紙の本
それ以前にカムイ伝って忍者しか出ないと思ってた。
2015/11/11 03:25
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投稿者:朝に道を聞かば夕に死すとも。かなり。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
山の生活や海の生活、武士の生活などを「カムイ伝」を媒介にこういう生活様式だったんだと興味を沸かせる本です。
マンガを分析というコミカライズされたものに注釈加える方法だと敷居が低くなって抵抗なく読めます。
鉱山の鉱物発掘の世界戦争に負けたから日本は鎖国のようになったけど、世界競争で負けたから貿易統制になって自給自足には不要な鉱物が価値を持ち、江戸時代は自給自足じゃなかったって事に気づけました。そーだったのか!と。
江戸時代って、最近、日本賛美本があの時代を美化しがちですけど、もともと「カムイ伝」が例えば元武士が集落の体験をしたりし、その体験によって私たちも疑似的に体験できるマンガだから、そこに注釈や分析が入る事で「江戸時代のダークサイドが」っていうカウンター本じゃなく、こういう世界だったんだと純粋に楽しめると思います。
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歴史研究の第一は史料批判だが、本書にはそれがない。
フィクションである『カムイ伝』『カムイ外伝』で描かれている江戸時代の様々な世相の、どこまでが史実にもとづくもので、どこからが作者の想像によるものなのかが区分けされていないのだ。だから、「このシーンに使われている網ひびは二〇世紀になってからの発明であるので、フィクションがまじっている」(p.231)などという頓珍漢な文章が出てくる。だからぁ、元々『カムイ伝』はフィクションなんだってば。
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現代にいまだ解決されていない民族に対するヘイトスピーチの根源を探す。
江戸時代の多くの書物、ビジュアル資料はほとんどが、江戸近郊大都市の恵まれた環境の中の市井の人々が対象であるが、日本の大多数を占める農民にスポットを当てて、生活や部落問題など、カムイ伝には多数の興味尽きないテーマがある。
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江戸学の権威・田中先生。大学のゼミでカムイ伝を教材に、文化人類学と江戸を結びつけた。穢多非人と一緒くたにしていたが、被差別民と言っても違うことが興味深い。木綿生産・養蚕から農林漁猟業、老若男女人々の暮らし、そして生命まで幅広く取り扱う。終盤の「武士とは何か」で、3次産業として生産性を持たないサラリーマンと武士を比較する筆致は、身につまされる。文庫版あとがきを引用すると、著者自身が「カムイかも知れない。そして、やはり日本人がわからなくなった」自分も「カムイかも知れない。」
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田中優子 「 カムイ伝 講義 」面白い。カムイ伝をテキストにして、江戸時代の身分差別、農民や漁師の生活、一揆、死生観、武士の意味 を講義した本。多くの人間的テーマを与えている。特に 「カムイ伝が描く命」は 圧巻。平和な江戸時代のイメージが一変する
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図書館で「カムイ伝」全集を借りた流れで、そのまま読了。漫画評論かと思いきや、どっこい、かなり硬派で専門的な江戸時代の社会史である。カムイ伝を読んでいるとより深く楽しめるが、別に読んでいなくても十分に深みのある学びが期待できる。カムイは非人である。だから、本書では、穢多、非人、職人、サンカ等、メインストリームにはない人々に多くのページを割く。学問とはこういうものだというお手本のような本。おすすめです。
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白土三平の「カムイ伝」を手掛かりとして、江戸時代の社会、経済を知り、考える好書。特に、農民や被差別民など社会の下層の人々について新鮮な視点から記述されている。とは言え、もともとが大学学部の講義とゼミで使われた内容なので、わかりやすく書かれていると思う。
後書きで、この本の一部は内原英聡さんという学生の方が書いたものを使っているとのこと。この内原さんは、現在沖縄県石垣島で市議会議員を務めているらしい。
なお、あえて疑問を呈したいのはサンカについての記述で、三角寛の著作から引用を無批判的に使うのはどうか、という気がする。