紙の本
両性が共感できるやさしさ
2015/07/19 07:20
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
伊藤たかみの小説の中には男と女の間で揺れる登場人物がよくえがかれる。「たかみ」という名前も無性的な響きがする。表題作「ゆずこの形見」にもうわきものの妻、残されて戸惑う夫が登場するが、男女の違いよりも、人間そのものを見つめている筆者の思いが伝わってきた。
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表題作であるゆずこの形見と、その中に出てくる本である夢見入門の二編が収録されています。
ゆずこの形見は好きでした。すごいあり得そうだし、でもあり得なそうなさじ加減がちょうどよかった。
妻が出張先の北海道のホテルで亡くなったが、それは実際には出張ではなく、男との婚外恋愛の旅だった。亡くなる前に妻から北海道から毛蟹が届く。夫であり語り手でもある太一はそれを冷凍庫にいれてから手をつけずに一周忌を終えた。毛蟹だけではない、太一の家の冷凍庫には亡き妻のものがたくさんある、常備菜やらなんやらが。それらに手を付けることになる。末期ガンの同僚から夢見入門という本を手にし、実践を試みる中やがて太一は間男へ冷凍庫にあるゆずこの形見を使った報復を決行する。
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「ゆずこの形見」伊藤たかみ◆不倫相手との北海道旅行中に亡くなった妻。太一に遺されたのは彼女から宅配便で送られてきたカニ。間男よ、責任持ってこのカニを食え!幼い息子を抱えた夫が妻の死を受け入れようとする話…なのですがどこかユーモラス。そして妻への愛情の深さを感じます。熱さではなく。 伊藤たかみさんの文章は易しいのですらすらと読めてしまうのですが、たまにさらっと良いことを書かれるので「え、ちょっ、今良いこと言ったよね?」って思いながら戻って気に入った文を5回ぐらい読み直すことがある。
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妻・ゆずこが出張先の北海道で死んだ。
男と一緒だったと分かる。
ゆずこの本心が知りたくて問い掛ける。
自分と息子が先に進む為にも、ゆずこの思い出を完全に払拭した方が良い。
死をどのように受け入れる?父と息子の何気ない会話が良かった。
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表題作は不気味だがそれがクセになる。少し変わった特色を持つ作品のような気もする。全てを読み終えた瞬間、作品のタイトルの持つ意味というものを感じる事ができた。不倫にしろ、浮気にしろ家庭を持ったら絶対にしてはいけない。恋人が居るのに浮気をするというのもダメだが。
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中編2本。共通項は原さんと『夢見入門』という幽体離脱を習得するための本。別れに対する気持ちの浄化がテーマなのかな?
表題作は、出張先で妻がなくなってしまった夫。実は出張ではなくて不倫旅行だった。妻の死や、妻の不倫相手への気持ち、同僚の死を間近に見ながら、気持ちの踏ん切りをつけようとする。
装丁がかわいい。
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亡くなった妻のが冷蔵庫にいっぱい詰まっている手作り惣菜と亡くなる前に出張先、実は不倫相手との旅行先から送ってきた毛ガニ、という設定が面白かった。
幼い息子にとっては冷凍庫を開けると母に合えたのかもしれない。
形見の毛ガニを不倫相手にすべて食べさせる太一、これで気持ちの整理ができたということだろうか。
不倫を婚外恋愛という言葉に置き換えるな、という話があったが、その通り。
聞こえの良い言葉に置き換えても中身は変わりません。
2編目は理解できませんでした。
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いまさらながら。最近伊藤たかみ氏の作品が、好きだ。時間があったら過去作品全部読んでみようかと思っているぐらい。本作もおもしろかったなー。好み。2篇収録されているんだけど、微妙なトピックのかぶりぐあいが、1冊の本として、とても、いい。どちらも男の復讐劇、なんだけど、この男の子たちがどうにも憎めないキャラ。カニテロリストとか、たまらん単語。自分なりになにかを乗り越える方法って、さまざまだけど、こんな方法もまたおかし。でも本人たちはクールに必死。イヤミぢゃない男の子のロマンチックぶりが、良いです。ちゃんと現実、帰ってくる。
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ミカ!とかぎぶそんのイメージだったからどうしちゃったんだろって感じ。私生活とも関係あるのかな?男の未練とか、愛の賞味期限とか、そういった話。暗くて切ない。
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思いもしなかった状況で妻に先立たれたら。
この状況は混乱するわ〜。冷凍庫に残ったカニ(出張みやげ)が気になるのもうなずける。
絶対、相手の男に食べさせるぞ! とあたしも思う。
自分は腹が立って食べられそうにないし、かと言って捨てるのも気分悪いし。それなら相手に責任をとってもらいましょう。
『夢見入門』自由に夢が見られるとな。どんな夢を見ようか?
