投稿元:
レビューを見る
互いに悲しい過去を持つ敦史と有紀は、大沼の湖畔で出会うが・・・
馳作品初挑戦。白川道さんと似てる作風なのかな、と思った。
なんか、破滅的だからこそ美しく、汚濁にまみれているからこそ尊い、といった事を感じさせ、それが冬の北海道の情景とあいまってグッときた。
他の作品も読んでみようっと。
投稿元:
レビューを見る
馳さんらしくない恋愛ものだなぁって思って500ページ一気に読んじゃった。ラストはやっぱり馳ワールドだったね。
投稿元:
レビューを見る
馳流の純愛小説...風ではあるんですが、やはりそこは
どうしても馳作品。冒頭の数ページから、もう既に
破滅、破壊、そして常に死の匂いが終始付きまとう。
読んでるコチラ側としては、この悲哀に満ちた
純愛のハッピーエンドを期待してるのに、あぁ...
やはりヒタヒタと忍び寄る破滅からは逃れられない
このストーリーに飲み込まれていく。
そういった意味では期待を裏切らない作家さんなんですね。
狂気を宿しつつも、既に生きる事を放棄したかのような
青年「敦史」、どんな男性の目も惹く類い稀なる知的障害を
抱えた美少女「有紀」が極寒の雪の地で出会ってしまった事で
2人が惹かれながらも、その極度に互いを依存する関係。
そんな関係を引き裂く彼等の周囲から逃れようとするのだが...。
やはりその白い雪は序々に赤い血で染まっていく...んですよね。
オビにあるノワール版「フランダースの犬」...というのは
少々疑問ですが、意外にも馳氏のルーツに同作が根付いている
らしく、そうした作品に反映させたのがこの作品のようです。
本当に短い時間ですが、この2人が互いを必要としながら
一緒に生きた時間の濃縮さと幸福感は、悲壮なラストが
待っていると思いつつも、永遠に続いて欲しい...と
願わずにはいられなかった。
投稿元:
レビューを見る
義父を殺した青年カメラマンが北海道の別荘で神秘的な美少女に出会う。写真と絵を通して交流を深める二人。少女は画家の伯父と暮らすが、精神遅滞を持っている。
純粋な二人の恋愛が、大人たちの性欲、金銭欲で歪められていく。
最後は二人の死で終わる。
やりきれない話を淡々と書いている。
北海道の自然と写真と絵が頭の中に浮かんできて、面白かった。
投稿元:
レビューを見る
「らしくない」純愛モノ?と思いながら読み始めたら、やっぱり「らしかった」。予想どおりな展開というか。どうしたって暴力とか血とか理不尽とかそういったものと繋がっていくんだねぇ。でもそんな味付けであっても、これはピュアな恋愛モノってことになるんだろうな。そして確かに『フランダースの犬』をこの人が料理したらこういう風になるんだろうね。
投稿元:
レビューを見る
僕の人格形成に影響を与えた「不夜城」の著者「馳星周」の著作はだいたい読んでいます。なかなか「不夜城」を超える作品が出てこない・・・。けど小説の世界に入り込むことで自分では体験できないことを疑似体験できるのは醍醐味だと思います。特に馳さんが作り出す暗黒の世界はすごい。
投稿元:
レビューを見る
覚悟を決めた少年と、悲惨な生活を送り続けた少女とのストーリー。
馳さんの作品の中でもロマンチックで良かったです。
投稿元:
レビューを見る
昔にみたドラマ、「聖者たちの行進」を思い出した。
有希が可愛そう・・・・
大人の欲望やエゴで傷つく子供がどれほどいるんだろう・・・
せつなくなるお話。
投稿元:
レビューを見る
前半は、馳の作品と知らなければ気づかないほど、抒情的でオーソドックスな純愛小説のようであった。世間から隔絶した感のある真冬の道南は大沼にある別荘地。もちろん人がほとんどいない別荘地から、見上げる蝦夷駒ヶ岳。大沼のハクチョウたち。四季、道南でも仕事をしていたぼくは、この地域にも土地勘がふんだんにあって、今でもその土地の風のにおい、雪のきらめき、星の冷たい輝きなどなどを、懐かしむことができる。
