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目に見えなくて、その人にしか分からない障害の辛いことの一つは、周りに理解されないことだとではないでしょうか。
言葉で伝えてもうまく伝わらず、歯がゆさ、諦めや悲しみが後に残る。
でもきっとそれは重く受け止める事でも、傷つくことでもなく、大したことでないと思いたいです。
生きていてよかったと思えることに出会うことを、大切に思うべきなのだと、この本を読んで思いました。
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キーワードが「あたたかい」として、本当にあたたかいお話だった。
障害を抱える主人公、当然本人は思い悩み、辛い目にもあっている。友人も様々な環境の中にあってやはり思い悩み、辛い思いを抱えている。
そこまでは結構アリアリだと思うのだけど、その、中学生たる主人公たちの保護者たちも、事情のある主人公を抱え、自分自身のどうにもできないいっぱいいっぱいな状況でもがいて、心を病んだり新天地・あるいは突破口らしきものを見つけ進んでいこうとしている。
主人公が母親を「あなた」と呼んだところで、まるで「パリーン」という音が聞こえたような気がしました。
ああ、この子は巣立ったな、と言うか。
未成年の保護されるべき主人公たちとその親たち、くるっとまとめて生き生きとして、そして読み手たる私たちに何かを問いかけてきている、問題を突き付けてきている。
そんな風に感じました。
えーと、いやらしいことを書くと。
『ブランチ』で紹介されたのに動きが鈍い。いや、紹介されたからってんじゃなくて、本当にいいから読んでもらいたい。きっと、何かはっとするから。
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久々良質な小説にふれた。
アクがなく、すんなりイイタイコトが伝わって来ると思う。
短編でそれぞれのヒトにフォーカスする構成は嫌いじゃない。
題材の重たさがあるし、好き嫌いは分かれる気もするけれど、
読み終えたあとは一種の清涼感がある。
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ディスレクシアのこと、いろんな年代に知ってもらうにはいいお話だなー
途中までとてもテンポがよくてよかった!
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主人公はディスクレシア(LD)というハンディキャップを持った中学生の男の子翔と中2の彼を取り巻く人々の連作短編集。中学生であるが故の悩み、LDに対する周囲の理解を軸に、人生を歩き始めた子どもたちと、人生の悩みを抱えた大人たちの思いが交錯する。翔の「生」への衝動、中学生の苦悩は少年から大人への通過儀礼なのか、そこには何かキラキラとした美しいものを感じる。
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連作短編6編
ディスレクシアの中学2年生翔と彼を取り巻く人々からの視点で揺れ動く想いを上手く繋げて、翔の何かを守りたいと願う強い気持ちに結実する。本当は結構大変で辛いことが書かれているのに、どこか優しくほっこりさせられた物語だ。
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ディスレクシア(読み書き困難)という障がいを持つ翔(かける)と周りの人たちを描いた連作短編集。
母親の方針で教師にしか障がいを知らせていない翔の言動は、いつもクラスメイトの笑いを誘う。
前の席の山上くんが必ず突っ込みを入れ、さらに笑いが巻き起こる。
いじめられているのかとヒヤヒヤしながら読むと、どうやら違う。
なんだかおもしろい人だなぁと、ちょっとした愛されキャラなのだ。
山上くんに至っては「おもしろいやつだなぁ。おれと漫才してほしいな」と思っているのだ。
翔自身は生き難さを感じることも多々あるのだけど、彼のピュアさは、同じように誰にも打ち明けられない苦しさを抱えている山上くんとまほりちゃんにとって安らぎとなる。
帯の
「人生のはじまりの時間を生きる少年少女たちと、
人生のとまどいの時間を生きる大人たち。」
という言葉に惹かれて手にしたのたけど、まさしく!といった物語だった。
いやとまどっているのは大人たちだけではない。
子どもたちだって、とまどっているし迷っている。
時間は進んでも、もやもやした苦しい気持ちも辛い現実も、ちっとも減りはしない。
解決しそうでしなかったり、ひとつ落ち着いたかと思ったら新しい問題が起こったり。
でも、自分のことは自分で決めると宣言した翔はもちろん、お調子者に見える山上くんも健気なまほりちゃんも、子どもたちの時間はまだはじまったばかり。
手に触れる温かさ、腕の中の柔らかさ。失くしたくない、離れたくない大事な人。
たった一つの自分にだけ見える星を見つけた翔は、彼自身が周りを照らす温かい光を放つ星になっている。
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識字障害をもつ中2の翔。
本人目線と、親目線、友達目線からの話。
優しい翔と、何かしらの苦しみを抱えた人たちの温かい関係に和む。
障害は確かに障害になるかもだけど、個性として発揮できれば、、
まぁ我が子が識字障害を持ってたら、ショック←この時点で受け入れることができてない、てなことになるんだろうけど、本の中でも母親は苦しんでいる。そのすがたはリアルで、だからこそ心に残る。よい本だと思う。
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☆ 3.5
少々脳に障害がある少年翔が主人公。
翔は、幸運にも?虐められる話ではない。
親にも、周囲にも翔の苦悩がわかってもらえていない。
