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紙の本
添い遂げるということ
2022/06/10 22:00
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:amisha - この投稿者のレビュー一覧を見る
「心中」を理解するには当時の社会構造や文化的背景を知らねばならぬ。
当時売れっ子となった、著者・近松門左衛門が生きた世の中はどんなだったのだろうか。義理・人情、大坂の町人文化。生身の芝居である歌舞伎ではなく人形浄瑠璃が流行った背景に想像をたくましくしながら、ぐいぐいとその世界に惹き込まれた。
紙の本
残る本
2017/11/30 09:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴいちゃん 大好き - この投稿者のレビュー一覧を見る
人形浄瑠璃の代表といってもいいのではないか、曾根崎心中は。
だが、文章が古くて理解しがたい。
それを今どきの誰にでもわかるように書き下ろしたものは数あるが、
この本はホントに読みやすい。
ひとつ残念なのは文庫本が発行されない事。
紙の本
夢の夢こそあはれなれ
2012/02/06 08:16
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
物語の魅力は第一にキャラクターの造形、次に物語(ストーリー)性でしょうか。
そして、リズム感がくるように思います。それは文体といってもいいでしょうが、先へ先へと押し出すそれは力となります。
近松門左衛門の『曽根崎心中』は古典の名作として知っている程度で一度も読んだことのない身としては、この角田光代さんの作品と比べるすべを持っていません。ただ純粋に2012年に発表された角田作品として鑑賞するばかりです。
その印象は、なんとリズムのいい作品かということです。小刻みに刻む音楽を聴いているように心地いい感じが物語へと誘ってくれます。
ちなみに近松門左衛門の原文も江戸時代の儒者荻生徂徠が名文と絶賛したそうです。
「この世のなごり 夜もなごり 死にに行く身をたとふれば」と、とてもリズムがいいのがわかります。
日本人というのは俳句とか和歌でそのリズム感をしっかりと身につけていますし、口誦の習慣もありますから、近松のような文章はしっくりきます。
『曽根崎心中』は元禄16年に実際にあった事件を題材にしています。醤油屋の手代徳兵衛と堂島の遊女お初の、この世では結ばれることのない切ない恋の顛末を描いた作品です。
恋とは男女同等の関係でしょうが、時に水の行き来のように女をかばうことや男を守ることで恋情が生まれることもあります。あるいは、恋に恋するという錯覚が恋情になっていくこともあります。
お初の場合はどうだったでしょうか。遊女という自由のない身で、恋はお初の心も体も自由に羽ばたかせる羽根のようなものだったといえます。
その相手の徳兵衛ですが、友人に騙される可哀想な身ながら、あまりにも弱い男という印象があります。
お初のような女性がどうして徳兵衛のような男に魅かれていくのか、それが恋というものの不思議なのでしょう。
それでも、お初と徳兵衛の恋は切なく感じるには、近松の文章、角田の文章の魅力といっていいでしょう。
人は彼らの恋にうっとりするのではなく、文章のリズムに酔うのです。
近松の名文が角田光代という書き手によって、平成の時代の名作として甦った作品です。
紙の本
もうこの道しか残されていない。そんな思いがぐんぐん伝わる。
2012/01/24 09:08
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投稿者:チヒロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
親の縁が薄く、苦労して生きてきた徳兵衛は、人を信じ過ぎる、と遊女・初は思う。
困っている時は必ず誰かが助けてくれる、現実はそうじゃないけど、
そう信じると決めた徳兵衛を、初は自分が守ってやらねばならないと。
その徳兵衛は、信じていた友人に騙されてあらゆるものを失い、追われる身になった。
初はといえば、様々な遊女が叶わぬ夢見て去っていくのを見続けてきた。
そして知った本当の恋。
悲しい悲しい二人はただ未来永劫一緒にいるために逃げて行く。
あぁ、切なく美しい情景が見えるようで・・
人形浄瑠璃や歌舞伎で演じる舞台はさぞかしすばらしいんだろうなぁ。
角田さん新境地ですね。
おおげさすぎず、おぼれ過ぎず。
もう、ため息ものですよ、これは。
恋愛もの嫌いな私も、これはやられました。