紙の本
なんともせつない
2016/01/05 17:08
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投稿者:うえぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
フキの人生はいったいなんだったのだろう?
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有吉佐和子さん初読。
新刊案内で知って、書店に平積してあったのをなんとなく手に取り、読んでしまった。
書体も字体も難しいのに、一気読み。
読み応えあり、引き込まれ、あとがきに深く感じ行った。
昔、某バラエティー番組での暴挙(?)を知っていたのでなんとなく避けてたけど
力量すごい方だった。
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失礼なことですが、一方的に和宮に同情して作られた小説だと思っていました。政治の道具として利用された可愛そうなお姫さま、という短絡なイメージ。
それでも、和宮以上に道具とされたフキの有様に哀れみと悲しみ感じつつ読み進んで、入れ替わりなったときには、歴史小説ならではのおもしろさ、と唸っていたわけですが。
本当に心底唸ることになったのは、あとがき読んでからでした。
歴史小説ではなくて、歴史のおもしろさ。
何より、幕末という時代が、今と地続きであるということを感じることのできる作者の生きていた時代に、憧れ覚えます。歴史の記憶というものが、その時代の臭いと共に触れられる世代。
新装版として、復刊されたこと非常に嬉しく思います。
これだから、歴史好きはやめられないとまらないです。
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タイトルを知ってから数年越しの読了です。
高校生だか大学生のときに手を取り、読みきる自信がなくてそっと本棚に戻したのが、今ようやくあとがきまで読みました。和宮を知ったのがドラマの安達祐実だったので、替え玉に次ぐ替え玉に「えー!!」と本気で驚かされました。
人が変わろうがなんだろうが「宮様」をお守りする信念を貫いた少進は「宮様」たちの側近であり、また母親であったのだろうと思います。大奥の話もあるかと思っていたので、少し拍子抜けでした。
和宮様の登場する場面は少ないですが、それでも好感を抱いてしまうひとでした。かわいいなあ。
これからは恋を見たら、この小説を思い出しそうです。
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久々の有吉佐和子さんの本。御所言葉が頭に入らないけど、どんどん引き込まれる。女同志の争い、こんなに酷いのは、見聞きした事ないけど、世界が狭い場合にはあり得るだろうな。
和宮についてもう少し調べたくなる。
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朝廷から江戸幕府へ人質のように嫁に行く和宮のお話。でも、本当は嫁に出向いたのは和宮ではなく一般女性だった。政治の話と女の気持ち。面白いお話でした。
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有吉佐和子さんは、好きな作家の一人である。
読んだことはないが、公害問題を扱った作品や、そのうち読もうと思っている実在の外科医華岡青洲などの作品も書かれているので、事実の調べについてもしっかりとされているのだろうけれど、そういった系統の作品は読むのは初めてでした。
徳川家に降嫁した和宮が偽物であったと云う大胆な説を展開されているようで、当時は大分と話題になった本らしいです。
その仮説のダイナミックさはさすがとは思いますが、最初からその仮説が推測されるので、どうなるの?というドキドキ感がないのと、他の作品に比べて、身代りにされる主人公のふきが不条理に不幸でかわいそうな気がしたので★3つ。
それにしても、環境に対する人間の変な意味での順応の程度にある種の恐怖を感じる。
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最初、御所ことばに馴染めなくて中々読むスピードが上がりませんでしたが、慣れてからは物語の中に引き込まれました。新倉家の末裔のご婦人から和宮は偽物だったと聞いたことがきっかけで、この話を作り上げた有吉さんの構成力が凄い。フキという架空の少女を創作し、物語の中で替玉に仕立て、現実の和宮の遺骨の左手首が欠損していることや、足が不自由な筈なのに両足に異常がなかったことの説明を見事につけている。権力者のエゴに巻き込まれ、何も知らされず替玉にされたフキが、ただ哀れでした。
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初有吉作品。なんとな〜く手に取ってみた。
てっきり大奥に上るまでと、その後の大奥での活躍の話かと思ってたw
最初は京言葉とそうろう文に、ゲーッ(-_-;)と思ったけど、意外に読めた。でもルビはもっと振って欲しいw
とにかく宮様の窮屈過ぎる生活の描写が興味深い。これ読んでたら、ほんとに身分高い生まれの人は大変だな…。最近の皇室の方々も大変なんでしょうね…。
読み終わってからウィキったら、過去大竹しのぶさんでドラマ化してたのね!見たいー!
