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著者の松井氏は、私が小学校だった時にNHKで放映された「パノラマ太陽系」という科学番組(全6回ぐらいのシリーズで、木星や土星などの太陽系の惑星について解説した番組)の出演者でした。当時、東京大学助手だった松井氏の抑揚を抑えた、かつ要点を押さえた解説に引き込まれました。その同氏が小惑星や彗星の衝突による生命の絶滅について科学的に述べた本です。白亜紀の恐竜の絶滅は直径10km程度の小惑星が地球に衝突、時速1000kmを越える爆風、1万度を越える熱風、そしてマグニチュード11を越える地震と300mに達する津波が発生。このような破滅的な事象が地球の生い立ちという時間で見れば、決してまれな事象ではないという現在の学説を理論を飛躍することなく解説されています。昨年、ロシアで隕石の落下が観測されているだけに、説得力があります。
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★2014年7月5日読了『天体衝突』松井孝典著 評価B+
2010年にようやく決着した現代の神学的論争である6550万年前の恐竜をはじめとする生物の絶滅は、直径10KM程の小天体の衝突により引き起こされた突発的な環境変化によるものだった。という天体衝突の論争とその論拠、そしてこれまでの歴史的経緯を解説した本である。
今になって考えれば、至極当然と思える学説も、それらを否定し続けた斉一説(地球や生物の進化は長い時間をかけて、ゆっくりと変化するという漸進説)が長い間有力とされていたことさえ不思議と思えてしまう。
科学におけるパラダイムシフトとはいまだ起こりえるものであり、だからこそ世間の常識というのは、疑わなければいけないと思わざるを得ません。
それにしても、2013年2月のロシア・チェリャビンスクの隕石事件(大きさ20M)を見ても、映画のように、いつ大隕石が落下して、地球環境が激変してもおかしくはない。
中南米ユカタン半島のチチュルブ・クレーターは、恐竜絶滅を引き起こした天体衝突の証拠と考えられており、1KMサイズの隕石落下なら、100万年に1度、100Mサイズなら、1000年に一度。50M サイズなら100年に一度の確率だそうである。
著者は、特別読者の不安を煽ることもなく、淡々と学者としての見解を述べており、だからどうこうしようということもなく、冷静に長い宇宙時間の中での、たった一瞬の地球上の生物の営みを分析している。それゆえに、余計に説得力があり、事実として受け入れるしかない卑小な存在である人類を考えさせられる。
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チェリャビンスク隕石の章はよくまとまっていて読みやすい。その後の叙述は、説明が専門的に過ぎたりして目が滑る部分がある。激変説は割と一般に受け入れられていると思うのだが。
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実は昨年ロシアであった天体衝突をそれほど一大事だとは思っていなかった。テレビをあまり見ないので、どれくらい取り上げられていたのかも知らない。しかし、本書を読んで、よくよく考えてみると、これは相当ショッキングな事件だったと言えるだろう。この本を読んでいる最中は、ついつい空を見上げたりして、ちょっと気楽に日々を過ごせなくなっていた。もっとも、読み終わるとまた日常にもどっているのだけれど。それから、恐竜絶滅が巨大隕石の衝突が原因だなどと普通に毎年授業で言っていたが、どうやらこの説が確定したのは本当につい最近のことのようだ。ということは自分が小中学生のころにはそんなことは教わっていなかったはず。いつの段階で、自分はそのことを知ったのか。本を読んでか、テレビで見てか、今となっては定かではない。まあ、この説がひっくり返るということはもうなさそうなので、ウソをつき続けてきたということにはならなさそうでホッとした。それにしても、空に太陽よりも明るい天体が見えるとか、見たい気もするけれど、よく考えると恐ろしい。交通事故にあう方がよほど率は高いのだろうけれど。
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地球の歴史の考え方がここ50年で大きく変化したことを詳細に解説している好著だ.小生がこの激変説をある教授から実際に聞いて興味をもったのは、1990年の半ばだったと記憶している.従って、第6章から第8章で述べられた科学者たちの活動は非常に読んできて面白かった.ただ、天体衝突が実際におこる確率は小さいにせよ、危機感は持っておく必要があると思っている.
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隕石衝突とは一体どのような現象で,これまで地球と生命の歴史に何をもたらしてきたか。そして科学はその謎をどのように解き明かしてきたのか。本書は豊富なデータに基づいてこれらの問いに答えつつ,斉一説→激変説という地球史・生命史のパラダイム転換についても論じている。科学に少しでも興味のある人なら,刺激的な読書になるはずだ。
13年2月,ロシアのチェリャビンスクに落ちた隕石は,多くの映像とデータを残した。記憶に新しいこの事象を皮切りに,ツングースカ大爆発やクレーターの科学など興味深い話が続く。クレーターの成因は天体の衝突だという説が確証されたのが比較的最近(アポロ計画)というのは意外だった。以前は,隕石が斜めに入射するのにクレーターが円になるのは辻褄が合わないと考えられていたという。今では隕石衝突は爆発現象であることが分かっており,完全に説明がつくようになっている。このあたりの物理についても細かく解説されていて,納得感が高かった。
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地球や生命の進化史は、天体衝突の研究で斉一説から激変説へ大きくシフトした。6550万年前の小惑星の衝突によって、哺乳類の時代が始まった。
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https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000057347