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電子書籍
都人パラシュート作戦
2016/09/09 06:49
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:neko - この投稿者のレビュー一覧を見る
やさしい文の裏に、深い文化的背景がこっそり書かれています。テクノクラート集落の女の子のお話ですが、その母親が、東京出身で、都人文化を地元文化の中に持ち込んでいる。
もともと、テクノクラートは、生産物の出来に合わせて文化を組み立てるので、子供の面倒を見なくていい男たちが、一日24時間/週7日仕事場に張り付いて技術を伝承している。一子相伝ですね。そこに、都人が母娘伝承と上昇志向を持ち込むと、一人娘とか賞状とかいった新しい価値観が入り込むので、出来上がりの質が落ちるし、対応を間違うと技術そのものが失われてしまう。特に陶芸とか、紙に書けない技術の伝承では取り返しがつかないことになる。
一方で、それぞれの集落には定員があって、例えば、皿山では12家族、親子3代として、70人強のスペースしか無い。で、東京からヒトが入ると、そのヒトのスペースを作るために、元いた地元民が出ていくんだけど、出てく先は、近くの都市か東京、つまり都人文化圏になってしまう。結果、内と外から、地元民集落の存続がおびやかされるって感じです。
あと、母親が都人文化の人だと、母親の影響で娘も地元民から微妙に浮いてしまう。で、親の地元文化に影響されて東京で浮いてしまうような子がいると、お互い気になる。ここから新しい中間文化が生まれるかもしれないし、都人文化に取り込まれるかもしれない。次のお話ですね。
紙の本
気付けば“思い出のしげみ”に居た
2018/05/28 18:44
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投稿者:タンポポ旦那 - この投稿者のレビュー一覧を見る
冒頭から魅力ある文章に導かれるまま、物語世界に引き込まれていったが、「あてどない夢の過剰が、ひとつの愛から夢をうばった」の引用で、一気に高校時代を中心にした時間が蘇ってきた。現代詩に魅かれるようになった切っ掛けが、この「青春」を含む大岡信であり、金井直へと続く現代詩遍歴は、憧れた人に繋がる想い出の縁でもある。
この小説のヒロインほど、思慮深くも思考を巡らせる事もなかったけれど、感受性だけ高く“何も知らないこと”を知らない時期の思いが、まだ自分の中に残っている事を再認識させてもらえた様で嬉しかった。
素材や背景、ストーリーや構成も見事な上、「詩」の使い方が、これ程ない位お上手。初めて接した作家だけれど、これだけでファンになってしまった。児童文学に分類されているのが、むしろ不思議な気がする、幅広い年代に鮮やかな印象を残す好作品と思う。
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