紙の本
ときに、一日ぐらい寝ない日があってもいいのでは・・・。
2015/12/27 00:58
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投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ニコール・キッドマン主演の映画を観そびれたので、原作本のほうを読んでみることにした。まずこの表紙、すごくいい。
そして本書は2011年のCWA(英国推理作家協会)賞最優秀新人賞などを獲っているようである。 しかし翻訳ミステリをよく知らない人に「CWA賞ってどれくらいすごいの?」と聞かれてもうまく答えられない。 日本にそれと等価の賞がないから、かな(日本推理作家協会賞ってCWAほど賞が細分化されていないよね・・・)。
“わたし”はある日、目覚めるとなにひとつ心当たりのないものに囲まれていることに気づいて悲鳴を上げる。 鏡に映る自分が、自分が思っているよりずっと年上であることにも。 自分は大学生のつもりなのに、夫だと名乗る男が自分は事故に遭い、記憶を失っているのだと説明される。 一日の間は記憶は保持できるが、眠ってしまうとそれまでの記憶はすべてなくなってしまうらしい。 今日は大学生のつもりで目が覚めたが、もっと年が若いつもりで目覚める日もあるらしい。 バスルームの鏡の横に何枚も写真が貼ってあり、夫と名乗る人物と一緒に写っている写真もあるがどれひとつ記憶にない。 愕然とする“わたし”を家に残して夫は仕事に出かけた。 しばらくすると部屋で何かの音が鳴りやまない。 カバンの中に見つけた音の原因は、夫に渡されたのとは違う携帯電話。 おそるおそる電話に出ると、相手は“わたし”のことをよく知っているようで、夫に内緒で一緒に記憶を回復させる治療に取り組んでいる医師であるという。 何故、治療を夫に秘密にしているのか? そもそもこの医師と名乗る男は信用できるのか?
ついこっちは“わたし”をニコール・キッドマンに置き換えて読んでしまったのだが、途中から「あ、無理」となってしまった。 鏡に映る自分、干からびた自分の手などに対する執拗な失望の繰り返し描写に「いや、ニコール・キッドマンはそうじゃないだろ」と思って。 作中の“わたし”は40代半ばから後半という感じっぽいのでニコール・キッドマンで大きく間違いではないはずなのだが・・・。
彼女は毎朝記憶がリセットされるので、その失望も毎日の繰り返しなのでしつこいほどに感じてしまうのだが、時折過去の記憶らしきものが数秒フラッシュバックすることもあるので、同じく<一瞬で年老いてしまった自分の外見に対する失望>を描いていた北村薫の『スキップ』を思い出してしまったのだけれど、あれはほんとに時間をスキップしてしまってその間の体験がないというのが大きく違う。 記憶はなくても経験はある、という差が、彼女の記憶がよみがえりかける過程に本能的なものが強く関わりあってくるのだろうか。
こういうとき、知識とか教養とかまったく役に立たないのかな、と悲しくなる。
彼女の記憶がコマ切れなので、展開は大変スピーディーで比較的あっさり読み終わった。
でも、眠ったら前の日のことを忘れてしまうというのなら、一・二晩ぐらい寝ないでいたらいいのでは・・・と思ってしまうのは睡眠不足がちの日本人だからですかね(それは極端な話でも、別に規則正しく寝なくてもいいのでは)。 そうすれば記憶はもっと長く持続するのでは?
それを言ったらこの話に張り巡らされた伏線が台無しになってしまうのだけれどもさ。
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緻密なプロットで絶妙のバランスで破綻なく構成されてます。男性作家による女性一人称、読ませます。素晴らしいデビュー作。
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さくっと読了。設定的に某映画を思い出しますね…。最初の章でなんとなく結末は分かるのですが、そこまでのたどり着き方は面白く読めました。
映像化したらちょっとみてみたいな、でもDVDとかでいいな、くらいでした。
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最初ちょっと我慢すればどんどん読める。
ストーリーの性質上、繰り返し同じようなフレーズが出てきてくどいけど、それも効果的にかなと。
ありがちと言えばありがちな話。
映画化されるようだが、映画にはとても合ってる作品だと思う。
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毎朝目覚めると前日までの記憶がほとんどない女性。隣には夫という人が眠っている。結末はいくつか予想できるけど、そこに至るプロセスを楽しませる上手な物語。
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設定は凄く面白い。眠るたびに記憶がリセットされるのはどんな気分だろうと思う。眠るごとに今日の私が死ぬことなのだから。結末まで翻訳系の本が苦手な人でも突っ走って読める本だった…が、中盤も過ぎればオチが読めてしまうのが少々残念な感もある。
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中盤でオチが分かるものの最後のすくい上げ方が良い。設定、核から遠いところからだんだんと真相がわかってくる構造が秀逸
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2011年度CWA(英国推理作家協会)最優秀新人賞受賞作。
毎朝目覚めるたびに、前日までの記憶が失われてしまう特殊な障害を持つ女性が、自らの真の記憶を取り戻すまでの苦闘を描く作品。
