぶすという日本的な現象が今後続く限り、日本の未来はないという。
こういうメカニズムは主要メディア以外の情報を知りだした日本人も増加傾向にあり、いつまでも続かないし、日本の将来のため続けてはならないと著者は警鐘をならしてくれている。
検察・メディアの暴走のメカニズムが手に取るように理解できるすばらしい分析本である。
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なぜこれほどまでの小沢バッシングキャンペーンが行われているのかを日本の権力構造を抉りだして説明してくれる著作。明治時代以降、山県有朋によって構築された強固な官僚制度を脅かす存在であるものは徹底的にスキャンダルによって追い落とされることが指摘され、小沢一郎がその最も最たる例であることが本書から理解できある。
アメリカ=高級官僚=マスコミという既存体制に対して、小沢一郎のような志のある政治家を国民が一致団結し支援し対抗していくことが必要である。
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カレル・ヴァン・ウォルフレン『誰が小沢一郎を殺すのか?
~画策者なき陰謀』(2011/井上実訳)を読む。
「歴史の岐路に立つ日本」と題されたプロローグ冒頭にこうある。
大地震や大災害に見舞われると、
人間というものははたと現実に気づくのか、
あらためてよく注意して周囲を見回すようになるものだ。
選挙や革命といった政治事件もまた、
こうした大きな自然災害と同じく
人々を目覚めさせる「ビッグ・ニュース」となる。
(同書p.1より引用)
この本が発行されたのは2011年3月1日である。
まるで3.11を暗示していたかのような文章で本書は始まる。
キーワードは原題にある Character Assassination。
井上は「人物破壊」と訳す。
政治家・小沢一郎をめぐるメディアの報道が
どうしてこういつもヒステリックなのか、僕は疑問に思ってきた。
政治的主張の是非をほとんど問うことなく、
人格を攻撃しつづける様は異常と写る。
そこで問われる「倫理」は常にあいまいである。
なるほど、ウォルフレンが言うCharacter Assassinationが
そこで行われていると考えれば明快である。
より直訳に近い「人格破壊」「人格暗殺」と考えれば、
小沢の政治的生命を奪い暗殺する行為であることが理解しやすい。
「画策者なき陰謀」を働いているのは、
検察、メディア、官僚、アメリカ政府などの
複合体であるというのが
ウォルフレンの結論である。
3.11以降の現実の中で僕たちはもう一度注意して周囲を見回し、
自分の生き方、暮らし方を問うている。
僕もCharacter Assassinationのキーワードを使って
もう一度現実を見直してみることにしよう。
誰が誰によって殺されようとしているのか。
その「人格暗殺」で誰が利益を手にしようとしているか。
(文中敬称略)
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わかりやすく、冷静な分析。イメージだけで小沢一郎を嫌いだと言っているそこのあなた等々、多くの人々に読んで欲しい本だ
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学生時代以来久しぶりにカレル・ヴァン・ウォルフレン氏の著作を読む。
昔読んだ時かなりの厚みがあったので、今回も覚悟していたが思いの外薄い。
内容も薄かった…
90年代深い洞察と見識でうならせた氏も時代に追いつけないのか
政権交代前からネットに飛び交う流言飛語とデマ、或いは『日本会議』などの伏流については一切触れておらず、正直失望した。
発売前の期待が高かっただけに残念である。
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それまでの価値観をひっくり返す本に出逢うと、世界がそれまで以上に魅力的に感じられる。とても良い状況とは言えなくても、知らなければ何も始まらない。
新聞の記事を読んだり、ニュースを見たりする度に失望するばかりだったから政治には無関心だったけど、何も知らないのに失望するなんておかしな話だった。
凄く刺激的な本だ。やっぱり望む情報を得るには受け身ではいけない。
何を望んでいるかすら、探さないと解らないのだから。
木戸孝允
『リクルート事件・江副浩正の真実』
『日本改造計画』小沢
東アジア 鳩山
ギャバン・マコーマック
1993年に民主党を作った政治家達
田中角栄
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2011.6.5読了。
小沢氏を正当化している数少ない良書。
メディアに惑わされている人が大多数の中、本質を
しっかり捉えて書かれており、植草氏の意見と通じ
るものがある。
常に世の中の本質を捉えたい人は、基礎知識として読んで
おいた方が良いと思う。
米国の奴隷の日々はいつまで続くのだろうか。
今後の執筆が楽しみな著者。オススメ。
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小沢氏に対する、執拗かつ長期にわたってつきまとう既存の「イメージ」に対する疑問から本書にあった。氏の見解は政治学に言う「パワーエリート」論に与すると思われる。
簡潔に述べると…
