紙の本
わかりやすい労働法
2012/02/05 11:17
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しいたけ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者が書いているように一般社会人向けに書かれている労働法の入門書だと思います。労働法の本では最近はやりの事例を設定してそれに関する労働法上の問題を考えていく形式をとっています。だから、難解な労働法を身近に感じることができるようになります。さらに昨年の新国立劇場運営財団事件、INAXメンテナンスサービス事件にも触れ労働法学の現在がわかる良書であると思います。本書に物足りない読者には水町先生の「労働法」有斐閣をお勧めします。
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仕事の上で労働法に携わっているが、それでも改めて気づかされる内容であった。ただし、「入門」というほど初心者向けではないか・・・。ある程度理解している人が読むには最適な本。
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わかりやすかった。法律に疎い者も、今の日本社会でこそ、労働法をしっかり学んだほうがいい・・・と教えられた。
「和」を思い、つい我慢が先になる日本人だからこそ、働くことと自分の人生を大切にしたい。
あまりに不当な扱いをされる労働の現場があることことも確か。
根本的な問題は、キャリアを社会全体で生かせることだと思う。
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とてもではないが軽く読めるようなものではなく、読むにはそれなりに気合いがいるんじゃないか思う。
労働法を簡単に学ぶにはいいのではないだろうか。
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こういう時代だからこそ読んでおいてよかった一冊。欧米との違い、そして「なぜ労働法は守られないのか」ということに答えてくれてます。チャプターが小分けされてるから読みやすい。
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自分の基本的な志向は、社会科学でも自然科学でも人文科学でも何でも構わないけれど、新しい「発見」とか、理論的な「面白さ」とか、どこか浮世離れしたような、実際の生活にすぐには役立ちそうにはないところにある。だからこれまでも法律とか、会計とか、語学とか、何だか将来役に立っちゃいそうなものは敬遠する傾向にあった。詳しくは分からないけれど、リベラル・アーツというものが好きだ(にもかかわらず当時は法学部が第一志望だったり、結果的に”実学”を重んじる商学部に進学したり、その姿勢には全く一貫性がない)。
社会人になって、良い意味での重厚長大的な格好良さ、技術(自然科学、テクノロジー)への敬意、”素材”への強い関心、世界をあっと言わせるような新発見に貢献したい、身近なところで携わりたいと思い化学メーカーに進んだが、とりあえずこの約三年間はものづくりというよりも、人事マンとして、人事業務と格闘を続けてきた。しかし人事業務は法律の素養がないとつらい部分も多く、これまではなんとかなってきたけれど、これからもこの調子じゃ早晩限界が訪れる、これは好きなことばかりやってる場合ではないと思い、重い腰を上げながら、この本を選んだ。数多ある候補からこの本を選んだのは、偏にマニュアルっぽくないからだ。僕はマニュアルの類を読むのが苦手なので、まずは法の思想や背景等の記述に力を入れているような印象の本書を選んだ。結果的にはこれで正解だったと思う。何でもポイントばかりを箇条書きされた法律関係の本はその無味乾燥さから正直何も頭に入ってこないが、本書はフランス、ドイツ、アメリカの事情などにも触れたり、とにかく日本の労働法の特徴を初学者にも捉えやすいようによく工夫されていたように思う。
全体を通して強く感じたことは、法律は近視眼的にではなく、統一的に捉える必要があるということ。これは特に自分にとって新しい発見だった。例えば日本は採用においてかなり企業側に裁量の余地があるが、これは解雇要件の非常に厳しいものとの表裏一体のものとして捉えられるということ。比喩的に言えば、入口を見直すなら、出口も見直さなければならない。こうした考えは、ただ法律の内容を説明しているだけの本からは得られないのではないかと思う。
入門書として、自分にとっては非常に素晴らしい本でした。とにかく気が進まなかった法律に取り組むきっかけを与えてくれたことに感謝します。
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・英語のlaborには、労働の意味のほかに出産の苦しみという意味もある。フランス語の労働にあたる単語にも苦しみという概念がある。カトリック系では労働は神がアダムに与えた罰、という概念。
・一方ドイツ語では天職という意味があって、神が与えた使命という意味。文化で本当に違う
●日本の労働法の問題は、判例法理などで確立された法原則と実態が著しく乖離していること。
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働くことの意味を労働法を通じて考えさせられた。罰か、天職か、家業か。これからの労働者像は、集団か、個人か、それとも国家による管理か。どちらに行くとしても、それらの組み合わせのなかで変化して行くちがいない。
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1/16読了。著者は東大の社研教授。そもそも労働法が生まれた歴史的背景から始まり、比較法的に日本の労働法制について概説しています。また、主要な判例法理は網羅し、最新の判例動向もフォローしているほか、労働者が困ったらどうすべきかを手ほどきしたり、今後の労働法はどうあるべきかを問題提起していますので、新書ながら盛り沢山の内容になっています。お手軽に労働法全体を見渡したい方や労働法を本格的に勉強する前の一冊としてもオススメです。