あぁ、今いいところだったのにってときに、続きが見られるってのがうれしいかも。
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窪さんがオススメしていたので読んだ。急に誰かがいなくなる。残されたものはその事について考え続けるし空白をどうするか、でも生活は続いていく。窪さんの小説の軸でもあるものがこの小説でも書かれていた。
ただ、確かにここで書かれているのは男性の思い出の消化の仕方というか現実を受け入れていくかという心の微細なものが書かれていて、ウィットな感じもして時折笑いそうになるんだけどそのどうしようもなさとかは僕にももちろんあって、ああ、忘れないで忘れていくってこういうことだよなって。
どちらも失った後と失っていく過程を描いている。どうしてそんなことをみたいなことをしないと意味だったり無意味な自分だけのなにかがその空白を鮮明にして零れ落ちなかったものだけ残る。
いつか跡形なくなっても残るものが積み重なって人生と共に経過し風化し自分とともに消えていく。
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浮気してた嫁が死んで、遺された息子と生きていくお父さん。ていう話は面白かったんだけど夢見要る?カニの団子食べさすとこなんてとっても面白いのに、夢見いるかなぁ
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えー、二編の物語が収録されているわけですが、どっちも男が主人公でして、どっちも「女々しくて!女々しくて!」って感じでございました。登場人物もみんな、ふらふらしてて幼くて「何をしてるんだきみは!もっと大切な事があるでしょうが!」と憤慨しながら読んでしまった。は!男性だったら共感できたのかしら?
あとさ、夢見入門とかいらなくないっすか?スピリチュアルなのかい?なんかのメタファーって訳でもなさそうだったし・・・何なんだい?
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妻が浮気旅行中に急死。冷凍庫には最後のお土産のカニと手作りの惣菜。友人のガンによって色んなことに踏ん切りがついていく。
もう一編は表題作にも出てくる夢見入門。
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世の中には、いい考えというのはずいぶんとあふれていても、優しい考えというのは案外と少なくて、大人になるとなかなか気づけないものだ。
・:・:・:・:・:・:・:・:
「ゆずこの形見」と「夢見入門」の二本立て。
「ゆずこの形見」は、妻が不倫してて、相手の男と旅行中に死んじゃって、冷蔵庫の中には彼女の作っておいた料理のストックがたくさんあって、死後一年間放置されたままだったってところからはじまる。おもしろい。おもしろすぎる。
しかも、この主人公が夢見の練習してて、次の話にも夢見がでてくる。
「夢見入門」の方は、彼女と別れることになって、荷物を取りに来た彼女が、本棚の本をちゃんと持ち主ごとに分けるのではなく、ふたつある、二人の本がごちゃまぜの本棚をひとつづつもらおうよって提案するのがなんかいいなシーンだった。二人は趣味が似ていて、でも最後にはしっくりこないことがあるんだなとか。再現レシピ(マックのハンバーガーとかケンタのチキンとか)が趣味の彼女っていう設定がとってもユニークでよかったなー。
いやー、ほんっとにいい本だった!どこがいい!!!という訳ではないのだけれど、全体的にとてもしっくりきていてよかった。伊藤たかみさん、って感じ。みか!を読んだ時の気持ちを思い出した。