明治の国家を創った人々は、封建制の大名に変わって官僚制のトップに陣取り、官史として天皇を軸とした慈悲にあふれたフィクションの「調和国家」を創る。その過程で、政治家を自らの既存システムを荒らすものとして、うさん臭いものと位置づけられている。それは、本質的に現在にも通じるという。
氏は、日本の憲法に書かれた公式的な制度と超法規的で現実に照らし法を解釈する非公式な慣習の乖離を指摘する。その主体の重要な一部は検察であり、手段はメディアを通したリークによる「スキャンダル」での「イメージ」(金権政治)作りと、折をみて政治資金規正法など曖昧な法を恣意的に解釈し「人物破壊」で政治的痛手を負わす事、目的は既存のシステムを維持する事である。
小沢氏が代表の座を辞すときの自民党議員は「もし当局が同じ基準を我々すべてに当てはめたのなら、国会の半分は空っぽになってしまう。」といったが、これが物語る検察官僚の裁量の大きさに目を向けるべきだ。
この検察の問題性は昨今の「発見」によって明らかになりつつあるが、これにより日本の改革は挫折し民主主義は蝕まれ、国益も損なわれる。この点は鈴木宗男氏が政治的に影響力を削がれた後の北方領土問題に如実にも現れている。
しかし、本書だけでは、既存のシステムが何であるのかはハッキリしない。一つに官僚の既得権が挙げられるかもしれないが、官僚同士も予算を巡り争うものである。尤も、時の政権の意向とも切り離しては考えられないかもしれない。例えば、佐藤優氏によると「鈴木宗男事件」の国策捜査は、時の小泉氏の「改革」への流れに棹さす、「利益再配分型」政治家として、「時代のケジメ」として象徴的に狙われた可能性に言及している。(『国家の罠』『反省』参照)
小沢氏は「壊し屋」などと言われるが、「政治主導」「脱官僚主導」だけは首尾一貫している。菅政権は脱小沢であるが、その本質は官僚主導であり、小沢なき民主党はもはや民主党ではなく、何も変わらず政治不信だけが残った。そもそも、あれだけ金権のイメージがありながら、小沢氏があれだけの政治的影響力を保てる理由を考えるべきだ。その理念に共感するところが無ければ、普通の政治家には選挙区にとって不利にしかならないのだ。
時代が経ても変わらぬスキャンダル政治によって、誰が利益を得ているのかを考えるには良い書であろう。
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ウォルフレン『誰が小沢一郎を殺すのか 画策者なき陰謀』(角川書店、2011年)を読んだ。
きっかけは大阪日日新聞の一面でプッシュされていたことで、小沢一郎にまつわる騒動が何なのかさっぱりわからないと思い続けていたので読むことにした。
タイトルからは小沢一郎擁護の本かのようだが、実際は官僚組織とマスメディアが日本に政治主導が根付くのを阻害し続けてきたことを指摘する本だ。
どう評価したものかわからない。多くの人に読んでもらいたい本ではある。難しいことをいっているわけではないのに、わかりやすい本でもない気がする。
ウォルフレンの本は高校生の頃から何度となく読もうとした。しかし、実際に読んだのは10年以上経った今だ。問題意識の持ちようによっては読みやすい本だと思う。しかし、読み込みすぎるとわからなくなりそうだ。
いい本かと聞かれるといい本だとも答えにくい。ただ、多くの人に読んでおいてもらいたい本ではある。政治不信とマスメディアへの懐疑が広がる中で、表面的な出来事や情報に流されないで考える姿勢を持つ必要性を教えてくれるように感じた。
この本はそういう姿勢を持つことを促す。しかし、今の状況を読み解く確かな視点をもたらす本では必ずしもないように思う。この本の議論はあまりに荒削りなので、うのみにする気になれない。
この本に警戒心を抱く部分もある。読み方によってはメディアコントロールの巧みな近年の独裁型の首長を単純に賛美することにもつながりそうだ。しかし、裏返せば独裁型の首長を支持してしまう心理を理解する手がかりにもなりそうな本だ。
ともあれ、まずはそういう姿勢を持つべきだという意識を多くの読者で共有していくことが必要だと感じさせられる。
角川書店による特集ページ http://www.kadokawa.co.jp/wolferen2011/
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日本の政治が未熟であること。原因が検察と新聞にあり、その構造の破壊者としての小沢一郎を取り上げた本。内容はともかく日本の異常な構造を訴える意味では面白い本
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10/20 再読 津市津図書館---安濃図書館。
著者の大震災後の見解を知りたいものだ。野田どじょう政権への評価も。
7/12 県立図書館。
相変わらずのウォルフレン節。
東日本大震災直前の書き下ろし。最新版を要チェック!!
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外国の方から見た日本の政治・権力構造に対する考察。なかなか日本人だと書きづらい内容を分析されていると思う。このような外国人から見た視点も面白く感じた。
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衝撃的なタイトルですが、中身は、カレル・ヴァン・ウォルフレンらしさ満点でした。
彼は、日本が好きなのでしょうか?どうなんだろう?