ちょっと想像しただけでもぞっとするような障害だ。目覚めたときに見知らぬ誰かが隣に寝ているのだから、、、
文庫本サイズで510ページを超す長編。いかんせん長い。
途中でおそらくこれはと思える推理が働くけれど、正解に至るまでが長すぎるな。
ただ、終盤以降のスリリングな展開が、ページをめくるスピードをアップさせてくれるだけの描写力あり。
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ヴィレッジブックスとは気付かずに買ったが、ヴィレッジって女性が主人公の本が多いのかな、こういう精神に異常を抱えてる主人公のものしか読んだことがないよ。
映画化されるらしいけれど、さもありなんという話。
まさかという事実だったけど、ああいう種明かしがされるのって、釈然としない。
朝ごとに完全リセットされる状況って、どれほど怖いか…そっちの方がよほど興味深いかな。
面白かったですけどね。
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事故にあったことで、朝目が覚めると前日までの記憶が失われるという特殊な記憶障害を持ったクリスティーン。
医師の勧めで、献身的な夫に隠れて日記を書くことで自分の過去を取り戻そうとするのだが…。
登場人物紹介が主人公のクリスティーン一人だけ、というところから始まるサスペンス。
クリスティーンの目線で物語が進むので、夫も医師も後に現れる親友もすべてが何やら怪しい。
誰を信じていいのか揺れ動くクリスティーン。
この辺の描写、とても男性が書いているとは思えない出来。
そして物語のたどり着く先が見えず、クリスティーンと一緒に不安になってしまう。
上手いなー。
第三部の早急さが多少気になるし、オチは予想通りだけど十分怖くて楽しめた。
先への希望が見えるラストもよかった。
しかし、これ読むと朝起きるのが怖くなるなぁ。(と言いつつ、布団でゴロゴロw)
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毎朝目覚めるたびにそれまでの記憶がリセットされてしまう中年女性の話。基本的にはミステリー仕立てで、女性の過去、なぜそうなったのか、などが日誌をもとに語られていく。設定は斬新だなと思ったが、ラストにかけて、なぜ記憶障害になったのか、という原因にがっかり。結局自業自得じゃねーか。
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毎朝、目覚めたら自分のことを何一つ覚えていない状況に読んでて打ちのめされました。
何気ないことも当たり前に憶えていることがとても凄いことに思えて自分の思い出、記憶、周りにいるひととの絆を彼女と一緒に思い出してそれがとても愛しかったです。
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事故により、寝ると記憶が消えてしまう、1日分の記憶しか保持できない主人公が、治癒のために日誌を書き留め記憶を取り戻し始める。しかし二人暮らしの夫を始め、医者や友人を疑ったり、嘘に気づいたり、、、と最後は以外でもない想定内のエンディングを迎えるサスペンス。 主人公の日々人格や思い方の違いなど、なかなかに生々しく面白い。
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おそらくサスペンスものだと思うのですが、人間の恐ろしさを感じる作品です。深夜に読み進めた日には、作品にのめり込んでいるにも関わらず、何度も後ろを振り返りました。
主人公である「わたし」は特殊な記憶障害-朝、知らない部屋で知らない男性が寝ているベッドから起き上がると、自分が年老いていることに気づき発狂することになる、つまり毎朝目覚める度に前日までの記憶が失われている障害-を負っています。
長年連れ添った最愛の男性は献身的な愛で「わたし」を包み込みますが、主人公は毎日彼が何者か分からない状態になってしまいます。
ある日、若い医師から電話がかかってきて、最愛の男性に内緒で医師の診察-毎日の出来事を綴る-を受けていると、「わたし」は医師に告げられます。医師の勧めるままに、「わたし」は自分で書いた日記を読み始めることにしました。すると、忘れていた過去の記憶が段々と蘇るのと同時に、毎日リセットしている日々の生活に違和感を感じるようになっていき、何が真実なのか、何が正しいのかが分からなくなっていくという作品です。
一つの綻びにより最愛の男性が信じられなくなる様は、読んでいて背筋が凍ります。「わたし」の視点で読み進めると、必死に記憶を呼び戻そうとしているのにも関わらず後退していったり、医師の言葉が信じられなくなったりと、何も信じられなくなる状態に置かれてしまうのですが、それがとても怖いです。
今までにも記憶障害をテーマにした作品はあったと思いますが、この作品は「もし、自分の記憶が一日限りしか持たないと分かった時に、最愛の人だと思っている人を信じ切ることが出来るか」という点について、考えさせられます。
本書がデビュー作ですが、同著者の次作品も楽しみです。
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交通事故にあい、20歳ぐらいからの記憶を全て無くしてしまう47歳主人公の女性の話。一晩眠るとまた全てリセットされてしまうので、毎朝どこにいるのか、結婚相手のこと等わからず混乱してしまう。そこに脳や記憶機能を専門とする医師があらわれ、記憶障害の手助けをしてくれることになり、日々前日の記憶をたどれるように日記をつけることになる。それによって色々なことが判明していく、、となるのだが、このような構成と内容の作品は初めて読む。自分自身がとり憑かれたようにのめりこんでしまった。真相もよかったし、結末もよかった。一気読み。