紙の本
ミステリーなのかな??
2015/08/30 19:04
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投稿者:仔猫のあくび - この投稿者のレビュー一覧を見る
偶然のように装われているが、出会いは必然。
炭津をこの世に繋ぎ止めている“未練(心残り)”が何なのか?
晴菜の幼い頃の事件の真相は?
炭津・柳井・晴菜それぞれの過去と現在が繋がる時、個々の未来が少しずつ動き出す。
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彼女が恋した紳士は、名探偵だった・・・そして、幽霊だった。読み始めて,あっ松尾さんだとすぐに分かった.「雨恋」,「九月の恋と出会うまで」と同じく,静で胸の奥がちょっと締め付けられる切ない感じ.ミステリではあるが謎解きというよりも深く切ない恋愛物語なのだ.そして結末はいつも・・.とても素敵な一冊でした!!おススメ!!
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幽霊、探偵、少し恋愛、そんな要素を含んだミステリー。幽霊とはいってもホラー的要素はありませんし、恋愛要素も含みますが、決してベタベタしたものではなく適度な距離感をもった大人のお話でした。
幽霊の設定は上手いと思いました。多少の無理はあれど、納得できる設定です。ラストはややほろ苦く、それでいてハートフルないいエンディングでした。
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一冊前に読んだ本と同様に、タイトルと表紙絵に惹かれただけで選んだもの。そちらは失敗だったが…この作品と作者に関しては稀有の巡り合わせだった。苦さと優しさとあたたかさが程よくステアされたカクテルのよう。気持ちよく酔えた。
松尾由美という人の本は読んだことがない。
私がすすんでは選ばないSFとか推理小説の作家だということだから、なるほど本を手に取ることもなかったはずだ。
この作品は…確かにSFチックな設定かもしれない。しかし設定など私はどうでもいい。そこに作者が記したものがどれほど自分の心をとらえるか、である。
現に読まないはずのジャンルに属する作家では、私は森博嗣氏の信奉者と自ら称してもいい。理系だとかミステリーだとかそんなこととは関わりなく、彼がいくつものシリーズにまたがって書き続けるテーマにこそ、心惹かれているからだ。
これからこの本を読む人のため、中身には触れずにレビューを書くことにする。
あり得ない設定だからこそ可能になった多くの伏線、心あたたまるサイドストーリー。必然の出会いと偶然の出会いがあって、初めてたどり着く必然の結末。その幸福感と表裏一体の喪失感。
うーん…この人の筆力と綿密な構成力には驚かされた。
そして何より、心から楽しめた。秀作だと私は思った。
だからと言って誰もが好きになれる話ではないのかもしれない。しかし私は、「フリッツと満月の夜」以後の松尾氏の作品を読もうと決めた。この人の作品世界は、ファンタジーに近い。大好きになった。
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ビルの地下にあるこぢんまりとしたバー。
その店の常連客である炭津は、帽子の似合う素敵な紳士。
酔っ払いに絡まれているところを炭津に助けられ、その店を紹介された兼業漫画家の晴奈は、炭津に様々な悩みを打ち明けていた。
バーの店主である柳井によれば、炭津は名探偵らしいのだが......