が、クラスメートの一人に打ち明けることができた。
人は、周囲に一人でもわかってくれる人がいたら救われるのだ。
人間、十人十色。
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読み書きが困難な障害を持つ中学生の翔と
彼を取り巻く人々にスポットをあてた 連作短編集。
彼が周りの人にとっての救いとなってる展開で
さわやかな読後感でした。
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読み書きが困難な少年とその周りにいる家族、友達の連作短編集。少年の障害が時に「持ち味」として描かれている点が重たくなりがちなテーマを軽くし身近に感じさせていて良かった。障害でなくても人の悩みは色々あるのだと教えてくれる一冊。学生(特に少年と同じ中学生)にすすめたい作品。
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途中までは引き込まれて読んだのだが、ラストが個人的にとても残念だった。唐突な感じで、後味が良くない。
もう読み返さないだろうなあ。
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ディスレクシアという障がいのことを初めて知った。守るべき人を見つけたときの人間の強さと温かさは何よりも強い。
生まれてよかったって思えることが一番幸せ。
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講談よりも小説家の方が向いているんじゃないか!~ぼく夏見翔は普段母と暮らしている中学生だが,人とちょっと違うのは字を読むのが苦手なこと。母がいうように,トム・クルーズのような才能があるとは思えない。字を読み違えて,笑われるが,受け狙いと思っている同級生もいるくらいだ。特に山上君は,組んで漫才をやろうといってくる。運動会では走るのは速いからリレーに選ばれたけど,前を走った中島まほりさんがバトンを拾い間違えてビリになり挽回はできなかった。借り物競走にも担ぎ出されて「赤いぼうし」というのが理解できず,蛙の一種かと中島さんに聞きに行ったら,母が被っているような帽子のことだった。和代は学者の父と家事に疲れた母の間に生まれ,新聞記者になったが,同僚と結婚して,翔に障がいが見つかって,主婦となった。悩みは父が死んで気が晴れた母にも相談できず,カイロに単身赴任している夫は役に立たない。級友をずっと見下してきたから打ち明けられないし。帰り道で30年前に盗まれた自転車を発見して,被害を訴えに交番に出向いたが,頭のおかしな女だと思われている。口に出したいことをメモ用紙に永遠と書き出すが,迎えに来たのは息子の翔。その背に負ぶわれて帰宅した。山上には生まれる前に死んだ姉がいたらしく,骨壺は今も家に有り,線香は毎日上げ,父が火葬場勤務だから,嫌なことも言われる。天然ぼけの夏見を誘って何とか3年生を送る会で漫才ができたが,夏見から識字障がいだと教えられ,自分も夏見に悩みを打ち明けられた。中島まほりは居酒屋に勤める母とアパートで暮らしいてるが,9歳の弟と父は北海道にいるのだ。弟の理生は聾者で,母は弟と心中を図って失敗し,父と弟は故郷で暮らしているのだ。春休み,父からチケットを送られ北海道に来たが,もう東京に帰りたくないと我が儘をいったらきっと父は母を一人にしておけないから東京に帰れというに違いない。そうしたら,北海道で自殺するんだ。大事な話があると父に言われ,北海道に残れと意外な言葉を聞いたもほりは東京の母には自分が必要なんだと思い直して帰る。夏見尚人はエジプトから帰り山登りを担当しているがさせられたようなもの。妻との関係もうまく行かず,父親らしいことをしようとしても失敗ばかり。富士山の見える小さな山に日帰りハイキングを計画するが肝心の翔は学校行事だ。仕方なく夫婦二人で出掛けると下見できなった最後の山では力を合わせざるをえなくなり,翔のために仲の良い夫婦を演じることが了解された。翔の高校進学希望はなかなか決まらない。父はロンドン赴任が決まり,母は翔も連れて行こうとし,逆らう理由もない。山上は母が妊娠して,気持ち悪いと言い始めるが,僕がちょっと喋るとその考えもすっきり変わるようだ。ある日帰ろうとすると刃物を持った不審者がいて集団下校となった。捕まったのは女で,女子の噂では中島まほりの母だという。小声で喋るまほりは,母の元に父から東京に帰って一緒に暮らしたいという手紙が来て,混乱したのだと言う。その晩,まほりをアパートに訪ねた翔は,まほりをハグし体温を確認し,この人を守るためにもロンドンに行かず,東京に残るんだと決心した~うまくできたお話でした。課題図書にしても良いくらいのものだよね。来年の中学生向けの課題図書になるかも。よくできたハッピーエンドで,障がいを持っている人にしたら,ちょっとハッピーすぎると文句言われるかも知れないけど,明るくない今の世に明るい展望を持つのは必要だよね
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泣けた。
■ ■ ■ ■ ■
タイトルだとか表紙だとかで「お子様向け」とスル―しようか思ったんだけど、なんとなく気になって借りた本。
どっこい、しっかり大人の胸にも刺さるお話。
と言うか、この刺さり方は子供では味わえないと思うよ。
もちろん若いかたが読んでも良い話ではあるだろうけど。
だけど例えばさ、親が主体の章を、もし若い頃の私が読んだら
「…言い訳じゃん」
で終わったかも知れんのね。
それがさ、なんだか共感しちゃうんだよ、親のほうにも。
で、また一層刺さるの。
最後の最後のシーンも、大人だからこそ泣けたんじゃないかなぁ。
あまりにもピュアで、頼りなさげなのに、寄り添える嬉しさが愛しくて切なくて。
ああ
もう自分はそこには戻れんのだなぁ。
しみじみ。