紙の本
医療的な視点から見た参考書
2021/07/17 07:59
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この分野については巷間に数々の本が出ており、内容をそれなりに吟味して自身に参考となるか否かで購入の判断をしていますが、自身に於いては割合参考になったと思います。割合と表現したのは、箇所によってはあまりピンとこなかったり、また別の箇所では非常に正鵠を射ていたりした為です。
ひきこもりというのは実に千差万別なので、ある1冊の本で絶対的にカバー出来るという事はあり得ません。よってなるべく自身の子供のケース・状況に類似した例を紹介してあったり、解決策を表記している本を探す事になります。
本書は沢山の相談・質問内容を挙げ、それに回答していく構成となっています。その相談・質問内容にどれだけ該当するものがあるか、若しくは参考となるかがポイントになると思います。引き続き実践篇を読みます。
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内容自体は書下ろしではなくて、文庫化に当たって「理論編」「実践編」と分けたのだそうです。
書き加えや訂正などもあるのかもしれませんが、読んでみると全く内容が古くない、どころか今まさに起きて来ている状況そしてこれから移行していくだろう的確な予測がまざまざと書かれています。「ひきこもり」という概念ができてから、状況はどんどん高齢化・深刻化しています。
当事者や関係者以外には状態が状態だけに見えてきにくい社会現象ですが、社会資源ということを考えた時にこれは大きな問題(労働力・福祉資源の損失)です。
そして家族が抱え込んでしまうことが多く、はっきりとした効果的な対策もいまだ見つからないのです。
こちらの本は、「精神科医」の書いた「ひきこもり」の本そのものという感じですね。
ソーシャルワーカーやその他の福祉関係者(行政の管轄の人、管轄外の人)あるいは家族などのより当事者に近い立場など、別の立場の人が書いたら全く違う見解や状況が見えてきそうに思いました。
次の「実践編」を、具体的にどういう対処をすればよいのか考えながら手に取りたいと思います。
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Q&A式で書かれていて、さらにその質問が同じような感じなので少し読みづらく、読むのを中断していました。なんとなく気になり、今日読了。引きこもりの多さと、社会的に問題とされること、本人と周りの者との苦悩が伝わってきます。特に重かったのが、引きこもりの原因に「いじめ」があること。今、学校に通う こども達にも知らせたいです。
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ひきこもりは、病気ではなく、現時点では定義ができていない、ある状態のことであるという。
きっかけも様々で、いじめや虐待が背景にあるとも限らない。
むしろ活動的で、コミュニケーションも巧みな人も、陥る可能性があるというのだから、驚きだ。
誰にでも起こりうるという。
そういう話を読む以前に、私自身引きこもりになっていてもちっともおかしくないと思っていた。
たまたま就職できたのでよかったようなものの、そうでなければ年老いていく親に頼りながら、焦燥に駆られながら引きこもっていたに違いない。
そう思うと、推計100万近くいるというひきこもる人たちが、本人たちの望む形で社会に関わることができたら、と思わずにいられない。
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本書は「実践編」と対をなすものであるが、Q&A形式で進行する内容は理論編といえども具体的な内容となっている。不登校とひきこもりの違いや関係性が解説されており参考になった。後半では統合失調症とひきこもりに関する記述が多いところを見ると、多くの保護者が悩んでいることなのだと感じた。
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当事者ではないけれど予防にもなるだろうし、社会的な問題なので、そういう人たちに対してどう接すればいいのかの一助になればと思いよんだ。ひきこもり=病気ではない。精神分裂病などのケースと社会的な側面からのひきこもりが専門的には大きな違いがあるというのは門外漢には見えにくかった部分。又、どのへんからおかしいのかを知ることは回避するのに必要だと思う。いろんなケースへの著者なりのスタンスがあり当事者とその家族向きの本。マクロ視点なので門外漢には丁度良かったかもしれない。
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症状&特性
・ひきこもりは病気ではない。ひとつの状態像。社会参加をしない状態が6か月以上持続、精神障害が第一の原因とは考えにくいもの。
・平均的な若者より社会的な関心が高く(投票率の高さなど)活字に親しむ傾向も強い。それを能力として適切に用いること。非常口の確保が大切。
原因:・トラウマがある場合もあるが、治療でトラウマが消失してもひきこもりから離脱できるとはかぎらない。むしろ自分のひきこもり状態を否定しようとして苦しむことが悪循環につながっていく。
・自己中心的とみなされがちだが、むしろ健全な自己愛を維持している人が多い。ただ、自己愛を支えてくれる他者との出会いが欠けているので不安定になりがち。それでも生きていくためには自己愛にしがみつくしかない。
成熟のイメージ(78):
・社会的な存在としての自分の位置づけについて安定したイメージを獲得し、他者との出会いによって過度に傷つけられない人。成熟の過程は「外傷への免疫の獲得」場数を踏むこと。
治療されるべきか:
・放置しても抜け出せないままになることがきわめて多い。本人も治療や支援を希望していることが多い。
・ひきこもりシステム 個人-家族-社会が接点を失い、悪循環を生んでいる(85)
・家族の叱咤激励は逆効果。・就労はゴールとしないが、親密な対人関係を複数持つことは推奨。家族以外に対人関係がないことが病理につながっている事例が多いから。
はじめは親の通院:
・本人が初めから参加する例はまれ。まず親がやってみせること・親の覚悟・安心してひきこもれる環境づくり・家族の徹底した再構築。本人だけ治すというのは無理。家族も変化が必要。・通院のことは本人にストレートに話す。本人が動かなくてもひと言誘う。・正攻法で、裏表なく。治療のことも伝える。
うなずくところが非常に多かった。就労をゴールにしないと言い切ってもらったところで、少し肩の力が抜けるというか。過去にそれを目ざして、「激励」「就職先かもしれない会社情報の紹介」など、本書が「逆効果」としていることをたくさんやってきたことを反省。
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理論編と謳いながらも様々な事例(想定問答)から考え方、対処法を詳述する。○藤理論をチョロっと引き合いに出しているところが引っかかったが...。一昨年の内閣府の調査では、ひきこもり状態の40~64歳が推計で61万3千人いるという。著者も補足と解説で触れているが、これらの方々が年金受給年齢に到達したとき(もしくは無年金で生活保護)、社会は寛容でいられるのか...。
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Q &A方式で答えた一冊。
この方の本を流れで読んで3冊目だったので、既に理解できている箇所も多かった。