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待っていた文庫化。
衝撃的なタイトルの本作「死ねばいいのに」
ケンヤの軽い口調が、物語のアクセントになっていて決して楽しい話ではないのに読むのが止まらなかった。
人は愚痴愚痴と文句をいう。愚痴を言う。あっさりとタイトルの言葉を言うケンヤが怖くもあった。
まるで自分に言われてるみたいでどきりとした。
ラストも驚かされた。
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ミステリーと思わず読んだほうがいい。犯人誰?とか思わず、読み進むのが吉。
セリフのテンポがいいのでスラスラ読める。
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強烈なインパクトを放つタイトルから、もっと毒のある内容をイメージしていたが、読んでみると意外なほどライト。しかし、ある種の「憑き物落とし」ではあり、短いながら結構も美しいので、京極作品の入門編としては最適かも。妖怪なし、蘊蓄なし、現代版の「憑き物落とし」。
ちなみに「死ねばいいのに」は、「生きるってそういうことじゃねーだろ」だったり、「ちゃんと生きろよ」だったり…いろいろ。
それやこれやとは別に、もう一つ。
こういう構成の小説(または脚本)を書いてみたい、と十数年前から考えていたのだが…もはや無理だな(^_^;) これを超えるものが書けるとは到底思えない。
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何だか説教くさい内容が続くし犯人も想像ついちゃうしで、途中で読む気なくしかけたけど、
最後で裏切られました。
読み終えたあとの脱力感は結構堪えます。
全体として好き嫌いが分かれる作品のような気がしますが、読みはじめた方はぜひ最後まで。
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うーん。
タイトルのインパクトに期待しすぎてしまったかな。
「死ねばいいのに」は「あんな奴死んでしまえばいいのに!」ではなく、「そんなんだったら無理して生きてないで死んだらどうだい?」的ニュアンス。
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京極作品にしては量的には少な目だし、蘊蓄とかがないから比較的読みやすいかもしれない今作
しかし内容は心に突き刺さるような話でした
登場人物たちは皆自己中心的で、ハタから見るとうわぁというような部分が多い人たちなのですが、少なからず自分と似たようなところもあるわけで…
ケンヤの言葉が自分に言われてるように思える部分もあって辛いけど、それでもやっぱり皆似たようなもんで…やっぱりそうこうしながらも生きていくんだろうなって
アサミの気持ちは最後までよくわからなかったけど、最初掴み所がない感じだったケンヤは最後にすごく近く感じました
読了後はいろんな想いが錯綜してなんとも言い表せない気持ちです
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単行本で発売された時、タイトルのインパクトすごいなと思ったのを覚えてる。でもその時は買おうとまでは思わず、結局今回文庫化されていたのでなんとなく「懐かしいな」という感覚で手に取った。読んでもいないのに(笑)
それが読み始めたら、止まらない( ゚д゚)自分が問い詰められてるような、後ろめたいような不思議な気持ちが襲ってくる。
今の若者が使うような軽い口調で、ズバッと心に刺さるような鋭いことを言ってくるケンヤ。彼から発せられる言葉に最後まで目が離せなかった。
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さすが京極夏彦、文章が凄くて引き込まれる。どちらかというと好き嫌いの別れる作品で、ミステリィとは言い難いかもしれんけど、俺は嫌いじゃない。
登場人物の一人一人の言い訳が、自分に当てはまり、主人公の言葉が胸に刺さる。