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和宮は身代わりだったーあまりに哀しく酷い小さな一つの人生。和宮はその後どうなったのか。宇多絵の前半生はどのようだったのか。フキの最後の悲哀は誰かに届けられたのか。それでいいのか!という読後感が残る。有吉佐和子さんがあとがきで書いてる太平洋戦争と和宮東下が重なって見えたというのが重い。
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歌川広重の東海道六十九次に惹かれて、中山道の宿を訪ねる機会が増えた。すると随所随所で和宮が降嫁の折に立ち寄った形跡を見るようになり、「この険しく長い中山道を宮さんが駕籠か何かに乗ったにしろ延々と江戸まで続く道を行かれたのか」と、驚くとともに知りたいと思った。
そして、手に取った本書であるが、のっけから和宮が身代わりであったという驚きの展開であった。そして、あとがきで著者は、本書を書き始めてから太平洋戦争に召集された若者たちと、和宮の身代わりにされた少女が重なって見えたと書いている。どちらも歴史の流れの中での犠牲者であったと。最も無力であった人々に対する鎮魂歌として書いたと。
その時代を生きた人々に思いをはせる想像力に、著者の大きさを感じた。
有吉佐和子さんの他の作品も読んでいこうと思います。
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歴史的小説なのに、文章のリズムを目一杯楽しめる。
こんなに音読してみたくなる本はあまりない。
京都の宮中言葉のおもしろさがよくわかる。
日本語奥深い
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徳川家に嫁いだ和宮が、身代わりの偽者だったっていう話。
久しぶりに早く続きが読みたくなる本で、色んなことほったらかして読んだ。
御所言葉が面白かった。
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ずいぶん久しぶりに読み返そうと思ったのだが、持っている文庫本はあまりにフォントが小さくて、とてもじゃないが読めない(トホホ…昔の文庫を見るたびに本当にこれ読んでたのかと思ってしまう)。ちょっとためらったけれど、とっても面白かった記憶に押されて新装版を購入。いやあ、これは大正解!もう夢中になって一気に読んだ。
幕末、公武合体の掛け声のもと、徳川家に降嫁した皇女和宮は、実は替え玉だった。この設定だけでも興味深いが、そこに幾重にも肉付けされていく、小説としての厚みがすばらしい。思いつくままにあげていく。
・一人目の替え玉として、フキという少女をつくりあげたことが、この小説のキモだろう。何も知らされずなんの抵抗もできず、思いもよらない運命に巻き込まれていくこの少女を作者は、否応なく苛烈な戦場にかり出され、狂ったり死んだりしていった若者たちのことを思いながら書いたそうだ。そう思うと、フキがいっそう哀れでたまらない。
・二人目の替え玉宇多絵にはモデルがいるそうだが、替え玉説は否定されているようだ。フキと違い、裕福にかしずかれて育ったと描かれる宇多絵は、まさに青天の霹靂としか言いようのない運命に静かに従う姿のみ描かれ、その内面は一切説明されない。そのことがかえって、権力の非情をまざまざと浮かび上がらせていると思う。
・考えてみると、和宮はそうした力を持つ側の人なのだが、降嫁を拒否し我が儘を押し通すといった印象がほとんどない。それどころか、彼女もまた犠牲者なのだと思わせられる。この点にも作者の筆の力を強く感じる。
・物語の背景にある、公家と武家の価値観の違いがとても印象的だ。優雅な技芸、洗練された生活様式を代々伝え続ける一方、風雲急を告げる時代の動きには暗く、関心を持とうともせず、武家を見下し「伝統」に固執する公家。そうした公家を軽侮し、富と力によってすべてをなぎ払おうとする武家。しかし結局は、どちらも外国からの強力な波に呑み込まれていく。作者の視線は冷静だ。
・全篇に登場する御所言葉が実に面白い。典雅でありつつ、どことなくユーモラス。「お嫌さんであらしゃりまして」「おするするにお運びあそばされ」などなど、耳について離れない。会話も手紙も持って回った言い回しの極地。京都人のいけずの源流だもんね。
有吉佐和子の代表作の一つ「華岡青洲の妻」について、橋本治は「作者は最後の最後で、大声で怒っている」と喝破した。この小説は、嫁姑の争いを描いたとととらえられがちだが、青洲の墓は、彼のために身を捧げた妻や母のものよりずっと大きいと書くことで、その理不尽に対して渾身の力で怒っているのだと。この指摘には参った。さすがだ。この「和宮様御留」にも、抜群のリーダビリティの底に、まぎれもなく同様の怒りがある。そこに強く惹かれる。
オマケ
本作はかつてテレビドラマ化されたものを見た記憶が鮮明だ。調べてみたら、私が見たのは81年フジテレビの正月特別番組だった。フジテレビの黄金期だけあって、俳優陣が実に豪華。
なんといってもフキ役の大竹しのぶが圧倒的だった。ほんと、この人って北島マヤそのものだわ~。和宮は岡田奈々(今どうしてるのかな)宇多絵は池上季実子、どっちも美しかった。和宮の生母観行院は森光子だったけど、原作とはイメージが違う。年増で険のある美人女優が良かったんじゃないかな。うーん、誰だろ。宰相典侍が園佳也子で能登命婦が吉田日出子というあたりは、もうそれしかない!というキャスト。他にも中村玉緒・乙羽信子・藤田まこと・丹阿弥谷津子・三益愛子・小林桂樹・佐藤慶などなど、名優がゾロゾロ。昭和のドラマが懐かしい。
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40年くらい前に大竹しのぶさんが演じたドラマがありました。子供でしたがゾクゾクするほど面白く内容も鮮明に覚えていて、原作を読みたくなり読みました。有吉佐和子さんの取材力がすごく、和宮様は本当に偽物だったのではと思わせます。御所言葉など馴染みのない言葉が使われていますが全く飽きさせず一気に読めてしまう歴史小説です。