不思議な符号だな、と思ったのが、この正月アナログにとうとう見切りをつけてデジタル一眼レフを買い込んだこと。カメラを持ち歩いて北海道を写し込んでゆく楽しみに心を奪われていた正月休みであったこと。そして本書の主人公がデジタル一眼レフにすべてを注ぎ込んで、大沼の野性を切り取り続けていることである。本を読み始めた当初から、ああ、これはちょうどよいときに読むことができたな、と思った。昔はカメラマニアは暗室を家の中に設けて、その中で自分で現像を愉しんだものだが、今では、パソコンに取り込んだ画像データをレタッチソフトで調整して、プリンターで出力する作業に切り替わっている。
後に写真家になった中学時代の友人の家で、敢えてモノクロで撮ったフィルムを現像し、カメラの露光ばかりではなく、フィルムの感度や焼きつけの深度によっても、写真はいろいろな風にアウトプットされるのだと知って、赤い光の中で驚かされた記憶がよみがえる。光と影だけでなされる魔術の世界だった。
そんないわばカメラ小説のようなスタートから次第に、写す対象として出会ってしまう知的障害者の美少女との恋愛へと、物語は移行する。最後は、ようやく馳ならではのノワールとなって、壮絶な暴力で幕を閉じてゆくのだが、全体が人気のない大自然の中での一人称文体であるだけに、どの作品よりもリリシズムの感じられる、美しい作品である。
少し前に『沈黙の森』で軽井沢の別荘地を舞台にしたスリラーを書いているが、そこに重なる部分が本書には残る。既視感(デジャヴ)を感じさせないでもない。
最近、練度を増してきた馳星周である。もうすっかり身を任せることのできる小説世界を構築してくれるようになった。元は自分に近いところで一緒に酒を飲み、呻きあっていた坂東齢人という二十代の若者が、ここまで切れ味のある作家になってしまうとは。ますます遠ざかる友人の背中をぼくは眩しげに見つめなおすばかりである。
投稿元:
レビューを見る
いや、まあ、馳星周って、こういうロリエロものも書けるんだ。びっくりしました、感心しました。
ラストもふたり抱き合って失血死という(馳星周にしては)ハッピーエンドだし爽やかな読後感。うん、中高生に勧めてもいいんじゃないかな。
投稿元:
レビューを見る
タイトルに惹かれて、手に取った。冒頭はほんわかとした恋愛小説のような滑り出し。最終的には、『フランダースの犬』であり、タランティーノがシナリオを書いた映画『トゥルー・ロマンス』のようでもあり、存分に楽しむことができた。映像的であるが、実際にドラマ化するのは難しいだろう。ヒロインの有紀にぴったりはまる女優が思い浮かばないからだ。
投稿元:
レビューを見る
まさにこの本が主人公の写真に等しい。この構図と
被写体が決まった時点で失敗は薄いけど、それを
ここまで高めたのは筆者のレタッチ能力なのでは
投稿元:
レビューを見る
終わりが見えてる愛って、純度が高くなる気がする。
悪人で済まされてしまうだけの人の胸のうちにも、良心あれば愛もある。またその逆も。それが人間だと思う。
二人とも死んじゃったけど、これはハッピーエンドなんじゃないかな。泣けた。
投稿元:
レビューを見る
#読了。
カメラマン志望の敦史は、北海道の別荘地で知的障害のある有紀と出会う。有紀はモデルになり、2人はどんどん接近していくが、共に人に話せなかった暗い過去が・・・
馳さん得意のノワール小説だが、少々物足りず。2人が出会った後に守るため、というなら別だったような。
投稿元:
レビューを見る
絶望から破滅へ
人生の絶望の淵で出会った2人。破滅への道はいつもながらの馳ノワールだが、有紀と敦史の純愛が救い。帯にもあったが努力すれば夢は叶う、という言葉は作者が一番嫌悪する言葉だろう。この世には救われない魂も存在するのだ。作者は綺麗事を一切排除し、それを描き続けている