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(No.14-16) ミステリです。
内容紹介を、表紙裏から転載します。
『出産休暇の最後の週末を利用して、夫と娘とともにレードシャール島を訪れたマリア。かつて要塞だった島は、今は船舶塗料メーカー、メリヴァーラ社が購入し、一般に開放していた。マリアが島に行きたかった最大の理由は、昔の恋人がそこで事故死していたことだった。島から帰ってからも、メリヴァーラ一族との縁は切れなかった。息子が動物愛護のデモに参加し騒ぎを起こし、さらに経営者である当主が島で死体で発見された。休暇明け、警部に昇進したマリアは因縁の島で起きた事件捜査に奔走する。』
マリア・カッリオ・シリーズです。
前作「氷の娘」では臨月で頑張っていたマリアです。あらら、すでに娘は1歳に!
ミステリですがそれほどひねったストーリーではありません。トリックだのアリバイだのもなし。
どちらかというと人間ドラマに重点が置かれた小説です。
家長として支配的に振舞う父親と、反発する息子や娘。だけど娘は本当は父親が好き。平気で風俗女性と付き合う夫だけど、でも彼を頼りにして家庭を守ろうとする妻。まあフィンランドに限らず、どこの国にももちろん日本にも一定数はいそうな家族だな。
登場人物が誰も好きになれない小説は私は苦手。
だから主人公マリアに感情移入して読めるこのシリーズが気に入ってます。
このシリーズを読むまであまり知らなかったフィンランド。たった3冊読んだことで、なんだか親近感が!
そしてフィンランドの人にとって、日本はアジアの中では馴染みのある国らしいことを最近知ったので、なんだか嬉しい。
新渡戸稲造は、もしかして日本よりフィンランドでの方が人気があるかもしれません。この小説にも何気なく出てきてました。
マリアが子供を産んだことで、フィンランドの子育て支援のことが自然に語られているのですが、日本との隔たりは大きいなと思いました。
マリアの場合昇進が決定して産休に入り、産休と育休の間は臨時に代理の人がその役職に付き、マリアが復帰して交代しました。
日本でも1年くらいの育児休暇をとれる職場はありますが、昇進して職場復帰するケースがあるとは思えない。
そして職場復帰するマリアと交代で、夫のアンティが育児休暇をとって娘のイーダの育児をしてます。
大勢の人が登場するのですが、嫌な人も良い人も皆現実にいそうな人ばかり。
嫌な面の中にふと好感が持てたり、良い人なんだけどでもちょっと・・・、とかそういう描写で現実味が増しているのだと思います。
いろいろ大変なことがあったエスポー警察。これからもこの警察署の人達のことが知りたいので、次回作が楽しみです。
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かつての恋人が事故死した島で起こった不審死を警部に昇進したマリアが捜査する。
身重で走り回って読者をハラハラさせていたマリアも、母親になって落ち着いた…わけではなく、相変わらずの猪突猛進ぶり。
今回は『死に対する責任』がテーマのようで、かなり重い。
まあ、このシリーズの中で一番気になるのはフィンランド警察の仕組みなんだけど。
就業中にジムに行く権利が認められていたり、非番のメンバーが集まってサッカー観戦に行ったり、欠員の補充を外部募集したり。なかなか日本では考えられないことばかりで、非常に興味深い。
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マリア・カッリオシリーズ第三弾。産休明けで復帰し、警部に昇進した主人公が、島でおきた殺人事件を追う話。その島は昔の恋人が事故死した島でもあり、事件の直前に家族でレジャーで訪れていた。
特に意外な真相でもなく、ごく普通に何人か容疑者となり、犯人が判明していく。
同僚の死のほうが衝撃的だった。
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このシリーズを読んできてよかったー。面白かったー。前2作では主人公マリアの向こう見ず過ぎるとこや、無駄に頑固なところに正直イライラしてた。主人公があまり好きではないので読むのをやめようかとおもっていたけど、チョコチョコ描かれるフィンランドの静かで厳しい自然の描写が好きで読んでいた。
