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私にとっては懐かしい武蔵野の風景でした。幼稚園から小4までなんて曖昧で脳内地図も繋がらないんだけど……だからこそ記憶と重なります。見たことないものでもちゃんと自分の風景になる、想像の力ってすごい。
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子どもの頃から身近にあった「野川」とその周辺を舞台にしたお話。与えられた言葉だけをもとに、想像力を働かせてその光景を眺めるのは意外と難しい。難しくて河井先生の「話」を何度も読み返してしまった。生徒たちを子ども扱いしない、そんな態度が音和には好ましかったのだろう。伝書鳩についての記述は大変興味深かった。
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冒頭は主人公が転校した学校の周辺環境についての描写があるのですが、うまく思い描けませんでした。
その後、東京の地形の話が出てきて、都民でないわたしは想像することができず、ふーんというくらいでしたが、東京に住んでいる方には興味深いかもしれません。
解説にも書かれていますが、長野さんの小説で、ここまで固有名詞がはっきりと出てくるのは初めてだと思います。
ただ、S山、東京G大学などとぼかされているところもあり、その差が何を意味するのかはよくわかりません。
一般的に(多くの人が)自分が実際に体験したことでないと、それは自分の経験とはならない、というような考え方だと思いますが、それとは少し異なる考えが述べられていて、興味深かったです。
科学的に証明されているのか?という疑問もあるのですが、書かれているような考え方ができるのであれば、一生のうちに手に入れられるものは無限である、という長野さんの考え方なのだと思いました。
わたしも一般的な考え方をしていますが、話をきいたり、何かを読んだりしたことが経験とまではいかなくても、「自分のもの」になり得るという考え方は、今後、わたしに大きな影響を与えるかもしれません。
せっかく生きるのであれば、より多くのものを手に入れたいと考えているので。
蛍の話のシーン、わたしも読み終わってふっと息をつきました。
雨の中、父親と会い、家へ帰る流れは読んでいて涙が出そうでした。
長野さんの小説を読んでこんな家族愛っていいなあみたいな俗っぽい感情を抱いたのは初めてです。
ちょっとびっくりしました。(自分に、なのか、小説に、なのかは不明・・)
窓側の席を譲ってくれなかった~などの兄弟のエピソードはいつもの長野さんらしいですね(笑)
わたしの好きな世界観はこれではないので、これが最高傑作・・?という感じですが、ファン以外にも受け入れてもらいやすい標準的な小説という意味では最高傑作だと思います。
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長野まゆみ作品にしてはかなり趣が異なる作品。
父の事業失敗により両親が離婚し、武蔵野台地にある少しのどかな中学校へ転校してきた主人公の音和。
風変わりな担任教師や伝書鳩を育てる仲間たちとの日々を描いている。
飛べない鳩の「コマメ」と音和の成長をダブらせるなど、物語としてかなりわかりやすい筋になっている。
何が起こるかわからないドキドキ感はないけれど、少年の成長を穏やかに見守る上質な物語。
長野まゆみ好きにとっては裏を読みたくなる描写もあるのだが、その度に爽やかな青春とまっすぐ捉えられない自分のヨゴレを感じる。
タイトルの野川は学校の近くを流れる川で、物語の折々の風景に現れる。
解説にある通り、ここまで明確に舞台を示す作品はほとんどなかったのではないかと感じた。
長野まゆみらしさは薄く、その点を期待すると少々物足りない。
物語の筋よりも、言葉で表現する意味や価値を考えさせられた。
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2011年全国課題図書(対象:高校生)になっていた一冊。長野さんの作品初めて読みましたが なかなか好きかも。読みながら情景が浮かぶ美しい描写、主人公の音羽はもちろん 登場する人物がみなあっさりしているのに魅力的。特に河合先生の様な教師は実際にいてほしい。これは子供にも勧めたくなる、課題図書に選ばれたのも納得でした。きっと また読みます。
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住んでる地域どんぴしゃなので、長野さんがこのあたりに潜んでいるのでは?と思うくらいありありと思い浮かべた。
鳩はあまり見ないけど、意識してないからかな…?