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京極夏彦作品の割りには読みやすく、すんなりと読了出来た。
これがミステリーかと問われれば、難しいところだが、著者の訴える
べきことは十分伝わってくる作品であった。
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『あのな、あんたの話どんだけ聞いたって、アサミのことなんか何にも判らねぇよ。毎日毎日顔合わせてて、何度も寝ててよ、それなのにあんた、アサミのこと何も知らねーんじゃねえのか。本気で愛してたとか気味悪いことばっかほざくけどさ、それって全部あんたのことじゃん ー アサミが何を考えてたのか、どんな想いで過ごしてたのか、何をしたかったのか、あんたの話からはまるで判らんねぇ。何も伝わらねーよ。』
『ならさ、辞めちゃえばいいじゃん。そんなクソみたいな会社。別れちゃえばいいじゃん。そんなクソみたいな嫁。何でそうしない訳? 面倒臭え訳?』
『だから、世の中というのはーそう簡単なものじゃないんだよ。難しいんだよ。色色あるんだよ。そんな、正論だからといって罷り通ると思ったら大間違いなんだ』
『俺、別に正論とか言ってねぇよ。あんたの方が偉くて賢いんだから、あんたの言うのが正論なんじゃねえの?』
『お、お前みたいな人間に解るかよ。私の苦労が。嫌でも辞められないんだよ。辛くても別れられないんだよ。辛くて辛くてやってられないけど、もう限界だけど、それでも止められないんだ馬鹿野郎』
『何で?』
『だから、お前なんかに解らないって言ってるだろうが』
『ならさ ー 死ねばいいのに。』
『それでもどうしようもねぇことなんかねえよ。世の中にさ、ホンキでどうもならねーことなんかねーもんよ。会社辞めねぇのは、あんたが辞めたくねぇからだし、離婚しねぇのはしたくねぇからだよ。』
『あんたの欲求の捌け口になったってだけじゃねえの。本気だとか愛してるとか言って自分誤魔化してんじゃねーよ。どの口が言ってんだよ。あんた、自分の思い通りにならねぇ欲求不満をアサミの股ぐらに注いでただけじゃねえか。カッコつけてんじゃねえよ。』
『いや、別に嘘は吐いてないすけど』
『疾しいとこでもあるの』
『疾しくない人なんて居るんすか』
『あんたさ、慥かに、世の中馬鹿ばっかりと俺も思うさ。でも馬鹿は馬鹿なりに苦労してるし、馬鹿だから楽だなんてことねーし。辛えのは一緒だって。で、あんたは馬鹿じゃねーのかもしんない。だからってその馬鹿見下げてさ、見下げるのは構わねーけど、そうやって線引いてさ、それって好きで身動き取れなくしてるだけじゃん。全部あんたが好きでしてることだろうが。好きに生きてて文句言うなよ。』
『邪魔だからって、殺しちゃう訳にもいかないでしょ。不思議よね。産む前に殺すのは殺人じゃないのに、産んじゃったら殺人なのよ』
『男運が悪いのよ ー 三回も結婚したけど、みんな駄目だったんだもの。』
『運じゃねーじゃん ー あんたが好きでくっついて、あんたが嫌ンなって別れてるだけじゃん。選んだの自分じゃん。捨てたんだか捨てられたんだか知らねーけど、別れたのもあんたじゃん。全部あんたの意思じゃねえの?』
『大変だ大変だってーそりゃそうだろうけど、そのくらいの大変な奴なんてゴロゴロ居るっておばさん。みんな大変なんだよ。あんたが特別なんてことねーからさ ー 考えてみれば親が子供育てるのって当たり前じ���ん。育てるのに苦労すんのも当たり前じゃん ー 当たり前のことしてて大変だ辛い辛い言うんじゃねーよ。あんたのしたことは特別なことじゃねえって。』
『不幸は全部他人の所為かよ。あんたの不幸は、全部何もかも、丸ごと ー あんたの所為だよ』
『産みたくなかったのよッ』
『なら作るんじゃねーよ』
『妊娠ちゃったのよッ』
『デキちゃったんじゃなくて作ったんだよ。あんたと男が、何も考えねーで腰振って作ったんじゃねえかよ。そこんとこ忘れてんのかよ。ホンット馬鹿じゃねえの?』
『男運が悪いとか駄目男の彼氏自慢するような女居るけどさ、そういう女って、結局自身過剰で傲慢なのに、それをひた隠しにしてるような、低能ナルシストばっかだぜ。ダメ男自慢ってのはさ、結局モテ自慢なんだよな。余裕こいてるんだよ。余裕こいた馬鹿女が自分の馬鹿棚に上げて男馬鹿にして笑ってんだよ。ナメてるよな。』
