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『奇想コレクション』の1冊として刊行されていたものの文庫化。
解説で述べられている通り、とてもユニークな作風で、似ている作家がちょっと思いつかない。
この本の中では『物は証言できない』『グーバーども』『パシャルーニー大尉』が面白かった。
編者の殊能将之が詳細な解説を書いていて、そちらを読むだけでも面白い。特に巻末の『殊能将之自作インタビュー』はデイヴィッドスンの魅力を詳細に伝えている。
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「ゴーレム」★★★★
「物は証言できない」★★★★
「さあ、みんなで眠ろう」★★★★
「さもなくば海は牡蠣でいっぱいに」★★★★
「ラホール駐屯地での出来事」★★★
「クィーン・エステル、おうちはどこさ?」★★★
「尾をつながれた王族」★★★
「サシェヴラル」★★★
「眺めのいい静かな部屋」★★★★
「グーバーども」★★★
「パシャルーニー大尉」★★★
「そして赤い薔薇一輪を忘れずに」★★★
「ナポリ」★★★
「すべての根っこに宿る力」★★★
「ナイルの水源」★★
「どんがらがん」★
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1950〜60年代を中心に、SFからミステリ、ファンタジーまで幅広く切れの良い短編を排出した、典型的な「奇想の作家」。
フレドリック・ブラウンやロバート・シェクリイに通ずる、洒脱で軽妙な、肩の凝らない作品群です。その中でもデイヴィッドスン作品の特徴と言えるのは、社会の片隅にはじき出されて細々と生きる弱者に対する暖かい視線。救いのない話も結構多いのですが、それでも心の中にほんのりと暖かさが残るような、包み込む筆致を感じます。
・・・とハートフルに決めたかったのに、最後に収録されている表題作の破壊力でイメージ全部持ってかれましたよ、えぇヽ( ´ー`)ノ
何このバカ作品(※鴨注:褒め言葉ヽ( ´ー`)ノ)。
手練の真打ちが滑稽噺を前座に掛けたような、贅沢な才能の無駄遣い(笑)他にも笑える作品がいくつかあり、あの変な邦題で有名な作品も正にそうですね。「洗練されたバカ話」といえば良いのか(再び鴨注:あくまでも褒め言葉)。しんみりする話からバカ話まで、軽いタッチで気楽に読むのにおススメですね。
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短編の中でも掌編がおもしろいなと思った。
「ゴーレム」:ゴーレムがいきなり突然あらわれる。ゴーレムは自らを力のある存在だとアピールしたいが、老夫婦はそんなことはお構い無く、分達のおしゃべりに夢中で、テキトーにゴーレムを扱ってしまうのがシュールでおもしろい。
「物は証言できない」:黒人奴隷をモノ扱いして金儲けするジジイが、モノ扱いしてきた奴隷たち裁判の証人として扱えないが故に破滅していくメシウマ系の話。短いけどパンチが効いていて好きな話。
「さもなくば牡蠣でいっぱいの海」:SFか、幻想小説か、ただの妄想劇か。どれだとしても以外なストーリー展開で楽しめる。