投稿元:
レビューを見る
この本は児童向けに国語力を高めるには授業が始まる前に教科書に載っている話を先に読んでしまってもいいし読めるなら他の学年の話を読んでしまってもいいというコンセプトで編まれたオムニバスです。自分は単に子供の頃読んだことある話が読めるかなと軽い気持ちで読みはじめた所、それ以上、予想外の読後印象を受けました。
まず、ひらがな中心の大きい文字で印刷されたシンプルで短い話ばかりなのでサッと読み終えるだろうという予想に反して読み進めるのに時間がかかってしまった。その理由はというと大人になって普段触れている重厚かつ詳細な物語群(小説、映画、マンガ、アニメ、あとすべらない話とか)に慣れすぎてしまいここに収められてる話の数々がシンプルすぎてゴリッと骨太、過激に感じ、こんな事が話になるのかと構造を隅々まで観察したくなってしまったというのがひとつ。(例えば笠地蔵で笠地蔵は6体なのに傘こが5個しか無かった時のドラムロール的ピンチ感を感じたりとか)
もうひとつはこの話、一年生が本当に理解出来るのか?この話のこの部分を読んで子供はどう感じるんだろう?という想像に時間をとられるという部分。
実際民話だったり童話だったりの超展開に俺がついていけず、は?何これ…というのを子供も飛ばされるのかいきなり受け容れるのか想像するのも面白く。
また、一年生向けの文章では平仮名中心なんだけど単語と単語や接続詞なんかの間をいちいち空けて記載する感じとか、まだ平仮名内のここからここまでが一つの言葉という知識がない前提の知能に対する気遣いを感じつつ、二年生向けの文章ではかなり普通の文体になっていながらここまでは漢字だけどこのレベルの言葉の漢字は使わないんだなー等と感じる所が多くゆっくり楽しめる本でした。
また、各お話の後に読み方のヒントを示す解説があって、「この話の意味は○○で○○の所が面白いですよね!」とバッチリ解説キメてくれる所も楽しかったです。