紙の本
夢を食う獏
2015/12/13 21:30
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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ちょっとしたすれ違いから生じる誤解の物語。土着性もあって良い。難を言えば「夢」の部分か。少々、整理不足の感じがした。夢を食うのが獏だけに、ここをすっきりまとめるべきではなかったか。
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現実と悪夢が交差する道尾ワールド。
「ゆうべの夢は獏にあげます」
これからは獏に頼ることなく、俊也くんが心の支えになってくれるといいなと切に想う。
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本作は暗い作者の作風であるが、いつもの様な健気な子供たちは登場しない。冒頭の主人公の暗さと鬱屈、その悪夢など話が見えない部分を読み進めるのは辛いが話が動き出してからは一気に読み進めることができる。雰囲気は時代を少し進めた横溝の様な話ではあるが、複数存する犯人たちの動機が少しの誤解から生まれ、それぞれが誤解のまま絡み合って成立している物語の在り方は秀逸である。最後は主人公の再生に繋がる息子との関係の終わり方も誤解が生んだ不幸な話の中では唯一の救いであり、この物語の結末にふさわしい終わり方である。
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作品と対峙するかのように沸々と出てくるわたしの中の陰鬱で澱んだもの。心の闇が深いほど、それが穢ければ穢いほど、悲しいかな、なんだかほっとする。
過程とか結末とか、そんなことは問題ではない。
久しぶりの道尾くんらしい作品で、うれしい。
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真実は悪夢の中にある――。
幾重にも張り巡らされた仕掛け、やがて待ち受ける幻惑の極致。
8年ぶりの書下ろし長篇は、最強にして最驚の道尾ミステリー!
あの女が、私の目の前で死んだ。
かつて父親が犯した殺人に関わり、行方不明だった女が、今になってなぜ……
真相を求めて信州の寒村を訪ねた私を次々に襲う異様な出来事。
はたして、誰が誰を殺したのか?
薬物、写真、昆虫、地下水路など多彩な道具立てを駆使したトリックで驚愕の世界に誘う、待望の超本格ミステリー!
第22作。第十四長編。
形式:一人称小説(語り手:大槇辰男)
ミステリ :☆☆☆☆
ストーリー :☆☆☆☆☆
人物 :☆☆☆☆☆
文章 :☆☆☆
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うーん、暗い。くら~い話。
自分の過去の記憶に悩まされ苦しむ主人公。
所々主人公の見る悪夢が描かれるのだが…これいるかなあ。暗いドロドロした雰囲気をつくるためと思うが、何度も描かれる割にはあまり主人公の心情が見えてこない。
ひと癖ある人物を登場させたり、様々なエピソードをからめたりと、あれこれ凝らしているのがかえって深みがないような。エラそうに言える立場ではないのだけど。
つまらなくはないけど、なんだかな。
暗い話ばかりでなく、『カラスの親指』みたいな痛快な作品、また書いてくれないかなー。
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現在と過去の記憶、それと度々見る悪夢が入り乱れて話が進行。
伏線の回収がされる謎解き部分まではイマイチ話が分かりづらくて読みにくかったです。
でも、謎解きが始まると今まで読んできたものがキレイに繋がって爽快でしたよ。
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なんていえばいいのだろう、このやるせなさを。
誰かを強く思う、ということは、ほかの誰かを切り捨てるということなのか。
誰かを大切に守り抜くためには、ほかの誰かを傷つけることも厭わない、それが人間というものの性なのか。
読んでいるあいだ、ずっと土のにおいがしていた、それも湿った土のにおいが。
都会の乾いた世界にはない、重くて湿度の高い「ヒトの思い」が土のにおいを運んでくるのだろうか。
初期のころの道尾さんの作品を思い出させる物語で、好き嫌いが分かれるかもしれないけれど、私はこの重苦しくて不思議でじわじわと心にのしかかってくる世界にたっぷりと浸らせていただきました。
愛は善悪という基準でははかることができないものなのだ、とつくづく思った。
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悪夢に隠された32年前の真実。虚ろな心と移ろうことなき心が導く結末…。この暗さ!この救われ方‼︎やっぱりこの作家さんはこっちの路線だと思う。最近のキラキラしたのも悪くないけど初期の作品の方が好きって人には、かなりオススメだと思う。
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不幸の連鎖。謎が知りたくてどんどん読み進められる。不幸が多いせいか、読後感が悪い。共感しにくい人が多く、不幸な内容だけど涙は誘われなかった。
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大好きな道尾さんの新刊。それぞれの思い違いやすれ違いの結果だったり、やけに大人びた子供の存在だったり、道尾さんらしい作品だった。だけどこれまでの作品に比べて衝撃はかなり減ってるかな。最強にして最驚のミステリという帯文句には首を捻るかも
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自分ではどうしようもないことで不遇な状況に置かれる人、というのが、この著者の作品にはよく出てくる気がする。
特に子どもは、圧倒的にそういう境遇が多い。そこに著者の価値観を感じることもある。
本作も、どうしようもない環境が生み出した悲劇の物語。
何かことが起きた時に、隠したり、なかったことにしたり、ウヤムヤにしてしまう。そうやって、目を背けたこと、隠したことは必ず後になって問題を起こす。
逃げないで、すべてを明白にすることが結局は幸福につながると理屈ではわかっていても、どうしても人は姑息な手段に走ってしまう。だから悲劇が絶えない。
この作品の主人公も、「逃げる男」である。いろんなことを隠し、ごまかし、目を背けて生きてきた。
最後の最後で、わずかな救いが訪れるけれども、読んでいる間じゅうずっと、重苦しい気持ちになった。
「言わないこと」「隠していること」が生み出すすれ違いは、大きな不幸の元になる。
まあ、それが人間の本質なのかもしれないが。
読み終わってから「あ、これ、ミステリーだったんだ」と初めて気づいた。
人の心の謎、という意味では確かにミステリーだったが、トリックの存在はよくわからなかった。
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多くの誤解が絡まって悲劇が生まれてしまうストーリーはさすがですね!
でも道尾先生ならではの秀逸な叙述トリックが今回は発揮されていなかったな…と。
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地方の田舎町で起きた過去の事件の真相とは。いくつかのすれ違いが重なって起きる悲劇。登場人物の心理描写や伏線が絶妙。久しぶりの長編ミステリーは秀逸な人間ドラマでもあった。最後に救いがあるのも著者らしい。中盤からは一気読み、面白かった。映像化は確実でしょ。
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道尾秀介の真骨頂的作品。幼少期の事件、親の不貞、秘密を抱えた女性、人里離れた村、悪夢描写、二転三転するストーリー、最後に少し救いがある所等いかにも道尾作品的な要素が満載。最後は次々に真実が明かされ、一気読みしてしまいました。真実が明かされる過程はこれまでの作品と似ているため、意外性は今までの作品よりは薄かったのですが、作品全体の暗い雰囲気、主人公の心理描写、伏線の貼り方が秀逸。