。
2014年7月3日読了。
バーを舞台にした安楽探偵のお話だと思って読み始めたのですが、全然違っていました。
後半まで読み進めないと、どこに向かっていくのかが全く予想できない作品です。
まどろっこしいからと途中で諦めてしまってはいけません。
ちょっぴりせつなくて、ほんのりと温かいラストが待っています。
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【あらすじ】
兼業漫画家の晴奈のなじみのバーは、ビルの地下にある小さな店。常連の自称早期退職者・炭津は、晴奈の話に的確で親身な助言をしてくれる素敵な紳士だ。店主の柳井の話では、名探偵でもあるらしい。そんな彼が実は幽霊だということは、柳井だけが知る秘密だ。晴奈は、幼い頃に起きたある事件を炭津に語り始めるのだが…。温かく切ない余韻を残す大人のミステリー。
【感想】
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兼業漫画家の晴奈は幼い頃に起きた不思議な事件を行きつけのバーの常連である炭津に相談する。
店主の柳井の話によると、炭津は名探偵でもあるらしいのだが、果たして幼い頃の謎は解けるのか。
炭津の秘密に関しては序盤で明かされるのですが、趣向が変わっていて面白くなりそうな要素がたくさんあり、期待感を持って読みました。
中盤はテンポよく進まず、少しダレた印象がありましたが、炭津の行動の制約という設定が効果的に活かされていて中々読みごたえがありました。
ほろ苦く舌に残る幕切れが切なく、優しい気持ちになれる作品でした。
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・その人が死んだという事実を知らない人間には、幽霊が生きている人間とまったく同じように見える。
・そのため幽霊にも昼間や夜間の「居場所」が必要である。
・小さな物質なら動かすことが出来る。
・生きた人間と死者を区別する特殊能力を持ち、理解した上で言葉をかわす人間も存在する。
・この世に未練のある人間だけが幽霊になり、それがなくなれば消えてしまうらしい。
舞台となるバーの妙に長々とした文学的な描写から始まり、なんとなく気持ちが着いていけないうちに、これらの特殊な設定を序盤で突きつけられ、最初は戸惑いを覚える。
(著者がSF的な作品を書く方だとはあとがきを読むまで知らなかった)
また、最初に主人公・炭津とヒロイン晴奈が言葉を交わしたあたりでは、勝手な印象なのだが、バーを舞台として炭津がいろいろな客を相手に小さな謎解きをしていくオムニバス形式なのかな、という印象を受けたりした。
つまり序盤はどういう心構えで読んでいけばいいか中々定まらず、少し落ちつかない気持ちだった。
だが読み進めるうちに登場人物たちの過去と、それぞれの関わりとが丁寧に描き出されて、最初からひとつの長編の物語だったのだと、いうことが飲み込めてきた。すると「幽霊の設定」が生き始め、核となる謎が提示され、テンポよく展開していく。
そういう風にして、気づけば違和感は消えて世界観に引き込まれていた。
何かを作りだす人間の苦悩、嫉妬であったり劣等感であったり挫折であったり、その描写はあくまでさらりとしたものだが、真に迫っていて切ない。
丘の上の船の家の風景が、「家族の幸せ」と「まぼろしの傑作」の二重の象徴として、どちらも失われたものにせよ、幸せな過去の余韻となって心に残る。
またタイトルのとおりの、薄暗いバーにたゆたう煙とカクテルのサクランボのある風景。こちらは、煙のように消えてしまう仄かな恋といったテーマだろうか。
二つの全然違うイメージをそっと記憶に残してくれる作品である。
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幽霊の紳士のお話し
この人ってハートブレイクレストランといいこの小説といい幽霊設定が好きねぇ
幽霊の設定はちょっと違うけどね
最初はなんとなく日常系ミステリかと思ってたけど、日常の謎を含む長編ものでしたか
う~ん、それにしても、そんなのが動機になって実際にやるかなぁ?
ま、そこまでリアリティは必要ないんだろうけど
何とも釈然としない結末だなぁ
とりあえず、柳井さんみたいなキャラが好きだ(笑)
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心残りのない人、いるのかしら。
ただダラダラと生き続けているだけのわたしだけど、今すぐ消えるとなると2つ3つどうしても見ておきたい舞台と行っておきたいライブがあるもんな。それにしてもしょもない心残りだけど。
灰津の告白で残った二人に何が起きたのか、起きなかったのか。それが残された希望。
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展開が読めたけれど、ラストシーンにグッときた。
事件の犯人が探偵本人で、しかも幽霊と言う中々トリッキーな設定の割りには自然にはいってきたので、この人はお上手だと思う。
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アルバムを持てるのならば、もっと力を出せるのではなかろうか、と思わなくもない。説明文がちょっと多いのがもったいないかな。