しかし、マリアは成長した。母になり、上司になった。気の強さは相変わらずだけど余裕が出てる感じ。
次も楽しみ。
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マリア・カッリオのシリーズ3作目。
フィンランドの人気ミステリです。
出産休暇を1年とっていたマリア。
休暇の最後の週末、夫と娘のイーダと共に、レードシャール島を訪れます。
かっては要塞だった島ですが、今は塗装メーカーのメリヴァーラ社のものとなり、一般に開放され、宿泊も出来るようになっています。
自然豊かな島ですが、マリアの興味は、実は昔の恋人が1年前に島で事故死していることにありました。
昇進を決めた後の出産だったので、マリアは復帰と共に警部として名実ともにリーダーという立場でスタートします。
昇進を争った同僚ペルツァ・ストレムが代理となっていたため、面白くなさそう。
ストレムは偏見に満ちた嫌われ者だが、警察官としては有能で、どこか嫌いになりきれないマリアでした。
メリヴァーラ一族とはなぜか縁が切れず、社長の息子のユハがデモに参加して逮捕され、さらに社長が遺体で発見される。
かっての恋人の死も何か関連があるのか‥?
盛りだくさんな内容で、読ませます。
思いっきり気が強いマリアですが、いい夫を見つけて可愛い娘も生まれ、管理職としての態度もだんだん身につけていくところ。
子供をおいてきている罪悪感と、仕事の現場での緊張にさらされ、荒れて行くストレムを気にかけ、事件で出会う男に惹かれたり、と頭の中も忙しい。
個性的な登場人物がポイントを抑えた描写で描かれ、ありありと存在感があります。
関係者に会いにはるばる村まで行くシーンなども、印象的でした。
1年の出産休暇が取れて昇進も出来、育児休暇を取りたければさらに取ることもできる。そのへんは、さすがフィンランド!
夫が交代して育児休暇を取っているのも羨ましい限りですが、これはフィンランドでもとやかく言う人がいたり、必ずしも皆がすることではないようです。
警察小説ですが、アラサーのマリアの人生を描いた小説でもあって、変化もありつつ基本はあたたかい生活なのがいいですね。
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色々あって2冊を並行しながら読んでいたので時間がかかったが、今年の最後を飾るに相応しい本で満足感が得られた。こういう強い女の人の本は、自分の不甲斐なさも感じさせられるけど、頑張ろうって気持ちも湧いてくるので有り難いものです。
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邦訳ではシリーズ第3弾。
育児休暇を終えて、警部として復帰したマリアだけど、事件が控えてくれるわけはないのであって。
好きな同僚も嫌いな同僚も健在で嬉しかったのだが、それで終わらないことが悲しいね。
止められなかった罪悪感が、最後のことで少しは払拭できたのだろうか。
ただ、当たり前で実直な言葉だからこそ通じる時は確かにあるんだな。
余談だが、動物愛護からではなく菜食主義寄りの自分にとって、眉をしかめてしまう出来事も書かれてる。
野菜だって生きてるんだけどねえ……
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2015.3/11 シリーズ3作目。うーん、回を重ねるごとにマリアの支離滅裂さ?が際立ってきてます。重要な案件の最中、上司や容疑者に恋愛感情を抱いて揺れる心持ちとか、育児に専念できない男勝りと評していながら夫や娘との愛溢れる生活描写とか、ちぐはぐでした。推理小説と思って読んじゃいけなかった。疲れました。
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前作『氷の娘』の感想で「次作はよっぽどなにもないときじゃないと」と書いたのに、それを忘れて読んだ。
ま、読めなくはなかった。
なぜシリーズものなのに毎回前作を忘れているかというと、主人公があまりに普通の人間だから。
唯一クセがあった人間も今回でいなくなるし。
まっとうといえばまっとう、つまらないといえばそれまで。
ちなみにフィンランドの離島の話。
気づいたら意外に古い作品だった。古さは感じない。