『我慢した我慢したって、我慢ってのは最後までしなくちゃ無意味なんじゃね? 途中でやめるのは我慢って言わねーから。だから、あんた、我慢も苦労もしてねーよ。』
『どうにも出来ねーどうにも出来ねーって。そんなことそうある訳ねーって。必ずどうにかなるのに、どうにもしないだけだって ー 厭なら辞めりゃいいじゃん。辞めたくねーなら変えりゃいいじゃん。変わらねーなら妥協しろよ。妥協したくねーなら戦えよ。何だって出来るじゃん。』
『みんなぐずぐず不平ばっか言って、自分が世界一不幸だみてえなことばっか言って、それでもみんな死ぬとは言わねーの。そんな我慢出来ねえ程不幸なら、死ねばいいじゃんて思うって』
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他の誰でもなく、自分が暴かれていく感覚に頁を捲る手が止まらない。
彼女だけは過ぎるほど素直に生きていて「菩薩」のようではあるけれど
彼女だけが与える恐怖がある
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衝撃のタイトル。文庫化ということで即購入。
確か京極夏彦さん初の電子書籍というアオリにこのタイトルで、出た時はたまげたもんです。
最後の最後、健也の告白というか語りでズドンと衝撃を受けた幕引きでした。
健也との会話で、内面がボロボロと露見していく。人の嫌な部分を見る思い。狂言回しになんだか騙されたような気になりながらも、巻き込まれ引き込まれ、語りに落ちてしまう。最後の最後は憑物落としになっているのかな。
死んでもいいや、現状で死にたい、と思えるくらい幸せな状況って、何なんでしょうね。私も現状に大いなる不満はないけどねえ、亜佐美のようにはなかなかなか。
にしても、なんだか珍しく生きることへのエールというか、説教というか、なんだか読者たちの人生へのメッセージがあるように感じましたね。タイトルほど内容は暗く重たくはなかったですし。
仕事してだいぶ経ちますが、失敗して怒られても、「なーにタマ(命)までは取られないよ」と思えれば、何とかなるもんですよね。死ぬほどでもないと思えれば幸せなもんです。
ま、このように読書を満喫できるってこと自体、幸せなのでしょう、わが人生。
表紙のオブジェ、菩薩なのね??特に関連も解説もなかったけど・・・救済のお話だったと思えばさもあらん、か。菩薩らしからぬ造形にお見受けしましたがね。
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自分自身が、周りの目、世間体などの他人基準に生きすぎていると感じた。
もっと自分基準で生きていいのでは、と思うようになった。
確かに『死ねばいいのに』は10代の頃、とても軽い言葉だった。解説を読み、どの年代でもそうだったのかなと思った。
ケンヤの言葉使いはちょっと年齢的に不自然だと感じるところがあった。
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そこそこ面白かったが、5人目、6人目はちょっと強引な感じがした。前半はケンヤの鋭いツッコミが痛快だったが、自分のことをバカだのどうしようもない人間だの言う割にイマドキの子(といっても24歳らしいが)が使いそうにない難しい言葉を使ったり、相手を畳みかけるような喋りはどうなんだろう?3人目あたりで「もしかしてケンヤは見習い天使とか死神的なオチ?」とか思ったりしたのだが人間でしたね。まぁ、動機もなく、「死にたい」と言われて殺してしまうところなんかは、ある意味、天使的かもだけど。
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「死ねばいいのに」はタイトルにもインパクトがあったが、内容もこれまでに読んだことのない作風で新鮮だった。ケンヤが無礼な態度で様々な人に阿佐美の話を聞いて回っている姿にも目が止まるが、むしろケンヤがなぜその行動をとったのかを知った時、京極夏彦さんの物語構成力の高さに驚かされました。会話が主体の文章なので、テンポよく進んでいける点も爽快だった。