こども向けで思春期の心の葛藤がよく表現されてる。
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高校の読書感想文コンクールの課題図書になったというので、今まで読んできた同作者の作品とどう違うのか気になり読みました。既読の作品どれも描写力、言葉の選び方が素晴しいのでその点は全く変わらず。耽美的な表現は無くとも自然の美しさや、悩み揺れ動く中学生の胸の内を分生き生きと書き上げられた、確かに良作だと思います。
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長野作品をいろいろ読んでいると、素直に読めないのかもしれない。
昔のようにきらきらワードが使われていないだけで、先生との特別な関係、個室で知識やうんちくをさまざま授かる…
とか、兄に対する弟の感情…コンプレックスと憧憬、とか。
ダメな中年男性だけど趣味や見てくれが不釣り合いにいい…とか。
そうして、思わせぶりなジョーク。
だが、長野さんの、野川や、この土地の風景に対する愛は伝わってくる。
この作品で言いたかったことは何なのだろうか?
大きな事件が起きるわけでもなく、これでもかと風景が描写され、淡々と台詞が紡がれる。
(中学生って、こんな話し方するの?)
“百聞は一見に如かず”を否定し、言葉から情景や世界を思い描け、というのが、河井先生の言いたいことらしいが…
実在の川の名前が使われており、実在の場所が舞台なのは明らかだが、どうにも生活臭が感じられないのが、やはり良くも悪くも長野作品だと思う。
単行本発行時は読書感想文コンクールの課題図書だったが、先入観なくこの作品を読んだ高校生はどんな感想文を書いたのだろうか?
自分が決して持つことのできない視点なので、ぜひ、どなたかの感想文を読んでみたいと思う。
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心の目で見ることが、心を養い、実際に体験することよりも価値のあることがある。
読書をすること、想像することの意義を思わせてくれる。
長野まゆみ作品は具体的な説明がなく、解釈が読者に委ねられているものが比較的多い。野川を読んで、長野さんがそれらを大切にしていることが改めてわかった。
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実家の近くを流れる川の名前がついた本を遠く離れた場所の図書館で発見して、つい手にとって読んでしまった。情景が全て思い浮かび、懐かしかった。侘しさや思春期独特のあの壊れそうな、実際に壊れてしまった人の話もあり、ああ…と思った。とにかく懐かしい風景が思い出されて良い本でした。
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「転校生」「泥道」「伝書鳩」色々なキーワードが散りばめられている。
ただ、これを読むには歳を取りすぎたようで、物語に入り込めなかった。
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長野まゆみさん、今回が初読でした。
本書は、両親の離婚により、都心から自然豊かな武蔵野へ転校を余儀なくされた、中2男子・音和の2学期の物語です。
主人公の音和は、教師の河井(担任・国語・部活顧問)、部活動の仲間、新聞部で世話する鳩(えっ!何と、伝書鳩で通信訓練!)との関わりで、成長していきます。
とりわけ印象的だったのが、繊細な自然描写で想像力を喚起させられながらの、河井先生の生徒への語り。この深いこと…。
国語の先生なのに、数万年前の河岸段丘、関東ローム層などの蘊蓄を含め地歴的な話、かつての野川のホタルの群れ、本を読む意味など、大事なことを伝えてくれます。とにかく説得力があり、河井先生語録満載です。
体験は一時的で、ものごとを見る視点やそこから見た風景を想像し表現する力が大切なのだと、著者に教えられているようです。
音和の視点が、跳ぶ勇気をもてずにいたハトのコマメの飛翔と重なり、音和が想像の羽を広げて俯瞰できるようになったんですね。
読後の余韻覚めやらぬ作品で、中・高生の皆さんにもおすすめしたい一冊です。
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爽やかでした。辛い過去を持つ少年達が登場しますが 皆真っ直ぐで気持ちの良い子達です。野川の風景や鳩のこと 変わり者の教師 皆素敵です。今の学校事情とは離れているけど だから 大人の憧れが詰まった推薦図書なのでしょうか。