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労働法の入門書。日本の労働法の成り立ちについて、日本の労働慣行との関連から解き明かされる。また、雇用慣行の変化に伴う今日的な労働法上の課題についても検討されている。
国家による労働者の基本的権利の保護の要請、多様化した個人の選択や決定を重視する要請、そして、国家や個人の限界を補完する「集団」の役割の重要性。これら3つのバランスをとりながら、労働法の改正が行われることが必要となる。
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社労士の勉強の為に読んだ。過去の歴史が書かれていて法ができていく過程と背景がわかり参考になった。国によって労働に対する視点が違っている。大前提は自由意志による契約。しかし、弱くなりがちな立場の労働者を守るため法の強制力が働く。
①解雇の原則
アメリカ=いつでも理由なく解雇できる。
フランス、ドイツ=解雇の経営判断については、会社の判断を尊重。
日本=解雇に対して、かなり厳しい規制が加えられている。
②労働者、使用者の概念にも労働基準法、労働契約法、労働組合法で違いがある。
③これからの労働法の姿
国家(法律)、集団(組合)、個人の3つがよい関係性をもってよい方向に進んでいくことが必要。
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とてもわかりやすく書かれていたので、その口調に引きこまれて読んだ。
これとセットで濱口桂一郎の「新しい労働社会」を読みたい。
でも結局、結論として「日本人の法意識」に収斂されてしまっていったので、その「法意識」をどう形成するかにもページ割いて欲しかったな、と思う。
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非常に分かりやすく、分野も網羅的で、背景から今後の展望まで描かれていた。
ただ「かく規制されている」だけではなく、「なぜ規制されているか」まで説明してくれる。
新書としては重いが、教科書を読むよりは遥かに手軽。入門としては最適だと思う。
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【著者紹介】水町 勇一郎(みずまち ゆういちろう、1967年11月15日 - )は、日本の法学者。専門は労働法。東京大学教授。
【どんな本?(帯より抜粋)】働くことはどういう意味をもつのか。
働くことをめぐってさまざまな問題を抱える労働者に、労働法はどう役に立つのか。
採用・人事・解雇・賃金・労働時間・雇用差別・労働組合・労働紛争などの基礎知識をはじめ、欧米諸国との比較や近年の新しい動きも満載。労働法の根幹と全体像をやさしく説き明かす、社会人のための入門書。
【ここがオススメ!】
・その名の通り、労働法(労働に関係する諸法)の入門書。特に、大学等で労働法を学んでいない一般人向けに書かれており、非常に取っ付きやすい。なぜなら、個々の労働法の説明ではなく、そもそもの労働法の考え方・背景、全体像を示しているから。
・欧米諸国(アメリカ、フランス、ドイツなど)と日本の労働法を比較することで、日本の労働法の特徴が浮かび上がる。(当たり前なのだが、) 労働法(法律)って各国によって異なることに気づく。 (入社時の差別を強く規制する欧米に対し、日本は緩い。
・法律おもしれえかもって思える本。 その国の社会をあらわしているのな。
【一部内容紹介】
◆日本の労働関係の特徴
①日本の労働関係の人間的・共同体的性格
Q.働く人と会社の関係は、「労働と賃金との交換契約」か、「会社という共同体への人的帰属関係」か。日本は後者が想定的に強い。 それは、終身雇用(長期雇用慣行)を中心とした日本的雇用システムのあり方を密接に関わる。(定年まで雇用、余程のことがない限り従業員を解雇しない) 日本は、就職 というより 就社。 職業に対して就くというより会社に就く。 欧米…労働者(worker)、被用者(employee)という言葉に対し、日本は会社員という言葉。(最近は従業員か)
②日本は、就業規則に重きをおく
アメリカは個別の交渉による労働契約、ドイツフランスは、労働組合との団体交渉による労働協約 に相対的に重要な役割。日本は、就業規則にほぼすべての労働条件が記載。変更内容が合理的であれば、変更に反対している労働者がいても労働者全体を拘束するもの。
□.労働法の法源(法源…権利や義務を根拠づけられるもの) 強い①→④弱い
①法律(強行法規) … 労働基準法、最低賃金法、労働契約法、育児介護休業法など
②労働協約(規範的効力)… 労働組合法16条
③就業規則(最低基準効)… 労働契約法12条
④労働契約… 明示(・黙示)の合意、民法など
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全体的に少し難しく感じる部分もあったが、わかりやすく段落が分けられていた。
本自体の大きさは、文庫の小さい本に比べ、縦が少し長い。
日本と、アメリカやヨーロッパの特徴を比べるので、他国の労働法も多少学べた。
アメリカや、ヨーロッパでは、雇われて働いている人を、「労働者」という言葉を使う。
日本では、会社という共同体の中に入る「会社員」だ。
そう、日本では企業共同体への人的帰属関係が強い。
協調性が高いと言えば聞こえはいいが、社内で従業員同士の輪から逸れている人は、差別されたりする。
そして、個人が組織の中に埋没してしまい、会社の言われるがままになる面がある。
身近な事柄も書かれているので、わかりやすく知りたい時には、使えそうだ。
例えば、採用・労働差別、昇進・昇格・降格、人事異動、男女雇用機会均等、
育児休暇、その他の休暇・休業、労働時間など。
労働組合に加入している人や、周りに労働組合がある人にも、参考になる。
これからは、自己責任が問われる時代だけあって、こうした労働法を知って、会社のいいなりにならないようにしたい。