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紙の本
「世界の中の日本」を地球規模で考えさせてくれた
2020/10/25 17:24
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投稿者:大阪の北国ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
江上波夫先生はその論文「幻人と麻酔薬(昭和11年)」「華佗と幻人(昭和39年)」の中で、麻はカスピ海西南岸の原産で 太古より自生や栽培植物として活用してきたこと、スキタイ人などもこれの幻覚作用に気づき室内で燻蒸したり、患部切開時に麻酔用として活用してきたこと、そしてそれは中央アジアから中国に伝えられたことを述べておられる。薬剤としての麻の利用についてである。松本清張氏の「眩人」や「火の路」にもその主題が展開されている。
本書は阿波徳島から安房房総へ忌部氏(斎部氏)が麻やカジノキの栽培地を求めて渡来した話からスタートする。まず繊維としての麻の利用である。
そして忌部氏の祖神である天日鷲神、天太玉命、天富命などの神話における役割紹介を通して中央アジア・ペルシアなどの呪術 シャーマニズムや鳥装との関係にも接近していく。地元の鳥越神社の祭礼まで登場し、その身近な話題にわれわれの身の回りにまで深く浸透したシャーマン文化の痕跡を感じた。先般このレビュー欄の「ファインマンさん最後の冒険」でご紹介した南シベリアのトゥーバ共和国における鳥装シャーマニズムとも繋がる。
本書はこの大麻の繊維利用、幻覚性利用から忌部氏の歴史を経て縄文・弥生時代の日本の遺跡、スキタイ・ユーラシアでの大麻利用まで地球規模の話題が展開するスケールの大きい著作である。入門書として大変面白く、本書を入り口として太古の時代から日本に到来した世界文明について思いを馳せてみたい。シルクロードの時代、あるいはもっと早い時代に日本に辿りつき奈良大和に保存された世界文明は、実は正倉院文物を遙かに超えた習俗や人種であったかも知れないと考え始めている。
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