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かつて植民地化された農業国への救済例として、小作地の小作人への移譲、農民の共同管理での「社会林業」での森林保護、大企業優先の重化学工業育成、最低賃金を高くする、はいずれも正しくないとのこと。一見正しそうな施策がなぜだめなのか、読んでみたい。
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あらゆる国でサービス産業が発展している。近代的サービス産業はコールセンタ0に代表されるように、高所得国にとっては比較的単純な作業が途上国にアウトソーシングされている。こうした近代的サービス産業の1つの特徴は大規模なインフラや工場、大型の設備が不要なこと。技術的な制約も少ない。こうした産業あh政府の支援策とはほぼ無関係に自然発生的に発展してきた。つまり政府の発展戦略なしに発展しうる。
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開発経済。 コメに未来がある気がしてきた。 ビル・ゲイツとか、イースタリーとか、サックスとか、対立してる人たちはいるけれど、頭と口を動かすより、現場の人たちを動かさなければ始まらない。
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知的に誠実な、きちんとした研究者が一般向けに開発経済学を語ってくれる。
文体は堅めだけど、難しい記述は皆無と言っていい。いろんなデータが論を補強していて、説得力もかなりある。良書。
ちょっと前に読んだ『経済大国アフリカ』といくつか異なることが書いているんで、そこが開発経済学における論点なんだろうなあ。
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途上国では所得再配分で貧困を解消することはできない。
生産年齢人口比率が高いほど成長が高い。
年率3%の人口成長で人口爆発が起こる。
大地主から土地を取り上げて小作人に譲渡するのは効率が悪い。小作農の追放につながり、農業労働者になってしまう。農地改革を行っていないアジアでは、土地なし農業従事者はほとんどいない。
人的資本への投資(教育)は時間と金がかかる。
人的資本、物的資本、インフラ、社会関係資本、知的資本など。この中で一番大事なのは人的資本など教育レベル。
外国技術を模倣し、発展とともに技術的知識を向上させ、やがて自前の技術の開発をする、順番が重要。
ODAよりFDI(直接投資)が重要だが、ある程度インフラがなければFDIは誘致できない。
見えざる手の失敗=市場の失敗。情報の非対称性、外部経済または外部不経済による失敗、公共財の供給問題(フリーライドの誘惑)
緑の革命=農業分野の革新。栽培技術、農薬の普及など。アフリカでは起こっていない。効果的な戦略がわかっていないため。
保護による輸入障壁による工業化は失敗する。比較優位を利用した輸出産業の育成から。
アフリカの失敗とアジアの成功。
「貧困の終焉」「傲慢な援助」「貧乏人の経済学」
第1の農業問題=食料不足→緑の革命で解決する
第2の農業問題=農家と非農家の所得格差→大都市への移動
第3の農業問題=農業人口の減少による食料自給率の低下。肉食による飼料穀物不足。
農業は家族経営が基本=大規模プランテーションでは労働者の監視が困難。
アフリカで土地が足りなくなっているため緑の革命がおきる下地ができた。
製造業の雇用は、世界的に見て増えていない。需要は機械化でまかなっている。工業化は、世界で見て競争になっている。
雁行形態論。比較優位に従った発展。
人的資本、物的資本、インフラ、知的資本に乏しい途上国が、国際社会で競争するには非熟練労働コストの低さを利用して輸出を図る以外にはない。
バングラデシュの繊維産業=海外から学ぶ=模倣する。エチオピアのアパレル産業と対照的。
直接投資を呼び込むためのインフラ。
中国の脱工業化→アフリカを含むその他の地域の国際競争。
途上国のしてはいけないこと
1、農地改革→小作人が追放される。生産性が落ちる。
2、大規模農業の支援→農業は家族経営が基本。スケールメリットがない。農家規模と生産性の逆相関。
3、社会林業。日本の入会地。過剰伐採(共有地の悲劇)のためにはいいが、植林プログラムにはよくない。労働意欲をそぐ。中国の人民公社がその例。
4、性急な重化学工業化。比較優位も適正技術も大事。身の丈にあった産業。
5、大企業優遇。
6、高い最低賃金。失業が増える。
アフリカで緑の革命が必要。人的資本の向上、栽培技術の普及、インフラの整備、物的資本の充実(設備など)
製造業は集積することが多い。社会関係資本を形成しやすい、新しい知識を模倣しやすい、労働力を得やすい。
始発期から質的向上期へ転換できるか。企業数は減少する。
人的資本と海外からの技術導入→インフラの整備→物的資本の充実
IT産業化には英語が大事だが、これの発展で格差は解消できない。幅広い工業化が必要。
貧困削減と地球環境の保護、の両立。
2050年には平均気温はいまより2度高くなる。
公害については、環境クズネッツカーブが成立するが、地球規模の外部不経済である温暖化問題は、世界レベルでの協調が必要。
必要は発明の母。価格の上昇が必要性を高める。コスト問題で温暖化ガスの減少を図る。炭素税など。
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この本を読んで、開発経済学という学問が、(本来は他の学問でもそうであるべきだが、特に開発経済学においては)現実を説明するモデルを構築することを目的とするのではなく、いかに貧しい国をなくしていくか(他の学問で言えば、いかに社会の諸問題に寄与することができるか)に注力しなければならないものだということを改めて気づかされた。本書で綴られている筆者の考える開発経済学は、まさにそのような視点を強調し、同時に気概というものを感じざるを得ないようなものであった。そこでは、筆者は現在の開発経済学はどのような状況であり、どのようにして今後は発展していくべきか、という点について論じているが、自分が知る限りだとこのような「開発経済学」論はあまり類を見ず、同時にどの主張も説得的であり、開発経済学を俯瞰することができる。
本書の守備範囲ではないとは思うが、個人的に本書で書かれている以外でいかに貧しい国がなくなるかということに関して重要だと思う観点は、開発経済学をはじめとする開発学の知識をいかに現場に伝えて効果的にアクションを取らせるか、その伝え方だったりオペレーションだったり具体的なアクションについての考察だと思う。ここがもっとしっかりしてこれば、効果的な施策がもっと実行され、実際に貧しい国が減っていくのではないかと思った。
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開発学に関する本第一号。こんなもんかぁ、と。
著者が膨大なデータを分析して、経済発展に効く要素はどれか、そしてどのような順序、優先順位で要素にリソースを配分すべきか書かれている。なんとなくよさそうな政策が、実際には貧困を助長してしまった例なども書いてあり、興味深かった。一冊目としては悪くないと思うが、偏らないためにも何冊か有名な本は読みため、自分の頭で取捨選択することが必要な分野だと思った。
しかし一方で、この本を読んでもスケールが大きすぎてなんかざっくりとしか入らないのは残念。僕の頭が悪いのだろうな。
とりあえず2冊目を読み始めようと思う。